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青春は回り、僕は誰かを好きになる19
夏休み明けの最初の一限が終わったところで、声をかけてきたのは世界史の山下先生だった。
やけに親し気な笑みを浮かべているのが多少不気味であったが、いつものふくよかな体型にマッチした雰囲気なのかもしれない。
僕が顔をあげると、肉付きのよい目じりに穏やかな眼差しで、
「放課後、私のところへちょっと顔を出していただけますか。や、そんなに時間はとらせませんから」
と丁寧に切り出した。僕は、はい、と頭を下げ、
「なにかご用ですか?」
「そんなに重要なことでもないんですけどね。でも、ここじゃあ、ゆっくり話せないので」
言いながら、山下先生は腹の脇に抱えた教材を落としそうになっている。
僕は咄嗟に手を差し出しながら、わかりました、と答えた。
「心配しなくても、悪い話じゃあないですから。まあ、協力というか、頼みたいことがありましてね」




