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異世界ぼっち  作者: でーかざん
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はじまり

なんとなく練習で書きました。

 よくある異世界転生を成し遂げた。

 交通事故に遭って死んだわけではない。別に人生に絶望して自殺を図ったわけでもない。

 転生が起きたのは突然だった。

いつも通りの日常を高校で過ごし終えて帰宅している途中に急激に全身に悪寒が走った。一瞬のうちに意識がぼやけ始め、両手足からも感覚がなくなる。

助けを呼ぶ声を出すことも出来なかった。そのまま道の途中に身を転がしてしまう。

死ぬのかな。

ぼんやりとそんなことを最後に思って俺は意識を手放した。


そうして俺は今、アメリと呼ばれるこの世界に召喚されてしまった。

召喚という言葉の通り、俺はある人物によって意図的にこの世界に来ることになったのである。



体を触るくすぐったい感触で意識が覚醒する。

 頭がぼんやりとしたまま体を起こして目を開いた。

最初に目に入ってきた景色はまるでどこかの絵画のようだった。

目の前には緑が生い茂った草原。奥には綺麗な円周をかたどった湖。そして視界の前面に大きくそびえるのは山頂が雲を突き抜けた山々。

「え…」

 分からない。視界に入るもの全て。そしてここがどこなのか。

「ここ…どこ?」

 考えを音に変換しても誰も答えてはくれなかった。



 四方八方様々な方向から聞こえてくるあらゆる轟音、怒声の数々。それらはこの時間帯、夜中に最も活気を持つ。

 ここは冒険者ギルド酒場。このネダという街の冒険者を管理する冒険者ギルドに併設された二十四時間フル稼働の飲食場である。

 クエスト次第ではあるが基本的に冒険者達は明るく視界が確保されている昼間に任務をこなす。その結果、彼らの多くは他の仕事の人間と同様に夜に酒を飲み大いに騒ぎちらかすのである。

 俺、蔵本優はそんな酒場の隅の席で一人ひっそりと静かに鍋料理をつまみにしながら酒を飲んでいた。(こっちの世界では酒に年齢制限はない。なんなら年齢一桁で飲んでいる子供を見たことがある)

 今日は俺がこなしたクエストは街の付近にある森での薬草採取だった。冒険者クエストの中では初心者向けに分類されるものの一種だ。

冒険者はランク付けされており俺はそのなかでも下から2番目のDに分類されている。その下のEランクが見習い期間であることを考慮すると実質一番下といっても過言ではない。

 俺がこの世界、アメリに来てから約三ヶ月が経過していた。やっとこちらの世界での生活が安定してきたのである。

 最初は本当に大変だった。いきなりこちらの世界に呼び出され、しかも出た場所がなにもない大草原のまっただ中。

 夢かなにかだと思って惚けること半時間ほど。だがいっこうに状況が変わらない。そこから訳が分からずパニックになること半時間。あわせて約一時間、その場にとどまっていた。

 そしてさらに一時間後、俺をこの世界に召喚した者が現われた。

 そいつが俺をこの街にまで連れてきた。その途中で俺が異世界に喚ばれたということや召喚した理由(メチャクチャ自分本意で身勝手な理由だった)を教えられた。

 半日ほどかかってやっと街につくと冒険者ギルドに連れてこられ冒険者登録をさせられた。

こうして今、俺は冒険者をやるはめになったのである。

喚びだしたやつは冒険者登録をした後は全く手助けをしてくれず一人で頑張るしかなかった。(本当にド畜生な奴だ)

今までの生活とかけ離れた冒険者生活。やっとEランクの任務なら安定してこなせるようになってきた最近であった。

そんな不幸な俺の楽しみは今楽しんでいる仕事終わりの飯と酒。こちらの世界に来て初めて酒を飲んだがこれがとてもおいしく、また自分は酒に強かったのである。

「あらユウくん、こっちの生活には慣れたかしら?」

後ろから声をかけられる。

 そちらを振り返るとこのギルド酒場の店員のエルシャさんがいた。

 金色の長髪、高い背丈、透き通った緑色の目をもった顔。そして酒場の多くの女性がきている給仕服。万人の目を引きつける彼女はこの酒場のアイドル的存在だった。

 そして召喚者に放置された俺がこの街で生活していくために力を尽くしてくれた俺の恩人でもあった。

「エルシャさん、こんにちは」

「はい、こんにちは」

 笑顔で返事をしてくれるエルシャさん。

「今日はどんな依頼だったの?」

「今日はそこの森で薬草採取です。相変わらずのEランク任務です」

「まだこっちに来て3ヶ月だもの。それくらいが普通よ」

 暖かい笑顔と共に励ましの言葉をくれるエルシャさん。癒やされる。

「これは頑張ってるユウくんに」

 そういって酒の入った瓶をひとつテーブルに置く。

「あ、ありがとうございます」

 言葉だけでなくお酒というありがたいものまでプレゼントしてくれる。優しい、癒やされる。

 頂いた酒をよく味わいながら飲む。

「で、最近あの娘からなにか連絡あったの?」

「何日か前に今のランクを聞かれましたよ。で、Eランクって答えたら無言で蹴り飛ばされました。あいつとしては三ヶ月でEはあり得ないってことでしょうね」

 ちなみにDランクに上がる平均年月は1年である。俺はこっちの世界に来て3ヶ月。普通に考えて無理に決まっている。

「あらあら…」

 苦笑顔になってしまうエルシャさん。

「あの娘も悪気はないのよ?昔から優秀だからちょっと他の人に合わせて考えられないだけで」

「だからって突然異世界に喚びだして、冒険者にして放置してあげくランクがあがらないと蹴っ飛ばしておいて悪気がないっていうのは逆にまずくないですか?」

「…あははは」

 フォローするもフォローしきれず苦笑がさらに強くなるエルシャさん。

「大体、俺のランクを上げたいならあいつが手伝ってくれれば…っ!」

いきなり後ろから後頭部に衝撃を受ける。顔面からテーブルにダイブ、そして鍋料理に勢いよく入水。

「あら、ごめんなさい。ちょっと軽―く手が触れちゃったわ」

 顔を上げる。顔中が鍋のスープまみれで気持ち悪い。そして諸悪の根源にくってかかる。

「あんだけ力いれて殴っておいてなにが軽く触れただ。この馬鹿力女が!」

 爆音がなる。

 現われた女がテーブルを殴った音だ。そしてそのテーブルはもうその機能をはたすことが出来なくなっていた。

「なにかいった?」

「…何でもないです」

 こうなると黙り込むしかない。せめてもの抵抗として心のなかではやはり馬鹿力が、と毒づく。

「こらイヴ、またテーブル壊して。先週も壊したばっかりじゃない」

「こいつが私の陰口言ってるのが悪いのよ、私は悪くない」

「この、お前!」

「なに?」

 言い返そうとするがにらまれると言葉が詰まる。

 こちらを見てくる赤い瞳。それに合わせたかのような深紅の髪。自信がみちあふれている顔。俺よりも低く中学生くらいにしかみえない身長と体つき。その体躯に似合わない漆黒の防具。

 こいつこそが俺を喚びよせた最悪の張本人にしてこの街唯一のAランク冒険者、イヴである。


最後までよんでくれてありがとうございました。

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