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株式会社ヒーロー  作者: ボサボサ
脱走計画と女医
40/124

脱走計画実行その二

個人事務所スパイを経営している、ヒーローランキング40位。

ミスタースパイ、彼は若い時に米軍に所属していた経験を生かし日本でヒーロー活動をしている。

体中に生傷があり、顔面にも大きい切り傷がある。特に特徴的なのは左目に眼帯をしている事だ。


そんな男が日本でヒーローをしてるかはちゃんとした理由がある。


「それで何の用事だ?俺は暇じゃないぞ?」


煙草に火を付け口に銜える。


「まぁ、そう言うなよ。結構良い話だと思うぞ、ミスターから依頼だ」

「何?ミスターからのだど?珍しいな…」


ボロボロの事務室で会話をしていると、軋む音が耳の中に入る。


「そうか、なら話を聞こう。そこへ、座れ」


三人は部屋に配置されている、来客用の椅子に座る。


「二人はコーヒーは飲めるか?」

「あぁ、大丈夫だ」

「頂きます」


コーヒーが注がれる音が聞こえる、その音を聞きながら部屋の中を見回す。

すると、二枚の写真が目に付く。


「それで依頼って言うのは?」

「ニュースは見てるか?」

「あれか、囚人の馬鹿共が人質を取って立て篭もってるって奴だろ?」

「それを解決する手伝いをして欲しい」

「はぁ…、お前が来るって事は予想は付いていたがな…」

「報酬は高いと思うけどな。それに今、内は手が足りなくて忍者も別の仕事をしてるんだ」

「シャドーの奴は?どうなんだ?お前の所は単独潜入が出来る奴が二人いるだろ?」

「駄目か?」

「駄目って訳じゃないが…、最低限の準備をしてくれないとな。こっちも急に言われても困る、せめて首謀者と相手の人数くらいは」

「それはもう、解っています」

「そうか。なら早く教えてくれ、ん?そう言えば、あんた名前は?」

「あ、申し遅れました。加藤努です、雑務課で勤務しております」

「加藤努…、えっ?!あのレッドウルフっ?!」


名前を聞くと同時に驚く。


「娘がファン何だ、後で写真とサイン良いか?」

「おい、スパイ今は仕事の話をしてるんだぞ…」

「後でなら構いませんよ」

「あれがとう、娘も喜ぶよ。それで敵の首謀者は?」

「怪人強力と言う人物です、それとその仲間が二人ほどです。今はそれ以上の情報はありません」

「それでその情報はどこから?」

「それは私達には伝えられていませんが社長からの情報なので信頼できます」

「そうか、その依頼受けよう」

「わりいな、何時も無理言って。報酬はミスターの方に言っとくは」

「出発は何時だ?」


その時に白牙の携帯が鳴る。


「もしもし、今終わった。あぁ、了解。スパイ、ミスターからだ」

「もしもし、何時も世話になっている」

『スパイ君。急な話で悪いね、それで出発は二時間後だ。それまでに準備を整えてA市支部のビル地下駐車場に来てくれ。質問はあるかね?』

「あぁ、相手は怪人だよな?」

『そうだ、君は何時も通りでやれば良い。それでは二時間後、失礼する』


突然の依頼に少々戸惑ってしまったが、昔からの付き合いのあるお客を逃がす訳には行かない。

それにそんな事をすれば、女房と娘にどやされる。


「ふ…」


そんな事を考えていると自然と顔が緩んでしまう。人はそれをお惚気と笑うだろうが、俺はそれを悪いとは思っていない。

日本に来た理由も惚れた女の為だ、それに今はこの国が気に入ってる。


年季の入ったグローブに手を通し、迷彩服に袖を通す。気持ちを切り替える、ヒーローである自分に気持ちを切り替える為にだ。

愛用している銃を腰に巻いてある、ホルスターに入れる。


そして装備が入った鞄を担ぎ、一言呟く。


「行って来るよ、帰ってきたらあいつに怒られそうだな」


写真に写っている、女性に向かって呟き扉を開く。


歩いていると通行人の視線が痛い、その正体は俺では自身ではないらしい。


「おいにいちゃん、俺の肩にぶつかったぞ?」

「ん?もしかして俺の事か?」

「お前しかいねぇだろうがっ!眼帯野郎っ!」


大男は突然として、胸ぐらを掴み掛かって来る。


「すまなかった、この手をどいてくれないか?」

「なぁに、てめぇなめんてのかっ!あぁんっ!」


さらに掴んでいる手の逆の手で拳を握り、殴りかかってくる。


「おいあんた、これ以上続けるのか?」


身の危険を感じ、咄嗟に愛銃を引き抜き、顎に冷たい銃口を突きつける。


「ひっ!」

「俺が銃を持ってるって解らなかったのか?それに喧嘩を売るなら、相手を選ぶべきだと思うけどな」


自分が置かれてる状況を理解したのか、腕を放す。


「ま、まさか…。あ、あんたは…。その眼帯に迷彩服に顔の切り傷、ミスタースパイっ?!」

「ヒーロー条約でヒーローが襲われた場合に限り、その保持している超能力または武器を使用可能って言うのは知ってるよな?学校で習うはずだ?」

「す、すいませんでした~」


正体が解ると、突風の様に消えて行った。


「さて、行くか」


その足取りは何時もより軽い、自覚はしているつもりだが考えると不謹慎だが戦闘が始まると思うと胸が弾む。

煙草を口に加え、目的地に向かう。

正直、娘の為を思うと戦地に赴くのは後ろめたい気持ちはあるが恩人と旧友の頼みだ。

断れないのが本音の答えだ。


それでも、俺は娘と妻に胸を張れるヒーローでありたい。


「時間通りだな、スパイ君」

「あんたの頼みは断れない」

「ありがとう、危険な任務になるがよろしく頼む」


ミスターとスパイは握手を交わし、更生施設立て篭もり事件の解決に向かう。


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