世界征服と悪意と正義その二
黒い鎧が列を成して、街を闊歩する。
その姿は異様で異常だ。
「なんだよ、あれ…」
通行人の一人が呟く。
それが、極普通の反応だろう。
「何だ?何だ?」
人が集まって来る、その異常性を興味本位で見物する野次馬も現れる。
人は何時も身勝手なのだ、そういう生き物だ。
だが、その黒い鎧達はその視線も一切、気にもせずに歩く。
その足音は恐怖を誘う。
「ちょっと君達。止まりなさい」
パトロール中の警官から声を掛けられるが当然、無視をしている。
「君達っ!聞いているのかっ!」
警官が黒い鎧の肩を掴もうとした時だ。
「邪魔をするな…」
感情が無い冷たい声と共に警官の腕を掴む。
「いっ?!」
「おい、あんた。ささっと失せな、怪我しない内にな」
黒い鎧を来た集団を先導していた、怪人と思われる者が口を開く。
『怪人が出現しました、近隣の住民の皆様はお近くのシェルターまで避難して下さい。繰り返します』
怪人警報が鳴り響き、怪人は溜息を付く。
「はぁ~、何時もの事だな…。おい、あんた早くヒーローが来て戦闘になるから行け」
「くっ!」
腕を押さえながら、警官は住民の避難に向う。
「おい、お前ら行くぞっ!」
警戒音が街中に鳴り響く中進軍を続ける、その目的は辿り付いたビルの目の前だ。
「おい、マジかよ…」
「あれって、怪人だよな?」
黒い鎧を引き連れていたのは怪人鬼バット。
「おいっ!斉藤っ!出て来いっ!ここに隠れてるのは解ってるっ!」
怪人が株式会社ヒーローA支社ビルの前に現れたのだ。
そうだ、これが怪人クラブの世界征服計画の第一歩。
「ん?」
炎の壁が出来ていた。
「そこまでだ、怪人」
「何だ、お前?」
「俺はミスターアイス&ファイアーハンド」
「あぁ、ここはヒーローの溜まり場だったな。見ない顔だな、お前新人だな?」
「そうだ」
「俺の事は知らなくて当然だな」
バットを軽く振り下ろすと炎が消えた。
「な…」
「これ位の炎が俺に効くと思ったか?新人に用は無いんだよ、行くぞお前ら」
さらに進行をしようとすると足元が冷たい。
「今度は氷か?」
「違う」
同時に広範囲の火炎放射が黒い集団を覆う。
「はぁ~。だから、俺には効かないぞ」
さらにバットを扇風機のように振り回し、炎を分散させ、そのまま地面に振り下ろし氷を砕く。
「俺を呼んだか?」
「斉藤っ!とりあえずお前を殺しに来たっ!」
「はっははっ!それ本気で言ってのか?」
「ピエロを捕まえた程度で調子に乗るのよ?こそこそ隠れるのも今日で最後だ」
「隠れる?俺は隠れてた覚えは無いがな」
「仮面つけて隠れてた奴が何言ってやがるっ!」
「この仮面は顔を隠すためじゃない…」
「はっ?何言ってやがる」
「これは俺の決意の証明だ」
そう、口にすると手に持っていたヘッドパーツを装着する。
新人ヒーロー、パワードウルフ。
「おいハンド」
「はい」
「お前は皆を呼んで来い。俺が時間を稼ぐ」
「おいおい、新人君達かっこつけすぎじゃないかい?」
そこにA支社四強の一人、ミスターマッスルも加わる。
「ちっ、めんどくさいのが出てきやがった」




