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異世界ぼっち  作者: でーかざん
17/18

再スタート

650pv超えていました。

ありがとうございます。

アルファポリスにも掲載し始めました。

「ユウ、こっちだ」

 次の日の昼、ユウがギルドに入ると昨日と同じテーブルの席に座っていたガッツがその大きな手を振って呼び寄せてくる。

 少々目立つガッツの呼び方によって周りから注目を集めながらユウは席に向かって歩いて行く。目立つことが苦手なユウは自然と早歩きになってしまう。

 ガッツのむかいにそそくさと座るユウ。

「ん?どうした」

「いや、なんでもないよ」

 周りからの視線を気する様子のないガッツがユウのそんな所作に疑問を持って問いかけるが、ユウは簡単にそれに応じる。

「スノウはまだ来てないか」

「ああ、まだだ」

 席に近づいていくときに、スノウがまだ来ていないことにユウは気がついてはいた。だが席を外している可能性も考えてガッツに聞いてみたのだが、やはりまだ来ていないようだった。

 ガッツが座ったユウの顔をのぞき込みながら言う。

「どうだ、調子は?」

「どうって…」

「久しぶりに自宅に帰ってぐっすり寝られただろう。少しは気持ちの整理がついたか」

 パトリックのことを言っていることに気がつくユウ。

「…そんな簡単にはいかないかな。でも落ち込むのはやめたよ」

「…そうか」

 軽く頷くガッツ。そして彼はそれ以上なにかを言うつもりはないようだった。

「だから…」

 ユウが言葉を続ける。

「冒険者を止めるつもりはない。やれるだけやってみるつもりだよ」

 昨日の助言に対する答えをユウはガッツに返す。

「そうか」

 また軽く頷くガッツ。だが今度は彼の顔にかすかだが笑顔が浮かんでいるようだった。

「なら、改めてよろしくな。ユウ」

 そして手を差し出して握手を出会ったときと同じように求めてくるガッツ。

「ああ、よろしく。ガッツ」

 その手を握るユウ。前回よりしっかりと、力強く。信頼の証として。

 ガッツと改めて関係を構築できたことがたまらなく嬉しいユウ。

 が、そうなるとユウとしては話さなければならないことが一つ生まれる。今生まれた大事なものを裏切らないために。

 ユウはこれまで誰にも、ユウをこちらに呼びだしたイヴにすら隠していたことを打ち明けようとする。

「ガッツ、昨日言っていた俺のもう一つのスキルのことなんだけど…」

 だが、

「ああ、それについてはいいぞ、言わなくても」

 ガッツがそれを遮る。ユウに比べてものすごく軽い調子で。

 あまりにも簡単に言葉を句切られたせいでユウは口を開けたまま固まってしまった。

 そんな呆然としているユウの顔を見てガッツは豪快に笑いだす。よほどユウの表情が面白かったらしい。

「そんな顔をするな。腹が痛いじゃないか」

「いや、だって」

 パーティを組むのにスキルについて隠し事をしたままなんて、そんなことは許されるはずがないし、したくない。

 それがユウの正直な気持ちだ。

「大丈夫だ」

 ガッツがユウを安心させるための言葉をかける。さっきまでの笑いを引きずっているのかその声は安定していない。

「でも…」

 まだ食い下がろうとするユウ。

「だから、大丈夫だ。わざわざ隠しているからにはそれなりの理由があることぐらいは分かっている」

「けどそんな我が儘を通すわけにはいかないよ」

「ギルド主催のパーティメンバー集めに参加しているのにスキル隠しなんて不利を背負うからにはそれなりの理由があることぐらいはわかる」

「…」

 さも当たり前のように言うガッツに言葉がでなくなってしまうユウ。

 ガッツが腕を伸ばしてユウの肩を叩く。

 その力がユウの体を通して椅子をきしませる。

「話したくなったら、または本当に話す必要が出たら教えてくれればいいんだ」

 ガッツのその言葉、それはユウに対しての優しさに満ちていた。

「それでいいな?」

 確認をするガッツ。

 少しの間、しっかりとガッツに目を向けながら考えるユウ。

「ありがとう」

 そして短く、だが精一杯の感謝の気持ちを込めてユウは礼を言った。

「おう」

 笑いながらガッツは満足げに大きく頷くことでその礼にたいして答えたのだった。

 その瞬間、

「話は終わった?」

 声がした。

 本当に真後ろから突然声が聞こえて反射的に素早く後ろを振り向くユウ。

 そこには昨日と変わらない表情のスノウか佇んでいた。

「ああ、終わったぞ」

 ガッツは気がついていなのか全く驚いた様子もなく彼女に言葉をかける。

 ユウの隣に腰掛けるスノウ。その目はただ前を向いている。

「同じ」

「?」

「私もガッツと同じ考えだから」

 変わらず目は前方に固定したままのスノウ。ユウのほうは見ていない。だがその言葉が自分に向けてのものであることにユウはすぐに気がついた。

 顔が緩むのを自覚するユウ。だがそれを止めたり元に戻すことは今のユウには出来そうもなかった。

「ありがとうな」

 スノウにも礼を言った。昨日の帰り際のささやかな贈り物についての気持ちも込めて。

 言葉はない。だが横に座るユウに分かる程度の小さな頷きでスノウは答えてくれたのだった。

 二人のやりとりが終わったのを感じ取ったガッツが声を上げる。

「よし、じゃあこれからの活動について話し合おうか」

「ああ!」

 その言葉にユウは明るく大きな声で、スノウは頷きをもって応えたのだった。


最後まで読んでくれてありがとうございました。

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