実戦テスト
の前に現れたのは、以前二人の前に姿を現した少年。
その声とその表情は憎悪に塗れていた。
「お前は、研究所所属の元戦闘員主任だな?」
「俺は関係ない!俺は何も知らない!」
「知らないだと?そんな事で通ると思っているのか?ボスの居場所を教えろ」
「俺みたいな、下っ端がボスの居場所なんて知ってるわけないだろ!」
「そうか…」
ゆっくりと歩を進める、その姿が悪魔のように見える。
「店長、逃げるぞ!」
白牙は店長の腕を掴み、走り出す。
だが、敵ももちろん追って来る。
「逃げても、無駄だ」
現在の空模様は夕方で変身が出来ない。
これははっきり言って、危険な状況だ。部長だけでは八割の確立で戦えない。
恐らく、実力は変身状態の自分と同じだろう。
「はっ…、はっ…」
誰もいない商店街を三人で走る。息を吐く音だけが、耳に入る。
これは本当に命を危険も覚悟しなければならない。
「こんな事だろうと、思ったよ。白牙さん」
突如、聞き覚えのある声が耳に入る。
その方向に目をやると、一人の青年が自信あり気に立っていた。
「アタック?どうして、でも助かった!」
「社長の頼まれてね。この子が例の黒い狼かい?」
「あぁ、かなりやばい相手だ」
「あなたが言うんだ、確かだろうね」
青年と少年が睨み合い、距離を取る。
今にも、戦闘が始まりそうだ。
「邪魔するなら、死んでもらう」
「僕も簡単に死ぬわけには行かないな。変身!」
ミスターアタックスーツ、ランキング20位。
彼は株式会社ヒーローに入社してから二年で上位に20位に入った、業界が期待している新人。
そのルックスと正義感燃える姿で老若男女に人気を得ている。
特に変身した姿は子供に人気である。その理由は特撮に登場するヒーローな姿をしているからである。
「あ!後、加藤さん。社長がプロトタイプのテストをすると言ってましたよ」
「えっ!?今ですか?!」
突然の言葉に戸惑いを隠せない、しかも今の状況はかなり危険だ。
こんな状況で実験をしようなんて、あの社長は何を考えてるんだと本気で思ってしまう。
そんな事を考えていると、所持している携帯電話が突然鳴り響く。
「こ、こんな時に誰だ!?もしもし、今取り込み中…」
『突然すまないね、加藤君。私だ、話はアタック君から聞いてるね?』
「しゃ、社長!?」
『今、プロトタイプのスーツがそちらに向かっている。後は相川君と主任の指示に従ってくれ』
「え、ちょ…」
電話が切れた音が耳の中に響くと同時にトラックがこちらに物凄い勢いで突っ込んで来た。
「黒い少年、君の名前は?僕はミスターアタックスーツだ、よろしく!」
「敵に名乗る必要は無い…」
「そうか、残念だ」
少し言葉を交わした、青年と少年は命の取り合いを始める。
「アタックスマッシュ!」
初めに動いたのはミスターアタックスーツ。音速で繰り出されるチョップは空を裂き、衝撃を生む。
「くっ!なかなか、やるようだな」
少年はそれをかわすと一直線に音速に届く早さでアタックスーツに右ストレートを放つ。
だがそれを易々とかわし、左ジャブで鳩尾を決める。
「その程度か?」
「何!?」
その瞬間、アタックスーツの身体がコンクリートの壁にめり込んでいてた。
「大丈夫か!アタック!」
白牙が駆け寄ると、よろよろと立ち上がり口を開く。
「大丈夫です…、白牙さんと店長さんは早く逃げて下さい!」
「解った…。死ぬなよ」
「ヒーローは大した事ないんだな…」
黒い狼は死を纏いながら、こちらに向かって来る。




