優也のストリートバスケ修業の始まり
●中間考査で優也は退部① 82話●
白桜高校中間考査、一週間前。
優也は野球部にもバスケ部にも姿を見せない。
授業後は図書室で一日中勉強している。
麻王は日本にいる間のこの一週間は常に優也の勉強に付き合っている。
白桜高校 図書室
優也は、
「なあ、麻王?」
優也の単語テストをラップトップで作っている麻王は、
「ん?」
「誰かと付き合っているのか?」
「その世間がよく言う、”付き合う”というのがそもそもよく分からないな。」
「どういう意味だよ、麻王?」
「好きな子がいるだろ? ふつうに一緒にデート行く。次も約束する。それでいいんじゃないか?」
「それはモテ男の台詞。」
「優也の方が白桜ではずっと人気あるだろ?」
「バスケも野球も退部したら、俺に何があるんだよ。」
「…………。」
「何で黙るんだよ、麻王?」
「いや、真面目に考えていたんだよ。…優也ならホストとか?」
「せめて陸上とか言えよ。」
「じゃあ陸上。」
「……ホント、麻王は口が達者な病気だな。」
席を立った麻王は図書室前にあるプリンターから用紙を取ると、
「そんな病はないな。ほら、このプリントを終えたら次の会話な?」
「………………。」
優也のテストを採点している麻王は、
「100位以内に入る意味を理解しているか?」
優也は、
「何か意味あるのか、麻王?」
「白桜大学への進学資格だよ。俺はそういうシステムは好きじゃないけど、優也にはいい話だろ?ほら、30点。もう一度するぞ。」
麻王が採点した用紙を受け取ると涙目の優也は、
「あれだけして……俺、もう勉強いいわ。麻王、俺もアメリカに連れて行ってくれよ。ストリートのバスケしたいんだよ。」
「ま、優也は心海を可愛がってくれているしな。100位以内に入ったら連れて行ってやるよ。」
「ホ、ホントか!?」
「アメリカに行けば優也の視野も変わる。ここが底なら後はもうよくなるしかないしな。」
「100位以内だな、麻王!?」
「ああ、二言はないよ。」
優也は麻王のその言葉にやる気になる。そして一週間後の中間考査。
【二年高等部中間考査結果】
1位1000 神薙青空、
1位 1000 夏葉麻王
3位 976 木村棗
4位 968 夏葉美緒
4位 968 赤瀬愛枝
6位 962 東神子
7位 960 橘碧
8位 946 上杉周
9位 944 牧野芯
55位794 名古屋駿
58位791 井上ハルト
141位 612 三明優也
中庭で一人、優也は呆然と中間考査の結果を見ている、
「………俺じゃあ100位以内は無理だな……。」
呆然としている優也の肩を麻王が持つと、
「優也、すぐにアメリカに行くぞ。」
「……俺なんかいいのか、麻王?英語なんて一言も話せないぞ?」
優也は珍しく自信なく答える。
「明日も休みだし、明後日も祝日だろ。俺は時間がないから美緒か文音のどっちらかにバスケのストリートがある場所を探してもらってくれ。後、心海も今回連れて行くから面倒見てくれよ。一週間滞在するから最高のストリートの技術を盗め。」
「でも俺、パスポートないぞ、麻王。」
「二年は修学旅行があるからな。それに優也からその件に関して相談された時にパスポートは用意してあるよ。」
「マジかよ~麻王~!で、準備は?」
「向こうで美緒と文音に頼め。行くぞ。」
「お、おうよ。」
成田空港に美緒、文音、心海、優也が着く。
搭乗口
優也は不安そうに、
「麻王は来ないのか、美緒、文音よ~!」
「私たちはふつうの旅客機だよ。麻王は少し用事を済ませて別の飛行機で来るよ。」
美緒と文音は慣れた感じで麻王からの書類を整理している。
初海外の優也と心海は緊張している。
心臓が飛び出しそうな優也は、
「………心海、英語、話せるのか?」
「ボンジュールー!こんな感じ、優也君?」
「………俺以上のバカだった……ダメだよ~麻王~!」
文音は、
「うるさい、二人とも!行くよ。」
優也と心海は、
「……すみません。」




