青春は回り、僕は誰かを好きになる16
終礼のあと、最新号の『ブック・アラカルト』がクラス全員に配布された。
ほとんどのクラスメートは、申し訳程度にパラパラとページをめくるだけだった。
僕が書いていることに気づいているのは、クラスのなかでは相沢と小畑だけだろうな、などと考えていたら、前の席の相沢が上半身だけで振り返った。
冊子で顔を覆うようにして、
「有末くんの、載ってるね」
とこっそり言った。
僕は、うん、次は相沢さんなんでしょ、と小声であわせるように返事をした。
夏服の白いセーラー服が少し揺れる。
薄手の制服からは、意外と引き締まった体幹が感じられた。
「そうなの。朔ちゃんから訊いた?」
と相沢が言ったので、僕は初めて朔が〝朔ちゃん〟と呼ばれていることを知った。
「締め切りは夏休み明けって言われるから、もうちょっと時間はあるんだけどね。夏休みは演劇部の稽古がつまってて。大会まであと少しだし。でも、紹介本は脚本家の誰かにしようと思ってるの」
「朔には相談してみた?」
「そうそう、一度、朔ちゃんと小畑くんと図書室でいっしょになったから訊いてみたの。ふたりとも、自分でがんばれ、としかいわなくて冷たいのよ」
相沢は微苦笑していたが、ふと、
「そういえば、朔ちゃんて私のこと有末くんに話してないんだよね?」
訝しそうに言い、相沢は冊子を机に置いた。
放課後になったので、教室からどんどん人が出ていく。




