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Vogelscheuche  作者: 月乃宮 夜見
とある日常
3/39

第2話

 見せ物屋の声が届かないほどの奥に進むと、闇市に出る。


 闇市はほぼ治安が良いとはとても言えない状態のマホドーラの中でも、()()に治安が悪い。そもそも売り物の大半が盗品や内臓、薬だったりする。或いは、特殊な武器。


 トイフェルは闇市の雑踏を歩く。トイフェルはそこそこに背の高い部類に含まれる為、普通の雑踏の中ではほんの少し目立ってしまう。しかし、闇市では周囲の奴らはそこそこに背の高いので、あまり悪目立ちをしない。そうでなくとも、闇市の雰囲気が、トイフェルにはとても居心地の良いものであった。



×



「……」


 導かれるように入店した武器屋は、特殊な武器を扱っていた。盗品や、死体漁りで得られたものもいくつかあるだろう。


 その中で、トイフェルは一つの武器に目が奪われてしまった。


 ——それは、古めかしい、ただの銃。


 店主の話によると、川を漁っていたら見つけたものらしい。何故だか、火薬を詰めても弾を込めても一切発砲出来ない(なまくら)銃らしいが、デザインが良い為に置物として売ってあるらしい。


「……(ただの鈍……そんなわけ、無い、だろ)」


 こういうものは、特定の魔力、魔法で発動するものだ。


「……」


 その銃は、とても手に馴染んだ。


 とても、懐かしい感じがした。


 ——何故だか、とても、古い銃(それ)が欲しかった。


 店の内部に居るのは、自身を含めて4人ほどだった。店員は店主以外には居らず、店主は流れるTVショーに、他の客達は素晴らしい武器達に夢中のようだ。トイフェルは古銃をさっと手に取り、


『っ、野郎!』


店を出る前に、パン、と軽く発砲されたそれを運良く避け、そのまま店を飛び出した。追手は現れなかったが、用心しておくに越した事はないので、早々に闇市を去る事にした。



×



 店が見えなくなる角を曲がった途端、トイフェルは反射的に壁に張り付いた。それと同時に、目の前を銃弾が掠めていった。


「……何だ?」


マフィア達の抗争が始まっていたらしい。


 巻き込まれたくない人達が逃げようと騒ぎ出し、人混みが大いにごった返す。


 人混みを掻き分けるのが面倒だな、と考えていると、


『泥棒だ! 蜥蜴みてえな男だ!』


と、店主らしき声が聞こえた。このままここに留まっていれば、確実に捕まってしまい面倒な目に遭う。ここは、マフィアの抗争(この状態)を上手く利用して逃げる以外に道は無い。トイフェルは迷わず飛び込んだ。

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