上杉ひかり
●義兄弟になりたい 94話●
白桜高校一年、普通科に周の妹、上杉ひかりが入学して二ヶ月と少し。
ひかりは心海と同じ陸上部に所属している。
ひかりにとって白桜の成績トップ10位以内に入り、甲子園にも行った兄は何よりの自慢だった。
昼休み
黒髪ストレートヘアの端正な顔立ちのひかりは、
「お兄ちゃん、財布、忘れたから昼食代を貸して~!」
ひかりが二年のスポーツ科クラスの教室に来る。
周は、
「教室に来るなって言っただろ。」
急いで妹を食堂に連れて行く。
ハルトは、
「おいおい、愛枝の二倍はかわいくないか?」
愛枝は、
「こら~!」
白桜 食堂
麻王が歩いて来ると、
「周、このソフトの事なんだけど…。」
緊張気味にひかりは、
「は、初めまして、上杉ひかりです、夏葉先輩。」
「ああ、アパートでは話さなかったな。こちらこそ、心海から聞いているよ。これからは気さくに麻王でいいよ。」
「麻王先輩は、あの…」
ひかりが緊張して上手く話せないと、麻王がポンとひかりの頭を撫でて、
「用があるからまた放課後な、ひかり。」
そう言うとそのまま歩いて行く。
ひかりは、
「……麻王先輩…」
この食堂のひかりと麻王のやり取りを見て周は少し考える。
麻王がソフト会社に誘ってくれて、家の家計も助かっている。
妹は、俺より頭はいい。そしてウチは何のコネもない貧乏一般家庭。その時に何も言わず快く推薦状を渡してくれたのも麻王。
妹のひかりは、兄の俺が贔屓目に見ても少し直情的だが器量はとてもいい。
もし青空とひかりがくっ付いたら俺は一生、いや、永遠のパシリだ。
芯と碧は何だかんだ言って固くてむさくるしい。石の上にも三年いれば温まるという言葉はあいつらの為の言葉だ。
ハルト、駿、優也は軽過ぎて論外。ランバダという踊りはあいつらの為の踊りだ。
麻王は、いつもとぼけているが信用金庫以上の信頼度。
問題は、麻王のあのオートハーレム王という問題だけだ。
だが、あれだけの美女を前にしても誰とも進展していない程、実は、真面目だ。
そして極め付けは、ひかりが麻王と上手く行けば麻王と俺は義兄弟だ。
劉備や張飛は要らない俺が欲しいのは関羽(麻王)だ。
と、碧もハルトと駿も考えていた。
駿は、少し考える。周の妹のひかりは、香織よりは同等か少し劣る。だが、何故か一年生の男子人気ではひかり、結衣、心海より5ゲーム差はあるとモテ男の赤羽と神戸が遠慮がちに言っていた。
冷静に考えると妹の香織は惚れれば一途だと思うが普段から器量は軽い!軽すぎる!このまま順当に行けば結衣と麻王、新星のひかりと麻王が妥当だろう…
それは兄的に非常にマズイ。アホの碧が麻王と義兄弟?女々しくてイライラする周が麻王と義兄弟?
……俺は?違う!オヤジを見返すためのLRプログラミングカンパニー的にも俺と天才プログラマーの麻王が義兄弟なら順風満帆だ!
碧は、少し考える。まぁ、八頭身に加え、端正な顔立ちのひかりは弥生先輩にも劣らず可愛い。だが、低身長、巨乳の結衣は男の夢を叶える。
うんうん、直情的な一面も持つが正義を愛する結衣は器量もいい。
順当に結衣と麻王がくっ付けば、俺と麻王のコンビでオヤジのいる警視庁に殴り込んでやる。
フッフフ、ハハハハハッー!!!! アホの駿と女々しい周とは、高校までの付き合いよ。アディオス、アホの駿、女々しい周!
ハルトは、少し考える。アホの周の妹もメロメロかよ…なんで麻王ばかりモテるんだ?麻王よ、スタイル抜群、器量もいい天然おバカキャラの姉の愛だけで十分だろうが!
……ハッ、麻王と愛が結ばれたらオヤジの井上医院も万々歳……いずれは井上総合病院になり、俺はレントゲン技師になって…麻王と愛の子ならアホの愛の能力は差し引いても十分に甥っ子姪っ子は天才一直線…
フッフフ、フッハハハハ!甥っ子か姪っ子は俺がプロデュースする世界格闘技チャンピオン!いやいやいや、オリンピックの金メダリストもアリじゃね?なら、フィギュアスケートとかか?
イヤイヤ、甥っ子ならメジャーだろ?俺が甥っ子の専属トレーナーだな!フッハ!フフフフッ、フハハハハハ!
碧は、
「んだよ、ハルト?」
ハルトは、
「ああ?テメーがなんだよ、アホの碧!」
周は、
「まぁまぁ…」
ハルトと碧は、
「ウゼーんだよ、テメーは!」
リサは、
「こら、ケンカしちゃダメだぞ!」
リサの巨乳にハルト、碧、周は、
「……デケー……Eカップか……?」
「Fカップですけど?」
近くにいる愛枝や美緒たちは、
「えぇぇぇぇぇ~ここで言う~!? 教師の自覚ありますー?」
リサは、
「テヘ!」
愛枝、神子、棗は、
「……うわっ…ヤバいよ…少し気持ち悪いね…」
コソコソとハルト、碧、周は、
「……味見はするよな?絶対にするよな?……もしかして青空の噂通り、麻王ってゲイか?イヤイヤ、この信頼性がモテるんじゃね?リサと結ばれたら?ないわ~!むしろ俺らが結ばれたいわ~!」
放課後
二年スポーツ科クラス
周は、
「麻王、妹のひかりが陸上競技で伸び悩んでいてさ、すまないけど指導してやってくれないかな?」
麻王はラップトップをリュックに入れながら、
「兄からの頼み事とは言わない方がいいんだろ? いいよ。」
「さすが麻王。」
碧は、
「麻王、妹の結衣が剣道もしているの知っているだろ。申し訳ないが指導してやってくれないか?」
「一時間後でもいいか?」
「もちOKよ!」
「なら一時間後に剣道部に行くよ。」
「さすが麻王!」
ハルトは、
「麻王、姉貴の愛が水泳部なの知っているだろ。悪いけど指導してやってくれないか?」
「ちょっと遅れるからハルトに一度メールするよ。」
「さっすが麻王!」
麻王はリュックを背負って教室を出て行く。
周は「おい、碧、ハルト。俺が最初に麻王に頼んだんだよ。」
碧は「いやいや、お前の妹のせいで結衣の指導が一時間遅れる取り消せ。」
ハルトは、
「ひかりなんて麻王とろくに面識ないじゃん。それに愛は性格もいいしナイスバディだ!麻王はロリコンじゃあねえんだよ、周、碧。」
周は「ひかりも身長160だから変わんねえよ!」
碧は「結衣は身長148だが乳がデケえぞ!」
ハルトは「だーからよ、愛は両方とも持っているだろうが!」
碧は「美女コンテストで愛は6位だろうが!結衣は山形先輩の妹の一つ下の5位なんだよ!」
ハルトは「愛は大人しくて謙虚だから低かっただけだよ!ってたった16票差だろうが!」
周、碧とハルトは揉める。
一時間後、ひかり、結衣、愛が別々に白桜総合体育館にやって来る。
結衣、ひかり、愛は声を揃えて、
「お兄ちゃん(兄さん、ハルト)が頼んでくれたんだ、ありがとう! 本人には内緒だぞって!……何の話?」
周と碧とハルトの三人は相談を始める、
「オートハーレム来たー!!!ダメだ!………麻王の気遣いは女には毒だ。しかし麻王と並ぶ男なんているか?青空か?いや、あいつは色んな意味で論外だ。」
「よく考えろ。駿がいない。妹の香織の器量は一般レベルよりかなり低い。ひかり、結衣、愛の共通点は器量の良さではあのハーレムの中では断トツだ!リサ先生は…俺がもらう、いや、オレだ。お前たちにやるぐらいならオレだ。ダメだ。俺たちで揉めている場合じゃない。麻王に聞くのが早いんじゃないか?………だな。」
バスケユニフォーム姿の周と碧とハルトの三人が走って来る、
「麻王~、お前の思う女性の中で一番器量が好いのは誰だ~!」
白桜ブレザー姿の麻王は振り返ると、
「……廊下を走るな。……器量か?…でも興味深い質問だな。でも名前は言いたくないな…。」
周と碧とハルトの三人は「女々(めめ)しい男だな、麻王!上位三人でいいよ。それなら悪口にならないだろ?」
麻王は少し考えると、
「うーん、ひかりは爽やかさで一番だな。その点では結衣も奥ゆかしさがあって甲乙つけられないな。愛は感情に起伏がなくて尊敬レベルだな。そう言う面は女性全般で見ても愛も結衣もひかりもいいと思うよ。」
麻王と周たちの後ろでひかりたち三人が顔を赤くして聞いている。
「麻王、もう三人を嫁にもらってくれよ。」
周、碧とハルトが麻王にお願いする。
呆れ顔の麻王は、
「すごいすっ飛ばしていないか?」
駿が突然来ると頭を下げ、
「麻王、ウチの妹も頼む。」
「香織か?香織がモテるのは分かるけど告白毎に男について行くのは危険じゃあないか?」
「……お恥ずかしい限りで。」
「でも駿の存在があるから手は出せないか?そうすると女性的にはおごってもらう香織の勝ちか?」
麻王の意外な返事に駿は、
「……だろ、麻王?」
「でも男的にはどうなんだ?オートパイロットでただ飯を食べてくる猫のような存在か?画期的な女性と言えるのか?なにか馬鹿馬鹿しくて面白いな。」
そう言うと麻王はそのまま歩いて行く。
結衣とひかりは、
「お兄ちゃん!何の話!」
愛は、
「ハルト!何のこと!」
香織は、
「さっすが、麻王先輩~!よく理解している~!」
「………………。」




