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有翼

ザラはアッサが囮になったおかげで、要塞地帯をなんなく突破する。

ザラは不意打ちを警戒していたが、気が付けば無傷のまま水晶柱前に到着した。

水晶柱前ではジャドンとクルドマンがザラを待ち構えている。

「二人でお出迎えか、なかなか手厚い歓迎だな」

ザラはそう言って、二人の様子を確認した。

ジャドンは相変わらず石の球を持ち、いつでもこちらに投げれるよう構えている。

クルドマンもお得意の火のマナをすでに用意し、準備万端といった雰囲気だ。

慎重に様子を伺うザラに対して、ジャドンが口を開く。

「ザラ、お前が一人になるよう仕組んだのは俺だ。ここで俺とクルドマンが必ずお前を止めて見せる!」

ジャドンはヴァリーに対して、ザラと他のプレイヤーを分かれさせるよう指示を出していた。

それは、一番の障害であるザラを完璧な状態で迎え撃つつもりだったからである。

「行くぞザラ!」

ジャドンは早速石の球をザラに向けて投げる。

ザラはそれを避けると同時に魔法を放つ準備をした。

「ウインド・ツー!アサルト・バーズ!」

ザラは風のマナで三羽のシマエナガを作り出し、ジャドンに向かって突撃させる。

そんなシマエナガからジャドンを守ったのはクルドマンだった。

「ファイヤー・ツー!レーザー・ネット!」

クルドマンが作り出した炎の網は、シマエナガを捕え爆散させる。

その様子を見てザラは二人の戦法を理解した。

「攻撃はジャドン、防御はクルドマンがそれぞれ行うことで、お互いに隙を無くそうというわけだな」

それぞれの役割がはっきりしていれば、それだけ判断に迷うことがなくなる。

結果としてタイムロスが少なくなり、攻撃の手数を増えるのだ。

これがジャドンの考えたザラ対策である。

それに対してザラは、ここで確実に得点を決めたいと思っていた。

点を決めることができればBチームは逆転し、さらに70点の点差をつけることができる。

この点差は簡単に覆せるものではなく、確実に後半有利に働くだろう。

だからこそ、どんな手を使ってでもザラは得点することを決意する。

「あれを試すか」

ザラはジャドンの攻撃を避けながら、新たに風のマナを作り出す。

「ウインド・ツー!タラリア・ウイング!」

ザラは自分の足首に翼を生み出した。

その姿はまるでギリシャ神話に出て来るヘルメスのようである。

「まさかこれを使うことになるとは思わなかったな」

ザラがこの魔法を試合で使うのは初めてだ。

何故ならこれは鳥の生態を研究するときに試しで作った副産物である。

ザラは熱心な鳥類愛好家としての一面を持っている。

そんなザラは様々な鳥の生態を理解するため、魔法で疑似的に鳥を作って研究をしていた。

そのとき生まれたのがこのタラリア・ウイングである。

足首から翼が生えたザラを見て一番驚いたのはジャドンである。

ジャドンはザラがこんな奥の手を持っていることを一切知らなかった。

もちろんジャドンはこれがどんな魔法なのかまったくわからない。

だが、それでも攻めるしかないとジャドンは石の球をザラに向けて投げる。

そんなジャドンが投げた球を、ザラはハードルを越えるように軽々と飛び越した。

これにはザラ自身も少し驚いている。

「思った以上に身体が軽くて動きやすいな。こんなに実用的ならもっと早く試合で使うべきだった」

タラリア・ウイングは身体を身軽にし、ジャンプ中の滞空時間を延ばしていた。

そのため、地面を転がる石の球を避けるには最適な魔法である。

ジャドンはザラに向けてどんどん石の球を投げるが、ザラは石の球を飛び越えながら水晶柱に向かって勢いよく走ってゆく。

もはやジャドンの攻撃ではザラを止めることはできなくなっていた。

その様子を見ていたクルドマンはしびれを切らして攻撃に出る。

「ファイヤー・ワン!フレイム・ポイント」

クルドマンが放った無数の火球はザラを囲むようにして停止する。

そして、次の瞬間ザラに対して一斉攻撃を始めた。

「これでもくらえ!ベクトル・レーザー!」

ザラを囲んだ火球は、お互いを直線でつなぐようにレーザーを放つ。

無数に飛んでくるレーザーを全て避けるのは困難だ。

だが、ザラはここでためらわず、水晶柱に向かって走るのをやめなかった。

ザラはレーザー身体に受ける。

ザラがレーザーを受ける度にシールド値は900、800と徐々に削られていった。

それでもザラは走るのを止めない。

何故なら、CKであるクルドマンが攻撃に集中している今こそ、シュートを放つ最大のチャンスだと考えたからだ。

ザラはタラリア・ウイングのおかげで走る速度はかなり上がっている。

そのため、シールド値を500残した状態でザラはシュート圏内に突入した。

だが、もちろんクルドマンも黙って見てはいない。

炎の網をザラに向けて撃ちだした。

炎の網はザラの身長と同じくらいの高さで、避けることはできないように見えた。

だが、ザラは勢いをつけたまま飛び上がる。

もちろん炎の網を飛び越えるほどの高さはない。

しかし、ザラはここで思わぬ行動に出る。

「ウインド・ツー!アサルト・バーズ!」

ザラはシマエナガを再び作り出し、それを足場にしてさらに飛び上がった。

普通ならシマエナガがザラの重さに耐えきれることはなかったのだが、今のザラはタラリア・ウイングで身軽になっている。

そのため、シマエナガを足場にすることができたのだ。

ザラは炎の網を超えるとそのまま手にしていたボールをサイドスローで投げる。

「これで終わりだ」

ボールは水晶柱の高い部分に当たってゴールとなった。

こうしてBチームに80ポイントが加算される。

それと同時に前半終了のホイッスルが鳴らされた。

ザラは胸をなでおろす。

「なかなか危ない橋を渡ったが、これで俺達Bチームが逆転したな」

ザラは苦しい戦いの中で、これだけの結果を残せたことに満足していた。

対してジャドンとクルドマンはショックが大きい。

二人は有利な状態でザラに挑んだ。

だが、結果としてザラは想定を上回る力で二人を圧倒しゴールを決めた。

それは完全敗北を意味している。

ジャドンは心がくじけそうになっていた。

だが、そんな時Aチームのベンチからジャドンを呼ぶ声がする。

「ジャドンさん!まだ終わりじゃないです!次の作戦を考えましょう!」

それは必死に叫ぶアインツの姿だった。

アインツはまだ試合を諦めていない。

その姿を見て、ジャドンはさっきまでの自分を恥じた。

「俺が諦めてどうする!ヴィクトリープランナーはみんなを勝利に導くため存在するんだろ!!」

ジャドンはうつむいていた顔を上げ、前を向きAチームのベンチへ走り出す。

ハーフタイムは10分間、死に物狂いの作戦会議が今始まる。

前半終了 Aチーム150:Bチーム220

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