表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
株式会社ヒーロー  作者: ボサボサ
最終章人間とは
103/124

笑うピエロその七

「はぁ、はぁ、はぁ…」


完全に追い込まれている。

だが気分は高揚して、楽しくて仕方がない。


幾度なくヒーローを病院送りにして来たが、今回は相手が悪すぎた。

逃げるのが賢いのかもしれない。


「止まれっ!」


耳障りな声が入る。


「しつこい野郎だな、ヒーローになったつもりか?」


マシンガンを取り出し、引き金を引く。


「くっ!」


相手は障害物を利用して銃弾をかわし、物陰に隠れる。


「良いかっ!俺とお前が戦っても、共食いにかならないんだよっ!

他人がお前をいくら賞賛しても、やっている事は犯罪だっ!

自分でも解ってるんだろ?俺とお前は同類で悪党なんだよっ!

お前がどれだけ正しい事をやっても正論を言っても、

この俺を殺して感謝されてもお前は、犯罪者だっ!ひゃははははははっ!」


その通りだ、この始末屋ピエロが言ってる事は全て正論だ。

この社会では世間で認められた組織に所属していなければ、暴力は正当化しない。

個人的に暴力行為、破壊行為をすれば犯罪になる。


「それがどうした…」

「何っ…?」


武器を抜き、静かに向かって来る。

その向かって来る、姿が何故か蜃気楼の様に大きく見える。


「お前がやってるのは自己満足だっ!自分に酔ってるだけだっ!

ダークヒーロー気取りで楽しかったかっ?」

「そんなの全部解ってる」

「ぐはっ!」


何時の間にか懐に入られて、拳が入る。


「お前の言ってる事はなっ!全部、解ってるだよっ!ボスを倒したら罪は償うっ!」

「はぁ、はぁ、はぁ…。ボスを倒す?何言ってんだ、お前?」

「ぐっっ!」


反撃が飛んで来る。


「無謀なのは解ってるっ!でもな、絶対にやるんだよっ!もう、諦めないっ!」


お互いがボロボロになり、身体は血だらけ。


「そんな事はヒーローだったら、誰でも思う事だ。でもな、お前らは絶対にボスに勝てない」

「俺は絶対に諦めないっ!」

「ひゃっははははっ!」


拳をかわし、相手の腹部に刃を走らせる。


「ぐはぁっ!」

「はぁ、はぁ、はぁ…」


戦いは終わった。

灰色の狼は敵と過去の自分に勝利した。

だが、彼はただの犯罪者だ。

ヒーロー達につかまってしまうだろう、だからこの場から逃げなくてはいけない。


「斉藤、無事かっ!」


その声が耳に入った瞬間、視界が黒くなる。


「はっ!ここはっ!」

「病院だ」

「あ、あなたはっ?!」


気が付くとベットの上で寝ていて、ヒーローを志す者なら誰でも知っている。

ヒーローの教科書、ヒーローオブヒーロー、株式会社ヒーローA支社取締役。

ミスターだ。


「初めまして、斉藤君。いや、灰色の狼と呼んだ方が良いかな?」

「お好きに及び下さい。なぜ、あなたが?」

「君の事はずっと追っていたんだ、やっと会えた」

「そうですか…」


この言葉で来る時が来てしまったと思った。


「君の活躍は目を引く物があるね。どうして、就職してヒーローにならなかったんだい?」

「それは…」

「事情は知っている、施設に危害が加えられないようにしてたんだろ?

それに毎月の多額の寄付。かっこつけすぎだろ?」

「はい…」

「それに君は元怪人クラブの構成員だね。その事情もあったんだろう」


その言葉をただ黙って聞いていた。


「どうだね、内でもう一度ヒーローをやって見ないか?」

「え?」


この言葉に耳を疑った。


「でも俺は…」

「もちろん、君の意志だがね」

「それは都合よすぎでしょ…」

「何が都合がいいんだね」

「とっくにニュースに…」

「怪人ピエロの事かね?あぁ~、無事に捕まったよ」

「え?」


病室ある、テレビには始末屋ピエロが逮捕と言うニュースが流れていた。


「君が関与しているなんて、ニュースはどこにもない」

「え、え?」


ただ、戸惑いしかない。一体、何が起きているのか理解が出来ない。


「それにあの孤児施設は社内に全て移した」


その言葉にただ涙が流れた、まるで奇跡が起きたような感覚だ。


「ありがとうごいます…、ありがとうごいます」

「良いんだ。ご都合主義、奇跡、そんな事が起きるのがこの社会だ。

これから、よろしく頼むよ。斉藤君」


世間から、「灰色り狼」の話題が消えた。

そんな都合良い事が起こるのは不自然だが、それが超能力社会だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ