脱走計画その四
「おい、そろそろだ」
「ちちち、そうですね。楽しみで仕方ないですよ」
「そうだな。こんな窮屈な所から、できる」
社会の底辺が三人が薄ら笑いを浮かべる。
「準備は出来てるっすよ、ちちち」
「さすが、知的怪人だ」
「褒めても何も出ないでちよ」
「それより、ドラゴンの奴はどうなったんですか?」
「あぁ。奴は強情でな…」
「さすが、元怪人クラブの幹部でちね」
「奴の力は計画に必要になるが間に合わなければ仕方ない。
計画は今夜決行する、第三棟の看守共にも協力してもらう事になっている。
さすがネズミだ、人の弱みを握るのが上手い」
「強力さん、おれっちの力はこれからでち。あれで終わりではないでち」
内心はこの二人の事は見下している。自分がこの施設に入る前は舎弟を連れてこの街を胸を張って歩いていた。
その時はいろんな奴が寄って来た、ヤクザ、マフィア、汚職警官、麻薬の売人。
いずれは組織を立ち上げ全国に出ようとした時だ、ヒーローに捕まった。
俺はたった一人でやって来た、生きる為に。自分の私腹や欲求を満たす為ではない、俺はずっと一人だ。
ガキの頃は裏路地で育って、その日に食べるのにも命掛けだった。
俺がこんな狭い場所で終わるはずが無い。この二人は俺がここから出る為の道具だ。
こいつらを仲間なんて思った事何て無い。
俺は何時も一人だ。
こんな孤独感がずっと居座り続ける。
「何時もご苦労様です、こちらになります」
「ありがとうございます」
品がある老人が一人、度々訪れる。
この看守はすっかりなれた物で嫌な顔は一切しなくなっていた。
「ぼっちゃま、ご機嫌はいかがですかな?」
「何時も通りだ。何時も悪いな、じい」
「いえいえ。ぼっちゃまの顔を見る為です、苦ではありません」
「それで、父上の様子は?」
「お父上は今でもぼっちゃまの身を案じております」
「そうか、わがままをすまない」
「はっはは、本当に変わられたのですね。それとこれを…」
何時もより大き目の封筒が手は渡される、何かの書類だろう。
「お父上からのお手紙です」
「ありがとうと伝えてくれ」
「ぼっちゃま、私が出来るのはここまでです」
小声で口を開き席を立ち、ゆっくりと歩き出す。
「これで十分だ、ありがとう…」
全ての作業が終わり、自室の机で書類に目を通す。
その内容に目を疑いを声に出していた。
「強力め…、ここまでするのか」
書類の内容はこう記してある。
『怪人強力の調査報告。まず申し上げる事はぼっちゃまの予想は当たっていました、奴は更生施設からの脱走を計画をしています。
その為に協力者が二人存在する事が判明しました。強力と同じ第三棟に収容されている、怪人ねずみ、怪人蜘蛛男。
奴はこの二人を使い計画を立ていたようです、それだけでは脱走は出来ません。奴は巧妙にも第三棟を支配化に置いています。
第三棟の看守達は奴に何かしらの弱みを握られて、脅されているようです』
この文章を目を通して考える事はどうやって、看守達の弱みを握るかだ。
読み進めていると、予想通りの内容だった。
『奴は外に仲間がいてそれらに指示を出していたようです。ですがご心配なく、もう彼らの安全は確保しました。
ですが、私の力不足で中まではどうにもできませんでした。ぼっちゃま、どうかご無事で。
これは私のからの贈り物だと思って、自由にお使い下さい。それと良いお仲間をお持ちですね』
封筒の中を覗くとさらに紙が数枚入っていた。
「これは、ここの地図か?!じい、これをどうやって…。いや、今はそんな事はどうでも良い。ありがたく使わせてもらう」
感謝を口に出していると急に室内スピーカーから、音が洩れる。
「ん?なんだ?」
『囚人達の諸君元気かな?』
「この声は強力!もう、始まったのか!」
脱走計画が始まる。




