突入
エルは少し緊張していた。
昔はよく遊びに行ったアインツの家だが、ここ数か月は一度も遊びに行ったことがない。
そして今日のマラソン大会で見たアインツは明らかに別人のようであった。
だからこそアインツに会うのが少し怖いのだ。
しかし、確かめないといけないとエルは思っていた。
アインツがほんとに変わってしまったのか。
もし、変わったのなら一体何が原因なのか。
それを確かめるために今日はここに来ているのだと。
エルは意を決してレイカー家のドアをノックする。
すると中から返事が聞こえ、ドアが開いた。
「あら、エルちゃんじゃない。今日はどうしたの?」
出てきたのはアインツの母マリンであった。
「こんにちは。遊びに来たんですけど、今アインツいますか?」
「いるわよ。今部屋にいるから自由に上がって頂戴。」
マリンは嬉しそうに中に入れてくれた。
アインツとエルは家族ぐるみで仲がいい。
だから、マリンもエルのことを本当の娘のように扱ってくれていた。
アインツの部屋は2階だ。
エルは階段を上り、アインツの部屋の前まで来る。
すると、かすかにだがアインツの部屋から叫び声のようなものが聞こえてきた。
エルはアインツに何かあったのかと思い、ノックもせずに勢いよくドアを開く。
そこには突然のことに驚いた表情を見せる、アインツとヴァリーの姿があった。
ヴァリーのことを知らないエルは思わずこの言葉が出る。
「誰よ!その男!!」
これがアインツと久しぶりに対面した、エルの第一声だった。




