死んだあと、異世界の死霊術士見習いの女の子に、スケルトンとして召喚された。
短編です。m(_ _)m
気づいたら骨になって、いかにも魔法使いですというような女の子が目の前にいた。
「やりました!お師匠様!」
「…このスケルトンもしや。いや、なんでもない。契約の確認は大丈夫か?」
「今、確認します。大丈夫みたいです。でも、ステータスはちょっと弱いかも。生前戦う方じゃなかったのかもしれません…。」
「まあ、良いだろう。初めての召喚だ。次は、もうちょっと強いのと契約出来ると良いな。」
俺は、物扱いか…。
好き勝手言ってやがる。
でも、まあ、女の子が可愛いから許そう。
師匠もなんか、色っぽいし…。
そんな感じで、師匠を見ていると、師匠はこっちを不快そうににらんだ。
「このスケルトンからは、生前すけべだったような感じを受ける。あまり、召喚しない方がいいかもしれないな。」
「えっ?師匠、そんなことまでわかるんですか?」
「ただの勘だ。とりあえず、召喚しているだけでも魔力は使う。どこかにこやつのねぐらを作ってやれ。」
「はい。」
魔女っ子は手のひらを出す。
そして、何か呪文を唱えた。
「手のひらか、まあ、無難なところだな。」
俺は、魔女っ子の左手のひらに収納された。
収納された俺。
どうやら、外の様子も見える。
見えるというかわかる。
俺は骨だから、目もないんだが、どうやら、何か別の方法で見ているらしい。
魔力的なものかもしれない。
俺は、真っ暗な宇宙のような空間で座禅をする。
意味があるかは、わからない。
そう言えば、あの子、ステータスとか言ってたな。
俺でも見えるのだろうか。
『ステータス。』
心で念じてみる。
スケルトン
LV1
HP1/1
MP1/1
スキルなし。
他にも色々数字が並んでいた。
しかし、比べる相手もいないので、よくわからない。
重要なのは、MPがあるなら、魔法が、使えるかもしれないということだ。
俺は、また座禅を始めた。
さて、しばらく座禅したし、外の様子を確認しよう。
女の子はっと。
何やら、森で戦っていた。
隣には、俺より強そうなスケルトン2体。
俺は、しっかりステータスを確認する。
スケルトン
LV8
ステータス俺の10倍くらい。
スキル
身体強化 LV15
剣技 スラッシュ LV37
盾技 パリィ LV20
スケルトン
LV9
ステータス俺の20倍くらい。
スキル
狂化 LV5
俺の無い目から涙が出た気がした。
魔女っ子…そりゃないぜ。
俺の多分、後輩スケルトンたちは、森のモンスターを相手に頑張っていた。
いつの間にか、スキル集中を手に入れていた。
関係ないがな。
どうせ、俺のこと召喚してくれることはないだろうし…。
それからの俺は、女の子のお風呂を覗いたり、色々覗いたりした。
勉強になったのは、師匠さんの修行だ。
俺は、魔法やら死霊術やらを覚えようと必死になって頑張ったね。
まあ、覚えても仕方ないとは思っていたが。
どうせ、召喚してくれないんだから…。
…召喚か。
勝手に出られないかな?
そんな感じで目標が決まった。
ステータス
スケルトン
LV1
HP1/1
MP11/11
スキル
集中 LV147
魔力操作 LV24
ある日のこと。
魔女っ子は、森の奥に来ていた。
どうやら、狼の群れに目をつけられたらしい。
でも、大丈夫だろう。
彼女を守るスケルトンは、2体も増えて4体体制だから。
そう、思っていたのだが、結構まずそうだ。
ステータスで確認したところ、群れはすでに30体を超えていた。
それだけでなく、まだ追手が増えていた。
スケルトンが、1体やられ、また1体やられた。
俺としては、寝取り男(寝取りスケルトン)がやられていく様は、爽快だった。
しかし、これ魔女っ子もヤバいのでは…。
そんなことを考えていたら、魔女っ子が気絶した。
魔力切れだろう。
まだ、動いていた寝取りスケルトンは、送還される。
俺は左手のひらから勝手に自分を召喚した。
MP消費は2残り9使える。
死霊術を使う。
幸い、この周りには、死にたての狼が10体以上転がっている。
俺は、狼ゾンビの群れで、狼を攻撃しつつ、魔女っ子を守り、森の浅い所に、運んだ。
そして、俺は、まあ、そんなに長くは保たない。
魔女っ子に召喚されたわけではないので、狼どもに骨を砕かれ、そこに朽ちることになった。
…なったのだが、俺は意識が消えずに残った。
砕かれた頭蓋骨の1番大きいところが今の俺である。
ステータスも確認出来る。
スケルトンLV3
HPなし
MP0/15
スキル
不死 LV1
集中 LV156
魔力操作 LV30
召喚 LV2
死霊術 LV2
契約モンスター
フォレストウルフゾンビ ×11
さて、これからどうしようかと思っていると誰かが、俺を拾いに来た。
師匠だ。
「あらら。これまた、数奇なものだね。不死のスキルが、こんな所に落ちてるなんて…。それくれたらあんたのこと治してあげるよ?まあ、決定事項なんだけどね。」
「あれ?私、どうして?」
魔女っ子は目を覚ます。
「起きたかい?奥には行くなって言っていただろう。」
「師匠?師匠が、助けてくれたんですか?」
「わざわざ、お前みたいなアホンダラを助けに行くもんかい。自力で戻ったんじゃないのかい?」
「私は…。あ、スケルトンさんたちとの契約が…。」
「やられちまった奴は、気にすんな。また、未練があれば出てくるだろう。それより、まだ契約の続いている奴らを見てやりな。」
「あれ?師匠。最初に契約した子が出て来ないです。」
「契約は続いてるのにかい?」
「はい…。」
「おかしなこともあるもんだね。ちょっと、出てくるよ。」
「あ、師匠…。行っちゃった。」
というやり取りがあったことも知らない俺は、師匠に色々な部位を持ち帰られ、無事に師匠宅まで生還した。
師匠宅につくと、まず、師匠に、スキルドレインというスキルを使われた。
俺は、不死では無くなったようだ。
「私は、この不死のスキルを求めて、死霊術を勉強したのさ。」
俺に聞こえるように教えてくれた。
俺は、大鍋に放り込まれる。
色々な材料とともに溶けていく。
「ゆっくり食って行きな。周りのはあんたのエサだよ。」
俺は、溶けていく。
意識が飛ばないように、集中する。
しばらくして、俺は、石になった。
「聞こえるかい?聞こえなくてもいいが、次の体を用意しよう。どんなんがいい?」
『マントか杖がいい。』
「お、やっと、話してくれたね。じゃあ、マントにしよう。あの子は杖は持っているからね。」
師匠が、魔力を込めると俺の体がどんどん変化していった。
俺も魔力に反発しないように力を抜く。
2分足らずで、材質が不明のマントになった。
スケルトンマント
LV3
HP45/45
MP52/52
形態変化 LV2
集中 LV175
魔力操作 LV32
召喚 LV2
死霊術 LV2
俺は形態変化でスケルトンにもどった。
色は黒っぽくなっている。
だが、魔女っ子は、すぐに俺だと気づき、左手のひらに俺を戻した。
「師匠!なんかかっこよくなってました!」
「色々あったのさ。それより、私を召喚できるかい?」
「師匠!ついにですか?」
「ああ、長かったよ。あんたのおかげでもある。さあ、私を召喚してくれ。」
「わかりました。召喚します。」
ノーライフクイーン LV548
「師匠。大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だよ。一応契約は残しておこう。」
そんな一幕を見つつ、俺はマントになったり、スケルトンになったりを繰り返した。
師匠がいるなら、俺の出番はほとんどないことだろう。
俺は、また、さめざめといじけるのだった。