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歴史

早朝トレーニングの後、アインツは筋肉痛を耐えながらいつも通り学校へ登校した。

しかし、アインツは授業中完全に眠ってしまう。

当然だろう。

昨日は睡眠不足だった上に、早朝のランニングがかなり堪えていた。

真面目なアインツは必死に睡魔と戦っていたが力尽きたのだ。

今は教科書を読んでるように開いて立てたまま、完全に机に伏して寝ていた。

もちろんそんなことが先生にバレないはずもなく、先生はそっとアインツの横に来て頭に優しくチョップをお見舞いする。

「はぅ!」

アインツは変な声を上げて目を覚ました。

その様子を見て周りの子供たちは爆笑する。

先生は何も言わず長いブロンドの髪を揺らしながら、優雅に教壇の方に戻る。

「さて、授業を続けるからお前らしっかり話聞いとけよ。」

今はこの国の歴史を学ぶ授業の途中だった。

アインツは寝起きでありながらも、しっかりと前を向いて話を聞こうとした。

「まず、我が国の歴史だが…我が国ニコロ王国は元々複数の小さな国々が集まる連合国だった。」

先生は黒板に張られた地図の中心を指しながら説明する。

「だが、この国の西側にある山脈には多くの魔獣が生息し、度々人里に降りては作物を荒らしたり、家畜を食べたりと人々の生活を脅かす存在になっていた。」

ニコロ王国は周囲を大地に囲まれた国である。

西側は広大な山脈が広がり、南側には砂漠、北東には隣国であるガーナダ王国がある。

「その魔獣たちに対抗するために作られたのがラナダ要塞だ。」

そういって先生は山脈の麓を指す。

「ラナダ要塞は魔獣が人里に降りてこないよう監視するために作られた要塞だ。この要塞が出来てからは魔獣の被害が激減した。要はこの国の平和の象徴というわけだな。」

アインツは先生の話を聞きながら、必死にノートをとる。

他の生徒も皆似たような感じだ。

「で、ラナダ要塞が完成した後。その要塞の建築を計画し、諸外国の連携に尽力したニコロ氏を王として、ニコロ王国が建国されたっていうわけだ。」

そして先生は1枚の肖像画を黒板に張る。

初代ニコロ王の肖像画だ。

白髭がもっさりと生えたおじいちゃんではあるが、とびっきりの笑顔なのが特徴だ。

「それからニコロ王国は発展を続け、今や100を超える都市や村が存在するというわけだ。我々が住んでいるこの村、イシュテールもその一つだな。」

イシュテールはニコロ王国の北西に位置する。

ラナダ要塞には比較的近い村だ。

「ちなみにお前達、兵役というものを知っているか?」

その先生の質問にほとんどの子供は首を横に振る。

「兵役というものは一定期間の間、軍隊に所属することを義務付ける制度だ。この国では20~30歳までの間に5年間軍隊に所属する義務がある。男子限定だがな。」

その言葉に不満を言う男の子達と喜ぶ女の子達。

先生が「こほん。」と咳ばらいをすると、皆一斉に話すのをやめる。

「まぁ、女子も軍隊に所属できないわけではないが、女性兵士は1割にも満たないな。まぁ望んで兵士になるような輩はあまりいない印象だ。お前たちもそうだろう?」

子供たちは一斉にうなずく。

兵士が辛く苦しい仕事だと理解しているからだ。

すると一人の男の子が手を上げる。

「どうした?何か質問でもあるか?」

「兵役を逃れる手段ってないんですか?」

その問いに先生はにやりとする。

「いい質問だ。国外逃亡するとか、偽の死亡届を提出するとか犯罪じみた方法はいくらでもあるが、合法的な手段を一つ君たちに教えよう。」

その先生の言葉に教室でどよめきが起こる。

「それはアルマのプロ選手になることだ。」

その先生の言葉を聞いて、アインツだけは目を輝かせた。

「アルマのプロ選手は兵役を免除される。何故ならアルマのプロ選手が一番活躍する歳が20~30歳だからだ。アルマの活動を邪魔しないために特例で認められている。」

先生は教壇に両手を付き前のめりになる。

「だが、この中にアルマのプロ選手になれるやつはいるか?」

多くの子供たちは無理だと諦める中、アインツだけは大きく手を上げた。

「僕!アルマのプロ選手になります!」

その言葉にみんな一瞬言葉を失うが、沈黙の後、爆笑が教室内を埋め尽くした。

そう、みんなアインツがアルマのプロ選手になれると思っていないからだ。

先生も笑いながら「おう、頑張れ頑張れ。アインツならなれるぞ。」と心にもない言葉をかけたが、アインツは嬉しそうに「はい!頑張ります!」と素直に受け取った。

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