笑うピエロその四
怪人クラブ所属始末屋ピエロと一戦交えた後日。
『狼ちゃ~ん、おはようっ!元気してるっ!俺様は元気百倍だぜっ!
ひゃっはははっ!昨日の初夜は燃えたなっ!こんな楽しい気分は久しぶりだぜっ!』
負傷している身体に響く。
『本題に入ろう、組織はお前に会いたがってるぞ?出て来るわけないよな?
それで、優しくて親切な俺様がパーティを開く事にした。
じゃなっ!かわいい、かわいい狼ちゃん。ひゃっはははっ!』
完全に電波で個人を指名している。
これは戦いを挑んで来ている。
「うるせぇ…」
「まだ寝てなきゃ駄目だろっ!」
「あいだけは倒さなきゃだめだ…」
「当たり前だが、そんな傷で…」
ベタな展開が始まる。
物語の主人公が戦いで傷付き、床に臥せるが敵が攻めて来る。
そして、傷だらけで戦いに挑む。
「武器はどれだけある?」
「駄目だろっ?!人の話聞いてたかっ?!
ふらついた身体で部屋の中を歩き始める。
「まだ、弾は残ってるだろ…」
「あぁ~、もう解ったっ!解ったっ!レーザーブレードのスペアが二本とハンドガン。
Ak47とショットガンにマシンガンだ。それに催涙弾だ。後、必要なのは?戦争でもする気か?」
「あぁ、戦争だ。俺と奴の」
以前の自分は逃げていた、一度敗北を味合うとそれをずっとその味に負けていた。
何をするにもずっと失敗が怖くなっていた。
以前は期待の新人ヒーローで周りの羨望の眼差しを向けていた。
そんな自分に酔っていたし、このまま順調に行くと思っていた。
だが現実はそんなに甘くない、必ず壁が登場する。
突如と現れた怪人に歯が立たずに敗北。
その後に他のヒーローが掛け付けて、その場は何とかなったが完全に自尊心が音を立てて折れた。
悪いのは怪人でも他人でも助けてくれたヒーローじゃない。
悪いのは失敗を経験に出来なかった自分だ。
それから怪人クラブの下位戦闘員として、働いていた。
逃げていたのだ、挑戦する事に脅えて。
だが、もう逃げない。
数年間、怪人クラブにやって来た事は決して無駄じゃない。
それにあの巨大怪獣に比べたら、どんな強者もただの人間だ。
『怪人が出現しました。繰り返します、怪人が出現しました。
外出している民間人は近くの建物か非難シェルターに移動してください』
怪人警報が鳴り響くと同時に巨大な爆発音が響く。
『ひゃっははははっ!おいっ!出て来ないと、無関係で善良な市民が死ぬぞっ!
ダークヒーロー気取りの犯罪者の灰色の狼ちゃぁんっ!ひゃっははははははっ!』
建物内にも響き渡る、悪意に満ちた声が傷だらけの身体に闘志を燃やす。
決意を込め、スーツを着る。
「行くのか?」
「あぁ、俺がケリをつける。お前は逃げろ、そもそもお前は関係ない」
「おいちょっと待てっ!」
完全武装して元怪人クラブ戦闘員、灰色の狼は自分の罪を清算に向う。




