鍛錬
アインツはヴァリーと毎日トレーニングを共にするようになった。
一緒に公園でストレッチをした後、二人で並走しながら湖の周りをランニングで一周。
ヴァリーのみ湖でもう一周ランニングをし、その間アインツは公園でストレッチや筋トレを行っていた。
それを約一か月ほど毎日続けた結果。
アインツは湖を一周しても平気なほど体力が付いてきた。
この成長にはヴァリーも、そしてアインツ自身も驚いていた。
「そろそろお前も二周目走れるかもしれないな。」
「ほんと!やったぁ!」
アインツは心底嬉しそうに、謎のダンスを踊り始めた。
それを見てヴァリーはアインツを褒めるのはもうやめようと心に誓う。
「ただ、そうなると工夫が必要になるな。」
アインツは頭にはてなが浮かんでいるような顔をする。
ヴァリーはため息をついて、アインツにわかるように説明を始める。
「まず、俺はお前と並走しているときは全力で走っていない。だから二周目はいつも全力で走っている。」
アインツもそれはわかっていたのでうなずく。
ヴァリーは話を続けた。
「ただ、お前が二周目を走るのであればそうはいかない。お前と並走すれば俺が全力を出せないし、俺が全力を出せばお前を待つ間暇になる。」
ヴァリーはしばらく考えて一つの案を出した。
「俺が三周でお前が二周。そしてお互いが全力で勝負ってのはどうだ?」
「それってハンデ戦ってこと?」
「まぁ、そういうことだな。俺とお前の体力の差を考えるならそう悪い勝負にはならないと思うぞ。」
確かにアインツは今まで一周しか走っていないので、二周目を走るとなるとかなりペースが落ちるだろう。
ヴァリーも三周を全力で走ったことはないが、アインツよりもペースが遅くなることは体力的に考えてありえない。
だからこそ成立する全力のハンデ戦である。
「それじゃあ、明日からは全力で勝負だな。アインツ。」
「絶対に負けないからね!ヴァリーくん!」
こうして二人の真剣勝負は始まった。




