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ヌヴェル02 奇蹟の古時計

作者: 寺澤樹生
掲載日:2026/08/23

「これが、100年動き続けた古時計ですか?」

私は、町の広報誌の記者。グッドマン家の居間に置かれた大きなノッポの古時計の前にいる。

町の広報誌は、他愛のない出来事を取り上げては、ほのぼのとした情報を町民に届けている。

今日は、グッドマン家の当主デニーグッドマンと一緒に100年生き続けた古時計の取材にやってきた。

時計の側面には、「この時計が、愛するデニーとともに、100年生き続けますように」と書かれている。


執事「私の先々代が執事のとき、グッドマン様がお生まれになり、そのとき、この時計がやってきたのです」

私 「やってきた?買ってきたではなく?」

執事「ええ、やってきたのです。先々代が書いていたグッドマン史記がありますが、そこに“やってきた”と書かれています」

童謡“大きな古時計”を彷彿とさせる歴史を持つこの時計。確か童謡では、“買ってきた”はずだったが。


私 「それから、当主が生きられた100年の間、この時計は動いていたんですね。で、当主が亡くなられた時期に合わせるかのように、動きが止まった」

執事「いえ、まだ動いています」

私 「あーはいはい、ですね。確かに動いてる。当主が亡くなられたのは、2年とちょっと前ですよね?じゃあ、102年とちょっと動いていると?」

執事「2年と24日前です、亡くなられたのは」

私 「では、時計が長生きしているのか」

執事「グッドマン史記を見ますと、グッドマン様は、2年と25日、海外で暮らされており、その間この時計を休ませていたということが書かれています」

私 「ということは、その期間分、動き続けているということかな?」

執事「そのようです。なんといいますか、時効のような」

私 「では、明日もう一度来させてもらおうかな。時計の動きが止まるかどうか、これは面白い記事になりそうだ」

執事「私も期待しているのです。不謹慎ですが」

私 「やはり、時計の動きが止まるか、どうか?」

執事「いえ、どこへ帰っていくのかと・・・」


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