表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/53

アイデア

ザラがゴールを決めたことは、アインツ達にもすぐに伝わった。

そして、ジャドンはこの状況がまずいことだと理解する。

「ザラがすでにゴールを決めたということは、新たなボールを取りに水晶柱へ戻って来るということだ。急がないとザラに邪魔されるぞ!」

アインツとジャドンは急いでゴールを攻めるべく、走る速度を上げる。

ザラは中央のライン、最短距離を移動している。

ザラなら5分もあれば戻って来れる距離だろう。

つまり、これから5分間の間にアインツ達はゴールを決めなければいけない。

でなければザラが水晶柱まで戻って来て、アインツ達の攻撃を妨害できるようになるのだ。

「ザラが帰って来たら、ゴールを決めるのがかなり困難になるだろう。その前に勝負を決めないといけないな」

ジャドンの言葉にアインツはうなずいた。

アインツがもっているボールは上限いっぱいの100ポイントである。

これを決めれなければAチームの勝利はない。

アインツのボールを持つ手に力が入る。

このボールはAチームの皆が勝利を信じて託してくれたボールだ。

Aチームみんなの希望がこのボールに詰まっている。

「僕が必ずこのボールを決めてみせます!」

アインツの気合が入った一言にジャドンは笑顔を見せる。

「アインツくん、その意気だ。必ずみんなの力でこの試合勝とう!」

二人は更に走るスピードを上げる。

しばらく走ると、相手の水晶柱が見えてきた。

そこに立ち塞がるのはツクオとジェットだ。

ツクオは相変わらずアインツに対して、強い憎悪を抱いている。

ツクオは加入テストという大事な試合でアインツに無様にやられ、身勝手な行動のせいでチームメイトからの信用も失った。

ツクオはそれをアインツへの憎悪に変えて、今この場に立っている。

ツクオはアインツの姿を見つけた瞬間叫んだ。

「アインツぅぅ!!お前は!!絶対許さない!!」

ツクオはアインツの姿を見るなり、無数の水弾を放つ。

それに対してアインツも引かない。

ツクオに対して相打ち覚悟の攻撃を行う。

「ライト・ワン!サンライト・ショット!」

二人の放った一撃はぶつかり合い、威力を落としながらも相手に向かって飛んでいく。

ツクオはアインツの一撃を受け、シールド値を800に減らす。

また、アインツも同じようにダメージを受けてシールド値を800に減らした。

互角の戦いだ。

しかし、アインツとツクオには決定的違いがある。

それはボールの有無である。

アインツはボールを所持しているため、シールド値が0となればボールのポイントが失われる。

それに対してツクオはボールを持っていないので、ポイントを失うことはない。

ツクオからすればたとえアインツと相打ちでも大手柄だ。

ツクオは続けてアインツに攻撃を仕掛ける。

そんな二人に割って入ったのはジャドンだ。

「アース・ワン!グランド・ウォール!」

ジャドンはアインツとツクオの間に土の壁を作り出す。

ツクオの水弾はジャドンの作り出した壁に阻まれアインツに届かない。

その間にジャドンは興奮したアインツを落ち着かせる。

「アインツくん。ここは俺が彼の攻撃を防ぐから、その隙を見て攻撃をするんだ!」

ジャドンはアインツの攻撃力を信じてサポートに回る。

その間にアインツは再びツクオへ攻撃を行った。

「ライト・ワン!サンライト・ショット!」

アインツの放った光の弾は、勢いよくツクオに向かって飛んでいく。

だが、そんなツクオを守るように風の障壁がアインツの光の弾を防いだ。

それはジェットの作った風の障壁だ。

Aチームはアインツが攻撃し、ジャドンが防御する。

対してBチームはツクオが攻撃し、ジェットが防御する。

お互い2対2の戦いで、攻守は均衡していた。

こうなって来ると、後は攻め方の問題である。

アインツはジャドンに言われた言葉を思い出す。

近接魔法もアイデア一つで効果が変わると。

アインツは今まで相手を攻撃することにしか自身の魔法を使っていなかった。

だからこそ、新たな使い方を今見出そうとしている。

「ジャドンさん!僕の目の前に大きな岩を作ることってできますか!?」

アインツの言葉にジャドンは驚きの表情を浮かべる。

「できるけど…いったい何をするつもりだい?」

「ちょっと試してみたいことがあるんです」

アインツの真剣な表情を見て、ジャドンはアインツを信じようと思った。

ジャドンはアインツの前にアインツの背丈を超えるくらいの岩山を作り出す。

ツクオとジェットはその目的がわからず警戒する。

周りが皆不思議がっている中、アインツは岩山に向かって魔法を放った。

「ライト・ワン!サンライト・ショット!」

アインツが放った光の弾は岩山に当たると爆発を起こし、岩山の先端を吹き飛ばす。

吹き飛ばされた岩山は無数の岩石弾となり、ツクオとジェットに降り注ぐ。

それはまるで噴火の時に飛んでくる噴石のようだった。

「ツクオ!急いで魔法を撃て!」

ジェットは叫び、急いで風の障壁を作り出す。

ツクオは予想外の事態に焦りながらも水弾を放って岩石弾を撃ち落とす。

しかし、いくつかすり抜けた岩石弾はツクオに当たり、シールド値を600へ削る。

アインツが考えた爆発による岩石弾は、範囲魔法となっていた。

一つ一つの威力は小さいが防ぐには広域の防御魔法が必要となる。

実に厄介な代物だった。

「アインツくん。これならいけるよ」

ジャドンは再びアインツの前に大きな岩山を作り出す。

アインツは先ほどと同じように岩山の先端を光の弾で吹き飛ばした。

「いけぇぇぇ!!」

アインツの叫びと共に、再び岩石弾が降り注ぐ。

ジェットはツクオを守るため、ツクオの前に出て風の障壁を作り出す。

「ウインド・ツー!ストーム・リフレクション!」

ジェットの作り出した風の障壁は岩石弾をはじき返しながら完全に防ぐ。

ジェットもツクオも岩石弾を無傷でやり過ごすことができた。

と、思っていた。

だが、アインツの本当の狙いは別にある。

アインツは吹き飛ばした岩山の頂点に立ち、すでに次の魔法を放つ準備をしていた。

「ライト・ワン!サンライト・ショット!」

アインツは渾身の一撃をジェットに向けて放つ。

一方ジェットは先ほど防御魔法を放ったばかりで、次の魔法を放つ準備ができていなかった。

また、ツクオも目の前にジェットがいたため、アインツの攻撃に反撃することができない。

結果としてアインツの攻撃はジェットに直撃し、ジェットはシールド値を500まで一気に削られる。

アインツの作戦は上手くいった。

ジェットはダメージで膝をつく。

だが、まだここにはツクオがいる。

ジェットはツクオに叫んだ。

「先にジャドンを倒すんだ!そうすればあの岩山は作り出せない!」

そう、アインツを倒すより先にジャドンを止めればこの岩石弾作れない。

だからこそジェットは先にジャドンを狙うよう指示を出した。

ツクオはジェットの指示通り、ジャドンに向けて水弾を放つ。

ジャドンはそれを防ぐため土の壁を作り出す。

そのように思われていた。

だが、ジャドンは壁を作らずにそのままツクオの攻撃を身体で受ける。

「なに!?」

この行動にツクオは驚いた。

ジャドンは水弾を一気に受けて、シールド値を500まで減らす。

だが、ジャドンがわざわざ攻撃を受けたのには理由がある。

ジャドンは自分の身を犠牲にしても、アインツが攻撃できるよう岩山を作ったのだ。

そんなジャドンの覚悟を受けて、アインツは更に力を込めて光の弾を放つ。

アインツの攻撃は岩山の上半分を吹き飛ばし、更に多くの岩石弾を降らせる。

ジェットは風の障壁を作るが、自分の身しか守れない。

ツクオは岩石弾による攻撃をモロに受けてしまう。

結果、ツクオのシールド値は100になる。

「まだだ!」

ツクオは必死に立ち上がるものの、そんなツクオの前にはすでにアインツが迫ってきていた。

そして、アインツはツクオに止めの一撃を放つ。

「いけぇ!ライト・ワン!サンライト・ショット!」

アインツの放った光の弾は、ツクオの身体をフィールドの外へと吹き飛ばす。

これでBチームの守りはジェット一人となった。

「クソ!」

ジェットはせめてアインツを倒そうと、アインツに向かって風の弾を放つ。

しかし、そんなジェットの攻撃はジャドンによって作られた土の壁に阻まれた。

アインツは右手に光のマナを力いっぱい作り出す。

その輝きはいつもよりも明らかに多かった。

アインツはこの攻撃で全てを終わらせるつもりだろう。

そう察したジェットは急いで風のマナを作り出し、障壁を張る。

「ウインド・ツー!ストーム・リフレクション!」

これで攻撃を受けてもまだ耐えることができる。

ジェットはそう思っていた。

だが、アインツはさらにジェットの予想を超える行動を起こす。

「いけぇぇぇ!」

アインツは光の弾をあろうことか、自分の目の前にある地面へ向けて放ったのだ。

当然、その地面は衝撃で抉られ、辺りは砂煙に包まれる。

「なんだ!?いったい何が起きた!?」

ジェットは状況を理解できず辺りを見回す。

すると、砂煙の中から飛び出した影を見つけた。

ジェットはその影がアインツだと思い、急いでその影を追う。

だが、しばらくしてジェットは自分の過ちに気が付いた。

その影はアインツではなくジャドンだ。

ジャドンは砂煙で視界が悪くなったを利用し、自分がジェットを引き付ける囮となったのだ。

それにジェットが気づいた時にはもう遅い。

アインツはジェットがいなくなった水晶柱の前まで走り出していた。

「これで決める!」

アインツはヴァリーとの朝練中、必死に練習したジャンプショットを放つ。

これは少しでも強く、少しでも速く、シュートするためにアインツが身に付けた必殺シュートであった。

アインツの投げたボールは勢いよく水晶柱にぶつかり、ボールが天高く跳ね上がる。

アインツのゴールが決まった。

これでAチームに100ポイントが加算される。

だが、まだ終わってはいない。

Aチームはまだジャドンが持っている50ポイントのボールがある。

アインツはすぐさまジェットを攻撃しに反転する。

対してジェットはジャドンを倒そうと攻撃魔法を放つものの、ジャドンの防御魔法を打ち砕くことはできないでいた。

ジェットはあくまでもCK、防御を中心とする選手である。

そのため、相手を攻撃することは得意ではなかった。

ジェットが手間取っているうちに、アインツはジェットとの距離を縮める。

そして、射程圏内に入った瞬間、光の弾をジェットに向けて放った。

ジェットは風の障壁で攻撃を防ぐ。

だが、光の弾の一部は貫通し、ジェットのシールド値を300に減らす。

また、アインツも跳ね返った光の弾を受け、シールド値が600になる。

しかし、アインツはすでにボールを持っていない。

ここで相打ちになったとしても、ジェットを止められればそれで良かった。

アインツがジェットを引き付けている間に、ジャドンは水晶柱に向けて走り出す。

ジェットはジャドンの妨害しようとするが、目の前にいるアインツがその邪魔をする。

ジェットはこの場から離れられなかった。

ジャドンは必死に走った。

ジャドンが持っているボールは50ポイント。

ここで決めればAチームが逆転できる。

ジャドンはボールにAチームの希望を乗せて、水晶柱に向けて思いっきり投げた。

「これで逆転だ!」

ジャドンの投げたボールは水晶柱に向けて一直線に飛んでいく。

誰もがこれでAチームが逆転すると思っていた。

しかし、無情にもジャドンの投げたボールは受け止められる。

そのボールを止めた人物は…ザラだった。

「なっ、なんだと!?」

ジャドンはひざから崩れ落ちる。

アインツとジャドンがゴールを攻めてから、まだそんなに時間は経っていない。

しかし、ザラはシグルムの情報を元に自陣ゴールが危ないと知り、タラリア・ウイングを使って駆け抜けて帰って来たのだ。

「危ないところだったよ、ジャドン。もう少しで逆転を許すところだった」

アルマのルールとして、相手にボールを奪われた場合ボールに込められたマナは失われる。

結果、ジャドンの持っていた50ポイントは失われてしまった。

「さぁ、まだバトルを続けるかい?ジャドン」

ザラは余裕の表情でジャドンに聞いた。

だが、ジャドンは無言のまま自陣に向かって歩き出す。

ボールを持ってない状態で、ザラと戦う意味がほとんどなかったからである。

アインツも攻撃が失敗したことを理解して、ジェットとの戦いを中断する。

ジェットからすれば一命を取り留めた状態だった。

ジェットはザラのところを駆け寄る。

「本当にありがとうございます」

ジェットがザラにお礼を言うが、ザラはジェットのことをまったく見ずに、自陣へ引いていくアインツのことばかり見ていた。

ジャドンと協力したとは言え、ここまでBチームを脅かした存在として、アインツに対して更に興味がわいたのだ。

「この試合。本当に面白いことになりそうだよ」 

そういってザラは笑った。

Aチームは逆転できなかったものの、100ポイントを獲得する。

これにより点差は大きく縮まることとなった。

現在 Aチーム250:Bチーム290

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ