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株式会社ヒーロー  作者: ボサボサ
黒い狼と決別
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ブラッククロウ攻略その五

怪人クラブA市支部管轄、研究所。


それが立てられたのは今から十年前に遡る。

怪人クラブ代表ボスが日本に対して日本征服を企て、その第一歩として戦力増強を計画。

その計画が「能力複製計画」である、この世界が二人に一人が何かしらの超能力を持っているが決してその能力が良い物であるとは限らない。

例えば空中に三センチ浮いたり。例えば服が透けて見えたり。

こんなくだらない能力も存在する為、皆が「ヒーロー」になれないのだ。


そこでボスが目を付けたのが、殺傷能力の高い能力の複製。

それを行う為に建設されたのが、A市の山奥にある研究所だ。

だが、その計画は白牙とぶんさんを中心にして阻止され、その後国によって管理されていたがどういう訳が再び怪人クラブの管轄に戻ってしまった。


それは何故か。考えるまでも無い、誰かか手を回し管理元から返還させたのだ。

それがA市統括怪人サイコだ、彼は人の心が読める超能力者だ。

その能力を使い、A市と強いパイプを持つ政治家の弱みを握り要求を通るように手配をさせた。

誰の血も流せずに目的を達成するこの手段に怪人クラブの重役達とボスに高い評価得て、最年少でエリア統括になった。

高い評価を得たのは人の心を読めるだけではない、都市を一人で落とせるだけの強い力を持ち頭のキレも良い。

自分の能力の使い方を120パーセント使いこなせている。ただ、力が強いだけでは人の上には立てない。

ただ、頭が良いだけでは人の上には行けない。

そう、彼にはカリスマ性も備わっていた。


確かに最年少で組織の上にいるのだから敵も多いが、その敵達もサイコの強さを知っているから手が出せない。

彼がもしヒーローだったら、今頃は世間で人気者になり富も栄誉も地位も手に入れてただろう。


「え?!明日ですか?!」

「あぁ、日程が決まった」

「解りました。相川さんに伝えてきます…」

「ちょっと待て、部長」

「何でしょう?」

「身体は…」

「別に何ともないですよ?」

「俺はまだ、最後まで言ってないぞ?」

「え?確かに白牙の声が聞こえて来ましたよ…」

「何?まさか!部長、それって俺の考えてる事が解るのか?」

「え?え?え?」

「時々変だと思ったが、これでやっと解った!」

「そうですか…、何の事か解りませんが。開発部に行って来ます」


雑務課を出て、廊下を歩く。

上司がいったい何を言っていたかいまいち理解していないが、何となく理解した。

頭に中に出てた来た単語は「テレパシー」だった。

だが、テレパシーはお互いの思考が読み取れると昔聞いた事がある。

一方的に思考が送られて来るのはテレパシーではなく、「信号」だ。


「失礼しま~す。相川さん、いますか?」

「あっ!加藤さん、お疲れ様です。どうしたんですかいきなり?」

「社長から話は通ってるでしょうか?あぁ~、スーツの準備ですよね!明日に直ぐに使えるに用意はしてあります!頑張りましょうね!」


その姿を見る度に見とれてしまう。この時間がとても幸福に感じる。


「あれが噂に聞く、大型新人でござるか…。普通のおじさんでござったな」

「そうだな…。でも、何か感じるものがあるな」

「おい、ちゃんと入り口から入って来い」


何時の間にか忍者とシャドーが雑務課の部屋に入り込んでいた。


「どうぞ」


トカゲが二人に茶を出し、その場を去る。


「それで本題に入るが、現在の研究所の状況は?」


急に白牙の表情が険しくなる、この話になると人が変わる。否、自然と変わってしまうと言った方が正しい。


「近くに行くなら何も無かったでござるが、今はもしかして警備が厳しくなってるかもしれないでござる」

「それと秘書とか言う奴が出て来てな、あいつはやばそうな奴だった…」

「その話を詳しく聞かせてくれ、もしかして障害になるかもしれない」

「二人で研究所の様子を見ていたら、突然猫が現れたんだ。そしたら、男に化けたんだ。

俺と忍者はさすがに驚いたぜ。それでさ、いきなり様子を見に来ただけで戦う気が無いって言い出したんだ。

それで私がその気になったら、俺達が相手ならないから帰れって言いやがったんだぜ!思い出すと腹が立つぜ!」

「それで相手の能力が何か解らなかったのか?」

「情けない話でござるが、逃げるので精一杯で…」

「そうか…、他に解った事は?」

「いや…、五年前と殆ど変わってないでござるよ?」

「解った。出発は明日だ、協力を頼む。今日の所は解散だ」


その日の夕方。


「お疲れ様でした~。また明日」

「お~、明日な。遅刻すんなよ、朝の四時だからな」

「はいはい、解ってますって」


何時ものように定時に会社を出る、次の日に研究所を襲撃する雰囲気ではない。

上司は普通に振舞ってるが、その瞳は剣の鋭く炎のように燃えている。

そんな事を考えていると、自分も緊張して来た。


まるで超一流会社との取引の前日見たいだ、あの時の雰囲気は忘れたくても無理だ。

あの時は自分含め、専務と部長と自分は常にぴりぴりしていた。


そんな事を思い出していたら、家に付いていた。


「ただいま~」

「お帰りなさい」


家に入ると娘が出迎えてくれた、テーブルに目を向けると夕飯が用意されていた。


「お、お父さん…。ご飯作ってみたんだけど、食べよう…」

「え?真紀が作ったのか?食べよう、食べよう!」

「「頂きます」」


夕飯の品は平凡だがとても美味かった、下手な言葉はいらない。だが何かが欠けている。

そうだ、妻がいない。

妻と別居して、一ヶ月が過ぎようとしている。今でも妻はどこにいるか、解らない。

連絡も取っているが、繋がらない。やはり、これは「離婚」を覚悟しなくてはいけないのか。

まだ、心が決まっていない。決まるはずがない、だって二十年一緒に連れ添った女房だ。

普通の男はこう言う時が一番弱い。普段威勢が良い人間でさえ、自分の女房には頭が上がらない。

それが「日常」だ、自分が惚れた相手の尻に敷かれるのが「幸せ」だったとずっと思っていてた。


「お父さん」

「何?」

「仕事、大変?」

「ああ~。大変だし死にかけたけど、前より楽しいしやりがいがあるよ」

「そうなの?ヒーローって何かいっつも戦って危なくない?」

「実はそうでもないんだよな…、怪人が出ない時は近所の草取りとかゴミ拾いとか…」

「あっははは!なんか地味だね。でも何か楽しそう」

「あ、そうだ。明日、父さんは朝早いからもう寝るよ」

「え?何時に行くの?」

「朝の四時」

「え。じゃ~。お弁当作る」

「え、良いの?」


研究所攻略までもう少し。

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