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株式会社ヒーロー  作者: ボサボサ
黒い狼と決別
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ブラッククロウ攻略その十

「実験体二人が逃げたぞ!」

「逃がすな!追え、追え!」


随分懐かしい記憶が鮮明に頭の中で再生される。

ここの記憶は今から十年前だ、研究所から脱走した記憶だ。


「白牙っ!追っ手が来てる!」

「大丈夫だろ?俺達なら、逃げ切れる!」


息を切らしながら山道を走る、靴も履いていない足はとっくにボロボロで傷だらけ。

それでも二人は走っていた、「自由」を手に入れる為に、現状を変える為に。


「いたぞ!捕まえろ!撃て!」


無数の弾丸が向かって来るが、二人には効力が無い。


「そこをどけ!」

「ぐぁっ!」


追っ手を一人始末しさらに進んだ、茂みの中で二人は休んでいた。


「はっ…、はっ…。やったな、俺達逃げきれだぞ…。ここを出たら、何する白牙?」

「俺はそうだな…、自由に生きたいな」

「ははは、お前らしいな。俺はヒーローにでもなろうかな、それで悪者をとっ捕まえて人気者になる!」

「十五にもなって、それはないだろ?でも良いんじゃないか?お前なら絶対なれるさ、人気者のヒーローに」


二人は他愛ない会話をしていると突然に雨が降って来た。


「不味いな、どうする?」

「このまま、山を降りよう。このままじっとしてたら、捕まる」

「それもそうだな、行くか」


追っ手がいないか周りを警戒はしながら、歩を進めるが声が聞こえる。


「鬼ごっこは終わりだよ、お二人さん」

「てめぇは!」


同時に身構える。


「良く、ここまで逃げて来れました。でも、お家に帰りましょう?服がボロボロだ」

「何が家だ!あんなの檻と何も変わらなぇんじゃねぇかよ!いったい、何人死んだと思ってやがる!」

「でも君達は生き残り、力を得た。君達の貴重なサンプルなの、待遇が不満なら上と掛け合っても良いですよ?」

「ふざけるな!そんな言葉で騙されるか!例え、お前と刺し違えても…」

「聞き分けがない子供は私は嫌いです」


この時幼い二人はまだ能力が使いこなせてなく、ボロボロにされ命からがら逃げた。

その時、二人はばらばらになってしまう。


「おや?子供が倒れている、誰か!救急車を!」


この日は口に広がる血の味と酷い雨と言う事を今でも鮮明に覚えている。


「おい、白!起きろ!」


聞きなれた声が耳に入る。


「うぅ…、夢見てた」

「目が覚めたようだな、それで他の奴は?」

「部長達は先に進んだはずだ。鴉はっ?!」

「心配ないわよ、私が動けないようにしたわよ」

「あれ?傷が…」

「私が直してあげたのよ、感謝しなさい」

「あぁ…。サイ子か、やっぱり良い奴だよな」

「べっ、別に…。後、薬の副作用も取り除いておいたわよ。でもこの仕事が終わってから検査するのね、私が出来るのは応急処置だから。それより、こんなじゃ先に進めないわね」

「僕が先に見て来ますよ」


アタックスーツが名乗りを上げる、その姿はまるで勇敢な戦士と言えば古臭いかもしれない。

だが、今の現状でまともに動けるのは四人の中でこの青年だけだろう。

その理由はこの状況を見れば解るだろう、アタックスーツ以外の三人は戦闘で体力をかなり消耗している。


「ま、待てアタック。俺も連れて行け…」

「その身体で動けるはずが…」

「このヤマは俺がケリをつけなきゃならねぇ。はっ…、はっ…。後一回は戦えるだろう」

「白は人の言う事を聞かないからな」

「それに部長達が心配だ、それにブラッククロウがまだいるしな」

「白牙さん、まだあんな化け物と戦う気ですか!流石に無茶だ!それにまだ何がいるか解らないんですよ!」

「アタック!無茶なんて事は解ってる、でも俺は行かなきゃならねぇ!」


白牙がアタックの胸ぐらを掴みかかる、その眼光は狼のように鋭く熱く燃えている。


「わ、解りました。でも僕が無理だと判断したら、従ってもらいますよ」

「あぁ、解ってる」


その頃、忍者、シャドー、加藤の三人は研究所の通路で戦闘員達と睨み合いをしていた。


「あの~、そこを通してくれませんかね…。私達はここの責任者の方に用があるんですが」

「てめぇら、ふざけてんのか!俺達だってな!上からの命令で仕方なくここにいるんだよ!

誰がお前ら見たいな化け物と戦うかよ!こっちだってな生活の為にやってるんだよ!頼むから帰ってくれ!」


サラリーマンの悲痛な叫びが心に刺さるが、こっちも引き下がれない事情がある。


「部長殿、ここはやるしかないでござる。言葉でどうにかなる状況ではないでござる、ここは拙者が」


その瞬間、通路を埋め尽くしていた人間が一斉に倒れた。


「す、すごい…。さすがですね、忍者さん」

「まぁ~、これくらいの事は出来て当然でござるよ~」

「何、浮かれてんだ。行くぞ」


さらに奥に進むと人影が見える。


「あいつはっ?!」

「どうしたんですか?誰かいますね…、声かけてみます?」

「部長、止めるでござる。あやつは統括秘書でござる」

「そこにいるのは解ってますよ…」


三人が物陰に隠れているのがばれている、気配で解る程の人間が普通の秘書ではない。


「不味いぜ…、やるしかねぇか?」

「冷静になるでござるよ、あやつが立っている場所の先はまさか…」

「そのさきにボスがいるのか…」

「あの~、あの人って強いですか?」

「馬鹿野郎っ!強いに決まってるだろ!そんな事も解んねぇのかよ!通路は基本狭い、それに一人でいるって事は俺達をあいつだけでどうにか出来るって事だ」

「そうなんですか、それは知りませんでした」


加藤が状況判断できないのは無理もない、つい最近まで一般企業で働くサラリーマンだったのだから。


「ここでじっとしていても、先には進めないでござるな…」

「何か策があるのか?」

「いや、策と呼べるものではないでござるが、やってみるでござる。拙者が合図したら二人は全力で走るでござる」

「それじゃ、忍者さんが危ないですよ?良いんですか?」

「拙者なら、大丈夫でござる。今、我々の任務でここにいるでござろう?だったら、それを完遂させねば」


言葉を口にする、その姿はかっこ良く二人の目に映る。


「二人とも行くでござるっ!」

「おや?出て来る気になりましたか?ん?」


合図と同時に加藤とシャドーが全速力で足を動かすと同時に宙に手裏剣とクナイが秘書に向かって飛んでいた。


「私がその程度の事で先に行かせるとでも?ん?これは煙幕?」

「おぬし程の手錬れ(てだれ)でも視界を封じれば、動く事が出来ないでござろう?」

「それで?たかが煙がどうかしまたか?」

「やはり駄目だったか…」

「え…、足が動かない?」


空調が働き、視界が晴れるとそこには地面から伸びる出ている手が二人の両足の足首を掴んでいた。


「私から逃げるつもりだったんでしょうが、それは無理ですね。それに自分犠牲にするその方法、実に美徳だ。

さすがヒーローだ、笑いが出て来ますよ…。自己犠牲でこの場がどうにかなると思いましたか?それとも、自分の身も省みない(かえりみない)俺かっけぇですか?

自分に酔ってるんですか、あなた達?それに私から逃げた所で、その後を追う事を考えてなかったんですか?やっぱりあなた達は無能で…、ぐほぉっ!」

「あぁっ?話が長くて、殴っちまったよ。決めた、まずてめぇをぶっとばす!」


秘書の人を盛大に馬鹿にした煽りでシャドーの闘志に火が付いた。


「はっ…、はっ…。やっぱりあなた達は無能だ、あなたの能力貰いましたよ」

「何?」


力一杯、殴り飛ばされたはずなのに怪しげな笑みを浮かべる。


「まだ解らないんですか?やっぱり馬鹿ですね…」


ふらふらと立ち上がる。


「それはやっかいでござるな」

「何っ?!」


秘書の身体が鎖で縛られる。


「他人の能力をコピーする。それは確かに厄介でござるが、恐らくコピーする為には条件があるのでござろう。例えば、身体に触れるとか…」

「な、何っ?!」

「図星でござったか…。秘書と聞いて身構えていたが、拍子抜でござるな」

「陰険な忍びめっ!」


急に表情に一瞬険しさを浮かべたと思ったが、再び笑みを浮かべる。


「これだけですか?」

「二人とも離れるでごさるっ!」


突然、小さい爆発が起こり鎖の破片がそこら中に飛び散る。


「これはまさか、ミスターエクスプロージョンのっ!?」

「そうですね、彼と手合わせをした時は骨が折れましたね。さすが、10強の一人でしたよ」

「それは厄介だな」

「う…」


秘書が口を開いた時、黒い腕が身体貫いた。


「な、何…。わ、私がっ?」


それに続き、腹部に蹴りを入れる。


「黒牙君っ!」

「邪魔だから、どかした。おっさん、俺の邪魔はしないでくれ。じゃないと、殺す」


それだけ告げると、通路の奥に進む。その姿は15歳の少年には見えない、まるで漫画で見る殺人鬼だ。

その姿を見て加藤は身を竦め、ただただその背中を見送るだけだった。


「ふぅ…、加藤殿!どこに行くでござるか!」

「黒牙君を止めないと!」

「部長!一人じゃ危険だっ!待て!」


三人はブラッククロウの後を足早に追う、その後ろ姿を秘書が見ていた。


「ふっ…、馬鹿な人達だ。あの人にただの能力者が勝てるわけがない」


傷に手をあて治癒をする、そして立ち上がりその場を立ち去る。


「でももしかしたら…、あの半人前の狼なら」


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