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サンプル

アインツが魔法を覚えたことにより二人の練習の幅は広がった。

スカータがいるとき限定ではあるものの、トレーニング中に魔法の使用が可能となったのだ。

1対1では魔法の攻防が追加されたことにより、よりアルマの環境に近くなった。

今はアインツが攻撃側、ヴァリーが守備側で1対1を行っている。

アインツはヴァリーの隙を作るため、右手を突きだし魔法を放つ。

「ライト・ワン!サンライト・ショット!」

アインツの攻撃に対して、ヴァリーもすぐさま反応し魔法を放つ。

「ファイヤー・ワン!バーニング・ショット!」

お互いに放った魔法がぶつかり合う。

ぶつかった衝撃で小さな爆発が起こり土煙があがる。

その土煙を抜けてきたのはアインツの放った光の弾だ。

勢いは多少衰えているものの、ダメージを与えるには十分な速度でヴァリーに迫ってきている。

「ちっ!」

ヴァリーは間一髪、光の弾を避ける。

だが、ヴァリーが避けたことにより、アインツとゴールとの間に隙間ができた。

アインツはそこにボールを持って飛び込む。

「いっけぇ!」

アインツは飛び上がりながらシュートを放つ。

その姿はまるでハンドボールのジャンプシュートのようだった。

放ったボールは勢いよく公園のオブジェに当たり、空へ跳ね上がる。

アインツの勝利だ。

「やったぁ!」

アインツは大喜びである。

「くそ!もう一度だアインツ!」

ヴァリーは悔しがりながら、再びアインツと1対1を始める。

そんな様子を眺めていたのは、ベンチに座ったエルとスカータである。

エルは二人の攻防を見ながら、色々とノートに書いていた。

「サンライト・ショットとバーニング・ショットならサンライト・ショットの方が勝つ。この二つはマナの量がレベル1で同じ、成形方法もマナを球体に集めて放つショット系で同じ。だったら光は火の有利属性である可能性が高いと」

エルは二人の攻防を観察しながら、魔法の分析を行っていた。

「もしかすると光属性は基本五属性全てに有利なのかな?それだと、マナの消費が多少多くても使うメリットは出るけど…」

一生懸命考察するエルの姿に、スカータは関心する。

「すごいねエルちゃん。その年齢でそこまで考察できるなんて」

「アインツのおかげですよ。光魔法なんて今まで見たことなかったから全て机上の空論で終わってたんですけど、その理論を試行できるようになったことで正誤が確かめられるようになったんです」

そう、光魔法に関してはこれまであまり研究が進んでいなかった。

それは、光魔法を使えるものがほとんどいなかったからである。

「私の予想だと、アインツのことが公になったら、おそらく研究者達がアインツの取り合いを始めると思います。だから私がその前にある程度研究を進めておかないと、アインツの所有権を主張できませんから」

そう、アインツは光魔法が使える貴重な存在だ。

そのため、魔法の研究を行っている研究者達からすれば、喉から手が出るほど欲しい存在である。

エルはそのことを理解した上で、他の研究者に取られないよう、自分が研究の第一人者であると主張するための材料を用意しているのだ。

スカータはそんなエルに感心する。

「エルちゃんはアインツくんを守るために頑張ってるんだね」

だが、エルの思いはスカータの思っていたことと違っていた。

「そうですね!アインツに悪い虫がつかないように守ってます!」

「え?」

スカータは耳を疑ったが、エルは話を続ける。

「もし研究者の中に女がいたら絶対アインツの魅力にメロメロになると思うんですよ!アインツは超絶かわいいから!」

「は、はぁ?」

「だったら研究と言いながら、アインツにいかがわしいことをやって来る連中もいるはずです!そんなうらやま…けしからんことをさせるわけにはいかないんですよ!」

「いやいやいや、さすがにそんな人いないでしょ」

「何を言ってるんですか!私は既にこの妄想でご飯三杯はいってます!」

エルの意味不明な言葉が出たところで、スカータはこれ以上深く聞くのはやめようと思った。

そして、アインツに頑張れと心の中で応援した。

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