怪人バー
少年と睨み合いをした翌日。
「それは本当か?」
「あぁ、奴は間違いなく黒だ。それにあのガキを使っている奴もいる」
「それはつまり、単独ではなく組織的に行っていると?」
「俺はそう思っている。それに奴は俺達の目の前で誰かと電話をしていた、それが証拠だ」
「そうか…。その黒い少年が事件の犯人だとして、お前はどうする?逃げられてしまったのだろ?」
「はぁ…、それが問題なんだよ」
「ちょっと、良いでしょうか?」
「何だ、部長。何か良い案があるのか?」
サラリーマン時代の癖で弱気な挙手をする。
「怪人クラブに連絡を取って見てわどうでしょう?きっと、向こうも困っているはずでしょうから」
「加藤君。それは出来ないわけではないが…」
「ミスター、俺に心当たりがある」
「白牙、あそこには近寄るなと言ってるだろ」
「状況が状況だ。手段は選んではいられない」
「今回は許可しよう。だが、今回はマッスルも同行させよう」
「了解」
二人は社長室を後にした。
足を踏み入れたこの場所は丸で、アメリカのスラム街だ。
社長が言っていた意味が何となく解った気がする。
A市にもこんな場所が存在する事が驚きだが、確かにここは日本だ。
「なぁ、白。どこに行くんだ?」
「あれ?マッスルは知らないのか?ここは怪人どもが集まる裏路地だよ」
「ここは初めてだな…。なぁ、部長」
「は、はい…」
「そうか…、割と安全だぞ?」
「それはお前の顔が知られてるからだろ。こんな、いかにも危ないって場所は近寄らなぇよ!」
三人で歩いているとこちらを見ている浮浪者が数名こちらを凝視している。
いかにもスラム街と言った所だ、珍しさから周りを見ていると浮浪者がぶつかる。
「あ、すいません…」
「おいちょっと待てよ!」
白牙が強引に掴みかかり、引き止める。
「いってーな!ぶつかっただけだろうが!」
「じゃ~、これは何だ?」
「げっ…」
「その古いリアクションはしなくて良いから。ささっと失せな、今回は見逃してやる」
「けっ!しけた連中だな!」
浮浪者は汚い言葉を吐き捨てると、一目散と逃げて行った。
「ありがとうございます!全く気づきませんでした…」
「ここはあんな連中がうじゃうじゃいるからな、気をつけろよ」
「は、はい!そう言えば、どこに行くんですか?」
「あ~。そう言えば、言ってなかったな。バーに行くんだよ、昔からの知り合いなんだよ」
「白牙さんって、知り合いが沢山いますね」
「こいつは社長命令で動いてるからな、顔が広いんだろ。俺達が知らない場所も知ってるしな」
話している間にあっという間に目的地の目の前に立っていた。
そこの看板にはローマ字で「KAIJIN」と書かれている、怪しさ前回の店先で口を開く。
「ここ大丈夫なんですか?誰が見ても怪しいんですけど」
「大丈夫だ。ただし、俺が居ればな」
「どういう意味だよそれ」
三人は店へと、足を踏み入れる。
「いらっしゃい…。あんたら、人間だな。内は人間お断…、ん?この臭いは、白か。しょうがない、席に座れ」
「マスター、ここに来たのは…」
「解ってる、お前が来る時は情報が欲しい時って決まってるからな。それより何か頼め」
「悪いが今は仕事中でな、酒は飲めない。コーラ三つ頼む」
「以外に真面目だな、少し待ってろ」
マスターが三人分の飲み物を用意をしている、最中に疑問に思っている事を口にする。
「あの人は何者なんですか?」
「マスターは元怪人クラブの幹部だ」
「え?!」
「お客さん、そんなに驚く事じゃないですよ。コーラ三つ」
その言葉を聞いてまず、思った事はこのコーラに毒でも入ってるのではないかと勘ぐってしまう。
「何でバーなんて…」
「昔ちょっと事情が出来てしまってね、辞めざるおえなかったんですよ」
「そうなんですか、苦労しているんですね」
「はっはは、そんな事を言ってくれるのはあんたが始めてだ。それより、あんたは知らない顔だな新人か?」
「は、はい。四月に入ったばかりで加藤と言います。少し気になったんですけど、何で人間はお断りなんですか?」
「あぁ、内の客は少なからず人間を面白く思ってない連中だからな。超能力差別ってあんたも聞いた事があるだろう?」
「それでですか。マスターさんって、お優しいんですね」
そう言うとマスターの表情に笑みが生まれる、先ほどの険しい表情と全く違う。
「それで白、本題に入ろう。何があった?」
「マスターもニュースくらい見て知ってると思うが、怪人殺人事件を俺達は追っている。少しでも情報が欲しい」
「やっぱりか。俺が持ってる情報は、犯人は二人いる事と犯行を行っているのは少年らしい。それと、研究所から脱走した」
「研究所だって!まだあったのか!とっくに閉鎖されてると思ったが」
「最近になって、稼動させた見たいだ。流石に俺も理解し難いね」
この二人から出て来た、「超能力差別」と「研究所」。
研究所、これは怪人クラブが日本中に保有していると言われている。
そこで何が行われているかは不明だったが、数年前に白牙と自衛隊が中心なってその全貌が明らかにした。
そして、施設の破壊に成功したはずだ。
「マスター、まさか…」
「お前の思っている事は当たってるな、懲りないよな」
「また能力複製計画をやってるのか…」
その言葉を口にしている、白牙の表情は急に険しくなる。
「お前が許せないのは解ってるが、それを聞いてどうする?」
「止めるに決まってるだろ、あんな事人がする事じゃない」
「そう言うと思ったよ、これをお前達に預ける」
突然渡された書類の束、それには数十人分の写真と経歴が載っていた。
「マスター、これは?」
「怪人クラブA市部の構成員リストだ、犯人から狙われるそうな奴は目星をつけておいた。俺が出来るのはここまでだ」
「ありがとうマスター、恩に着るぜ」
「この借りはちゃんと払ってもらうけどな」
「じゃ~、俺達は帰るわ。代金はここに置いて行く」
「ありがとうございました」
頭を下げる姿は普通の店の主人だ、口を開いていた時と雰囲気とは全く違う。
あの人が怪人クラブの元幹部なのだ、世界は何があるか解らない。
そうだ、自分が居る世界は「普通」でない。
今までの社会と繋がって安心していた、自分はもういない。
この場所に居ると嫌でも自覚する。
「これは本当か?白牙」
「あぁ、マスターが渡して来たんだ。間違いない情報だろう」
「良くあのマスターが我々に情報を提供したな。明日は雨でも振るじゃないか?」
ミスターは悪戯な笑みを浮かべ、書類を眺める。
「マスターも思う事があるんじゃね~の?」
「それにしても、能力量産計画か。あいつらも、懲りないな」
「あの~、そのなんとか計画ってなんなのですか?」
「加藤君は知らなくても当然だね、あれは五年前の事だ。怪人クラブが戦力の大幅増強を計画した。
しかも奴らが、目を付けたのが超能力だ。今の時代は二人に一人が何かしらの超能力を持っているがそれは個人によって違う。
それは知っているね?」
「はい、学生の時に習いました」
「それで奴らが目を付けたのが、戦闘向きで強力な超能力の量産だ」
「いったい、それで何を?」
「この国へのクーデターだよ」
「え?!クーデター!何でそんな事を…」
「解らないんだ。研究所の閉鎖に追い込んだが、奴らが何を目的であの研究をしていたのか…」
「部長、とにかく今はこの書類を頼りに行動するしかない。行くぞ」
「は、はい。失礼します」
この時の白牙は何か焦っていると何となく、解ってしまった。
「ここは…」
「ここは怪人クラブが経営してる、スーパーだ」
「え!怪人クラブって、そんな事をやってるんですか!」
「あぁ、人を襲う事ばかりが仕事じゃないからな。それに資金源が必要なんだろうよ」
現在二人がいるのは、怪人クラブグループが経営しているスーパーマーケット「クラブ」。
「そこの店員。店長はいるか?」
「いらっしゃいませ、店長に何か用ですか?」
「急な用事で申し訳ありません。我々株式会社ヒーローの者ですが、店長さんは?」
「そうでしたか!失礼しました、今すぐに呼んできます!」
名刺を懐から出すと店員は慌てて、走って行く。
「私がここの店長ですが、何か…」
「やっぱりお前か、久しぶりだな」
「白牙かよ…。何でここにいるんだよ」
「用があるからに決まってるだろ、お客様を邪険に扱ってわいけないんだぞ」
「冷やかしする人間は客じゃない、さっさと帰れ」
「お前に聞きたい事があって来たんだ。テレビで知っていると思うが、例の事件」
「はぁ~その事か、昨日も刑事が来たよ。俺は何も知らんよ」
「能力量産計画に関わってたのは調べはついてる」
「ちっ…。ついて来い」
二人は店長の後に続いて、外に足を向ける。
「ここなら、誰も聞いてないだろ。それで、何を知りたいんだ?俺は殆ど何もしらんぞ。大体、俺は当時主任で情報何て伝わって来てないしな」
先ほどとは、声色が違う。
「黒い狼の事は知ってるか?」
「黒い狼…。あぁ、噂で聞いた事があるな」
二人が、会話をしている時だった。
「見つけたぞ…」




