ブラッククロウ攻略その三
とある建物の中は騒がしさが目立つ。
「おい!実験体が暴れだしたぞ!止めろ!」
「統括が来られるぞ!早く並べ!」
扉が開き、一人の男が部屋に入る。
「統括!お疲れさまです!」
「ごくろう…。それで、実験の方は?」
「はい…。それが、実験体の一人が暴れだしまして」
「何?」
「うぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
一人の大男が襲いかかる。
「統括危ない!」
「駄目じゃないか、ちゃんと首輪をしないと」
すると大男は大人しくなり、その場に座り込む。
「サイコ様、お怪我は!?」
「私は無事だ。それより、計画の進行状況は?」
「は、はい!被害が少しばかり出ています!」
「ん?被害?」
「怪人クラブA市支部所属の戦闘員が数名、殺害されました」
「殺害?何故、その報告は何時の話だ?」
「え…。いや…、その…」
その視線に研究員は身が竦む。
「いや、私の前では報告が不要と言いたかっただけだ」
「は、はい!恐れ入ります!」
「君達の言いたい事はここに来た瞬間に頭の中に入って来ている。
報告で時間を割くより、作業に時間を使え」
「サイコ様」
「あぁ。解っている、今日の所は私はA支部に戻る。諸君の成果を期待する」
怪人クラブA市支部統括、怪人サイコ。レベル特。
能力超能力。
知的な容姿を持ち、良く回る頭脳。それにいざとなったら大胆な行動する度胸。
トレードマークは眼鏡。
A市支部。
「サイコ様、例の軒ですが…」
「解っている、ブラッククロウの事だろう」
「はい。恐らく、今までの事件は奴の仕業かと」
「やはりそうか。奴はいずれ、我々の前に現れるだろう」
「それと、株式会社ヒーローが研究所に襲撃する計画が進んでいるようです」
「そうか、やつらが来るか。また戦争になる…。それより、君は中身が見えない」
A市統括秘書。彼はサイコが統括に就任された同時にボスが選んだ人材だ。
その素性はボス以外誰も知らない。
ただ、優秀だと言う事は誰でも知っている。
「サイコ様。今日の予定ですがこれから、会議があります」
「そうだったな。それでは向かおう」
A支部本部、会議室。
「「サイコ様、お疲れ様です!」」
「出迎えご苦労。座ってくれ」
会議室に集まった、スーツ姿のおじさん達はもちろんサイコより二回りくらい歳が上だ。
そんな連中が全員揃って、頭を下げている光景は気分が良い事だろう。
だが面白くない人間が少なからずいる。
『何でこんな若造に頭を下げなきゃいけないんだ!くそっ!俺はこの会社に入って三十年だぞ!
やっとこの歳で幹部になったんだぞ!ふざけるなよ、全くボスは何も考えてるんだ!』
こんな声が聞こえる。自分に向けられる、侮辱、嫉み、悪意。
人の「中身」が見えると言うのは嫌なものだ、どれだけ耳を塞いでも聞こえて来る。
本当はこんな「力」は欲しくなかったが、生まれ持った物だから使うしかない。
「私に意見がある者は遠慮なく言ってくれ」
その視線はその場を凍らせる鋭い視線だ。
その圧迫感は何の変哲の無い人間は耐え切れるものではない。
「おい誰だ!統括に無礼な事を…」
「何も無いなら、会議を始める」
「はい。それでは、最近のA市支部の売り上げは例年通りです。そのデータはお手元の書類に記載されています」
「次は例の件か…」
「はい。最近になって頻繁に発生している、事件ですが」
「その件か…。それは既に研究所で知っている。ヒーローの連中に捕まる前にブラッククロウは我々が確保する
本日の会議は異常だ。誰か、質問はあるか?」
「統括」
「何かな?」
「その捕獲に私を加えて貰えないでしょうか?」
「その理由は?なるほど、そう言う訳か…」
「はい」
「十年前の清算がしたいと…、良いだろう」
「ありがとうございます」




