脱獄計画その三
執事は施設を後にして、歩を進め車に戻る。
「執事長、ドラゴン様は?」
「ぼっちゃまは今は戻らないと仰られた。だが、一枚の手紙を預かった」
「手紙ですか?随分、古風な事をしますね」
執事は手紙の封開け、内容に目を通す。
『じい、迷惑をかけてすまない。この手紙を書くに至った、経緯をまず説明する。
更生施設に収容されている、強力と言う男が俺に仲間になれと要求をして来た。
俺はもちろん拒否をしたが、その報復が始まっている。奴が俺を仲間に引き込もうとした理由は恐らく脱獄だろう。
だが、確証が無い。それに奴が収容されているのは、第三棟だ。どう考えても奴が俺に手を出すのは不可能だ。
それで俺は二つの仮説に辿り付いた。一つ、強力に仲間がいる事。二つ、第三棟は奴が仕切っている。
突然で悪いが強力の近辺調査を頼む。俺は普段自由に動けない、今頼れるのはじいしかいない。
身勝手でわがままのは理解しているつもりだが、被害を最小限に抑える為に先手を打つ』
「ぼっちゃま…。それはわがままではありませんよ」
自然と目頭が熱くなる。
「何て書いてありました?」
「怪人強力の近辺調査を始めるぞ」
「え?」
「ぼっちゃまからの依頼だ」
「了解」
「ただし、ボスには内密にな」
この時、じいは初めてがドラゴンが自分を頼りにしてくれた事に感無量だ。
ドラゴンに拾われたこの命を使う時が来たのだ、この頼みを冥土の土産にする。
本当にドラゴン様は変わられた、今まで他人の為に行動は一切してこなかった。組織の為の利益の為に行動する事があっても、無償で人助けなんてしてなこかった。
そんなお方が被害を押さえたいと言う理由で自分の身を削る、今までは想像していなかった。
しかもヒーローになりたいと言う言葉に唖然としたが、昔から素質があったがボスがそれを殺した。
だが何かのきっかけでその感情が復活したのだろう、人の感情では嬉しい。
当たり前だ、誰だって間違った事より正しい事をしたいに決まっている。
ただその決断に躊躇するだけ。ただ勇気が出ないだけ。
「それで、具体的にどのような調査を?」
「まずは更生施設に第三棟について調べる」




