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誰かが聞いた話6

作者: 松岡七海

アメリカ、テネシー州のリアム・ワイズマンには物心ついた頃から、もう一人の自分が見えた。


もう一人の自分はどう見ても実体があるのに、触れることも話すこともできなかった。


最初の頃はその存在を理解できなかったが、9歳の時にもう一人の自分が「1分前の自分の姿」であることにリアムは気付く。


それから数年間、彼はもう一人の自分の姿を楽しんだ。


親に褒められたり、おこづかいをもらったり、嬉しいことがあった時はすぐにもう一人の自分を見て、喜びを再度味わった。


ところが、彼は段々嫌気が差してきた。


嬉しいことがあった時は良い。問題は悪いことが起きた時だ。


彼は15歳の時に女の子にフラれた。


フラれた直後、彼はふらふらと歩き、その場に座り込んだ。


ずしりと重い首を回して、後ろを振り替える。


そこには、ビンタされている自分がいた。


それから数年後、彼はうんざりしていた。


人生とは悪いことの方がよく起こるものだ。


彼は決意した。これからはもう一人の自分など一切無視するのだと。


彼は現在の自分自身に意識を集中した。


映像製作に興味を持っていたので、その道でとことん動いた。


十数年後、彼はアカデミー監督賞にノミネートされ、見事受賞することになる。


壇上で感謝を述べる彼がふとさっきまで自分が座っていた席を見た。


そこには微笑みをたたえて彼を見つめているもう一人の自分の姿があった。


最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

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