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株式会社ヒーロー  作者: ボサボサ
王と優しさと力
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怪獣襲来その三

目の前に颯爽と現れたのは、ほんの一ヶ月前に怪人殺人事件の犯人とされていたブラッククロウ。

犯罪者だったはずの超能力者が人々に仇名す脅威に勇敢にも立ち向かっている。

それも自分と同じ年頃の少年。

それも驚いたが。一番衝撃的なのは、あの世間を騒がせたブラッククロウが同じ教室にいる事だ。

一瞬殺されると思ったが、怪獣と戦っている。


「はぁっ!」

「ぎゃおおおおおおっ!」


黒くて勇敢なヒーローは凶悪で巨大な敵と真っ向からぶつかって、対等に戦っている。

いや、ヒーローが圧倒している。


まるで怪獣が遊ばれているように翻弄され、確実に四肢を切断されて行く。

その速さは常人の視界では追えない域に達している。

片腕が千切れた、怪獣は痛みに耐えかね悲鳴を上げる。


「ぎゃゃゃゃゃゃややややややややっ!」


その常識離れした光景を目の辺りにして、ただ恐怖で震えていたと同時に子供の頃に憧れていた「ヒーロー」を思い出していた。

良く解らないが胸の奥が熱くなり、胸元を握り締める。


自分も彼のようになれるだろうか。自分も誰かをかっこよく助けられる人間になれるだろうか。

自分も巨大な悪を討てる正義の味方になれるだろうか。自分も彼のように誰かに為に立派なヒーローになれるだろうか。


ただ奥歯を噛んで、目の前の光景を傍観していた。


「どうだ?内の新人は?なぁ、少年?」

「えっ?!あんたはっ?!」

「駄目じゃないですか。いきなり人を驚かせてわ。初めまして、我々は株式会社ヒーローA支社雑務課所属の者です。君は逃げ遅れた、民間人かな?」

「あ、あぁ…」


いきなり現れたこの二人に驚きを隠せない。白髪頭の男は知らないが、この真っ赤なスーツを着た男はレッドウルフだ。


「自己紹介がまだでしたね、私はレッドウルフこと加藤努です。よろしくお願いします」

「ぎゃゃやややややややややややおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


三人が会話をしているとその隙を突いて、巨体が迫って来るそれに対抗するように懐に飛び込む。

そして、右の拳を力一杯に放つ。

すると、一片の肉片も残さずに砂粒のようになり、消滅した。


「さすが、加藤さんだ」

「黒牙君ももう一人で大丈夫なんじゃないのかな?」

「二人共、終わったら帰るぞ」

「ちょ、ちょっと待ってくれっ!転校生っ!お、お前…」

「すまない、話は明日学校で。今は時間が無い」


颯爽と現れた黒いヒーローは背中を向け歩いて行った。


「学校はどうだった?」

「そうですね、不良と言う生き物から接触を受けました。それに女子生徒に声をかけられました」

「おっ、お前いきなりモテモテだな」

「確か、名前は加藤真紀って言ってたな…」

「はっ…。黒牙君、娘に手は出していないだろうねっ!!!」

「部長、あの子も年頃なんだ許してやれ」

「はっ!?許す何をっ!?まさか転校一日で彼女が出来るなんて、どんな女たらしだっ!私は許さないっ!

良いかっ!黒牙君っ!内の娘はやらんぞっ!」

「はっははは。三人共、上手くやっているようだね」

「しゃ、社長…。これが楽しそうに見えますか?この子は内の娘に手を…」

「何を言ってるんだ、加藤君は?君だって、技術部の相川君と仲良くやっているじゃないか?

親の君が心配するのは理解できるが、少しは黒牙君と娘さんの事を信用したらどうだ?

お互い年頃なんだ、色事に興味が湧くに決まってるじゃないか。そう思わないかね?」

「は、はい…。仰る通りです」

「それでは三人共、本題に入ろう。最近頻繁に出現している、怪獣に付いてだが」

「ミスター、あれは偶然じゃない気がする」

「そう思うか?マッスル達も同じ事を言っていた。他に気になる点は?」

「情報に聞いていた、大きさとは違っていました。前に出現した時は5メートルでしたが今日はそれ以上でした」

「明らかに大きくなっていてると言う事か…、他の支社にも連絡を取って見る」

「これは私の勘だが、頻繁に怪獣が現れる可能性がある。それに備えてくれ、何か解ったら連絡する。それと黒牙君」

「はい、何でしょう?」

「学校生活は君の為になるはずだ。任務の一環ではなく、学生として過ごしてほしい」

「それは前に聞きました」

「そうだったね、三人共今後も気をつけてくれ」


この日を境に怪獣出現率が格段に上がり、全国のヒーロー、警察、自衛隊は対応に追われる。


『こっちは大変よっ!ヒーローの仕事には困らないが、人手が足りないっ!そっちは良いわよね、軍隊並みの人材が大量にいるんですもの…。

少しはこっちに貸して欲しいもんですわ』

「そう、言わないでくれるか?京都も優秀な人材がいるだろう?それでそっちはどうなんだ?」

『大変に決まとっるでしょ?悠長に構えてる余裕なんて、ありまへん。それに出現する怪獣のサイズも日に日にでかくなる一方』

「やっぱり、そうか…」

『やっぱりって、どう言う意味?』

「予測はしていた。そっちのトップランカーは今どうしてる?」

『はっ?ぶりちゃんの事?』

「あぁ、緊急召集をかける事態かもしれん」

『はぁっ?ミスターはん、それ本気ですか?10強会議は政府の許可がいるんですよ?』

「事態は深刻になる可能性が高い、他の代表にも声をかけておく。だから、ミスブリザードには連絡をしておいてくれ」

『はいはい、あんたがそんなに深刻になるならしゃーないな』

「よろしく頼む、こちらも声をかけられるだけかけておく」


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