何気なく
朝、いつも通り廊下を歩いた。
───何かが違う。
ふと、そんな違和感を感じた。別に不吉なものなんかじゃなくて。なにかドラマや物語の場面が変わった、そんな気付きだ。ただの金曜日、昨日である木曜日とさほど変わるはずもない。一つあるとすれば休日を待ち侘びる生徒達の気持ち位だ。
本格的な秋が始まったからか、
冷たく静かな風が頬を撫でる。
青一色だけで描かれた様な、
澄み切った空。
生徒達の騒めく、
冷たく閑静な廊下。
実は何かが始まったのではないか、
そんな事がふと頭をよぎった。でもきっと私はエキストラだ。悲しい事だけれども。主役は他の誰かだろう。
───私には知る由もない。
主役達はどんな物語を紡いでいるのだろうか。心が踊る。出来れば今のシーンが心地の良いものであれば、と思う。
─── 少し感傷的になる。
また、いつも通り日常が始まった。