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第六話 母の死
第五話 謎の女 の続きです。
ヴィクターは泣いた。
赤子が、赤子の様に泣いていた。
それは、彼がこの世界にやってきてから初めての涙だった。
半年という短い時間は母との絆を作るのに十分過ぎた。
彼は母に愛されていた。
世界で一番、愛されていた。
――――――
小一時間ほど経った後、ヴィクターは落ち着きを取り戻した。
彼は悲しんでいたが、前を向いていた。
そして、決意を固める。
強くなる。と、
「お前の父親なんだが、心配するな。
アイツは強いからな。赤子に言うことじゃないが、男なら泣くな。」
忘れていた事を思い出した様にアレニアが言う。
ヤッベ、父さんのこと完全に忘れてたわ……
強くなって、父さんを探そう。
俺はもう泣かない。
朝日が昇る。
暖かい光がヴィクターの涙を照らし、彼の顔は輝いていた。




