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シャルムのスペル

●リサの寝言  78話●


5分後、リサは完全に爆睡している。


麻王は個室ロッカーから制服に着替えて部屋から出て行く。



二時間半後

リサは目覚める。麻王の携帯がリサの座っていた椅子に置いてある。リサは麻王の携帯からコールをする。


「…………え?麻王~、何処に行ったの~!…………ああ、もしもし、麻王?」


『起きたか。今から病院の玄関に行くから、そこで待っているよ。』


「……な、何で私が患者の服を着てるの?」


小声でリサが聞く。


『スーツのまま寝たらしわが付くし、身体に悪いだろ?』


「み、見たの?見たよね?」


『ギリギリ見てないよ。』


麻王の笑い声が聞こえる。


「ギリギリって意味わかんないよ~!……前にもこんな事なかった?」


『もうすぐ病院の玄関に着くから10分以内に来なかったら放って帰るからな。』


小声で話し続けるリサは、

「もう意地悪なんだから~!10分で無理だよ…」


『リサのカバンとスーツはバイクのケースに詰めたから。化粧ポーチと着替えの服だけ俺の携帯の横にあるだろ?で何分?』


「20、ううん、15分待って。」


『わかったよ。じゃあ15分後に。』


麻王の元気になった声が聞こえるとリサは笑顔で携帯を切る。


リサのスーツの代わりにジーンズと大きなジャンパーがベッドの枕の横に置いてある。

「…えっ……何でジーンズ?あれ、私のカバンの中のスーツは~?」




二時間前

三宮

麻王は突風の吹くビルの屋上にいる。リュックから一つ一つの部品を組み立てて行くとスナイパーライフルを構えたまま横になる。


西日本最大の反社会的勢力、関西僚友会の幹部がリムジンに乗ろうとすると肩から血を吹き出し激しく倒れる。

組員たちは狙撃手を探し始める。


2キロ先のビルの屋上にいる麻王は既にリュックを持って立っている。


「……あのウイルスを治療しに神薙総合病院に来るのは二週間前後かな、再見。」




そして現在 

病院玄関

麻王はバイクの横でリサを待っている。


麻王はリサが忘れ物していないかを確認をするとリサを後ろに乗せる。


バイク後部シートのジーンズ姿のリサは、

「……何していたの、麻王?」


「活かす為も狙撃ってとこかな。」


「麻王ってすぐそうやって茶化すよね。」


「リサの寝言も可愛かったよ。」


「もうだまされないからね!」


「飛ばすからしっかりつかまっておけよ。」


バイクが南に向かって走り出す。


リサはしっかりと麻王を抱きしめて目を閉じると、

「……麻王はあったかいね。」




30分後 八尾空港

空港ビル前に着くと、ビル前で待っていた愛枝、美緒、心海、文音、愛、神子、棗、弓、結衣と香織が麻王のバイクに集まって来る。


麻王は少しフラつくと心海は、

「麻王兄!」


「大丈夫。ついて来いよ。」


麻王はビル横の滑走路内に歩いて行く。


麻王の隣に行くと心海は、

「かっこよかったよ、麻王兄!」


「なら、よかった。」


「……なんで上山にあんなトロトロ投球だったの。やっぱり体調が悪くて?」


「違うよ。125~135km/hでも超一流選手の選手を打ち取れるってことを観ている野球少年たちにな。」


「じゃあ、最後の167km/hは?」


「夢も見せないとな。」


「麻王兄ってプロだね?」


「だろ?」


麻王の隣に行くと香織は、

「……麻王先輩、ヘリの運転なんてできるんですか?」


「1/7ぐらいの費用で済むからアメリカでヘリの免許を取ったよ。」



全 長,12.26m(胴体:10.20m) 全 幅10.40m(胴体1.56m) 全 高, 3.51m 搭載エンジン2基(双発)のかなり大きなヘリの下に歩いて行く。



ヘリコプターを見ると結衣は、

「………でもこのヘリコプター…………ヘリ?」


「これは、エアバス・ヘリコプターズEC135。国内では海上自衛隊、警察庁、報道各社の他、ドクターヘリとしても使われているよ。かなりカスタマイズされているけどな。」



愛枝、美緒、心海、文音、愛、神子、棗、弓、結衣と香織はエアバスの中を見ると、

「うわ~!超欲しい~!めちゃくちゃ綺麗で豪華~!」


弓は、

「……麻王先輩の?」


「まさか、青空のだよ。くれるって言われたけど普段は使わないから断ったよ。」


「ええぇぇぇ~!」



美緒は、

「夕方に合わせてくれたんでしょ!私は麻王の秘書もさせてもらっているからヘリの助手席はいいよ。」


文音は、

「だよね。」


結衣は、

「私は先輩にオーストラリアに連れて行ってもらったし、麻王先輩を待ち続けた心海が相応しいよ。」


心海は、

「……美緒姉、文音、結衣。」


麻王は、

「早くして欲しいんだけど?神子、香織、心海、弓、棗でじゃんけんでもしたら?」


リサは、

「私を忘れてますが?」


弓は、

「バイクの後ろに乗って来たクセに~ブーブー!」


リサは、

「……弓と心海さん、どうぞ。」



10分後 ヘリは上空2000Mを巡航している。

愛枝、美緒、心海、文音、愛、神子、棗、弓、結衣と香織は上空から見える大阪平野が燦然(さんぜん)と輝き広がっている夜景に、

「……すごい……あり得ないほど綺麗~!」


文音は、

「ところで大丈夫なの、麻王?」


弓は、

「麻王先輩、決勝戦、泣いちゃった。」


棗は、

「うんうん、涙が溢れちゃった~!もう本当にカッコよかった~!」


「…………。」


「何よ?」


棗の言葉にリサは、

「そう言えば麻王、私と病院のベッドで一緒に寝ている間に本当に何処に行っていたの?」


「ええぇぇぇ~!」


美緒は、

「どういう事、麻王!」


「ヘリのプロペラ音で全然聞こえないけど?」


愛枝は、

「密閉ですけど!」


「リサは、1分で爆睡。俺は知り合いの先生がいてな。ゴルフ雑談?」


結衣は、

「さすがに寝るのは酷くないですか?」


香織は、

「結衣も寝たんでしょ?」


「……リサ先生と同じようにホントに寝ただけだよ。」


神子は、

「本当に何もなかったの、麻王君?」


「ないよ。」


心海は笑いながら、

「それは結衣やリサ先生に魅力ないからね~!美緒姉や文音がいなかったら麻王兄も私にイチコロ。」


美緒は、

「そんなことないから!」


文音は、

「麻王、じゃあ結衣か荒木先生以外と今晩は一緒に寝よ!」


麻王はクスッと笑うと、

「子供か?」


愛枝は、

「あ~リサ先生、笑われてる~!」


美緒は、

「私たちいつも一緒に寝てるしね。」


「ええぇぇぇ~一緒に~!?」


美緒は、

「え?違うよ。………でも昔は……」


美緒の言葉に麻王は、

「懐かしいな……。」


慣れた感じで棗は、

「夏葉君は…そう言う気持ちにはならないの?」


棗の言葉に全員が静まり返る。


H135の大きな窓から後ろを見ている香織は、

「……棗先輩の話の途中で申し訳ないですけど…さっきから後ろにピタリとヘリコプターが…」


突然、操縦席の麻王は、

「関西僚友会かヘリか、中々の追跡力だな。心海、美緒、弓、文音、愛枝、結衣、香織、リサ、アクセサリーを持っているな?」


神子は、

「え、当然だよ?」


「棗は俺の横に来い。」


棗は、

「え、どうしたの?」


「後ろからヤクザヘリが追いかけて来ている。」


美緒たちは、

「ふ~ん………ええぇぇぇ~ここ空ですけど~!ヤクザヘリって何~!」


「後、10秒でこのヘリは爆破するけど?早くアクセサリーを握れ。棗、来い。」


操縦桿を持つ棗は、

「ええぇぇぇ~!はい、はい!キャッー!!!落ちてる、キャッー!!!落ちている、キャッー!!!!!!!!!」




新宿区

二時間後に弓のマンションに着くと麻王がバイクから弓の荷物を出している。


弓はバイクの後部座席から降りると、

「………麻王先輩、今日、お父さんもお母さんもまだ兵庫だし……ダメだと解っています。でも今日は一緒にいれないですか?」


弓は心細そうにつぶやくように話す。


「いいよ。じゃあ弓の荷物を持って行くよ。」


「う、うん。」



五分後

麻王は弓の部屋に入ると、

「……家庭教師以来か。懐かしいな。」


「ま、麻王先輩ならいいよ。まだお風呂に入っていなくて死ぬほど恥ずかしいけど、麻王先輩がそれでも私を嫌いになったりしないならいいよ。」


弓の言葉を聞き終えると弓を抱きかかえベッドに弓を連れて行く。


「以前、アメリカに行く前に弓に渡したそのアクセサリーを渡してくれるか?」



弓は黙ったまま頷くと、麻王からプレゼントされた先端がマナ鉱石のネックレスを渡す。



「目を閉じて俺がどんな事をするか想像して話してくれるか?」


弓は照れながらも頷くと話し出す。


弓が目を閉じて話し出すと、麻王はネックレスを振り子のようにダウンジングする。




弓が目覚めると朝の五時。

弓の部屋の机で麻王は勉強している。


「……ま、麻王先輩が着替えさせてくれたんですか?」


弓の問いかけに麻王は笑顔で黙って頷く。


「ご飯食べてなかっただろ?買って来てあるから一緒に食べような。」


「う、うん。」


「もう少ししたら白桜に練習に行くよ。」


麻王は食器を二つ置くとシチューの鍋を置く。


「き、嫌いになってないです?」


「出逢った頃から真面目で純真な弓が愛おしくて大好きだよ。」


麻王の言葉に弓は満面の笑みを浮かべる。


「…………麻王先輩、ごめんなさい、……まだあんまり身体に力が入らないです。」


「そっか、弁当も作っておいたから。目覚まし時計を合わせておけよ。じゃあ行くよ。」


麻王はそう言うとマンションから出て行く。


“麻王先輩~!後で部活に行きますね~!”弓はベッドの上で一人むにゃむにゃ言っている。


麻王は扉をそっと閉めると、

「シャルムのスペル。想像した事を夢の中で同時並行具現化…効果は二日が欠点か。……ハァ、後は香織を連れて帰るだけか…」





翌日

春休み中

白桜 食堂


美緒、弓、文音、愛枝、結衣、香織、棗は、

「もう!あれは夢だったの~!?」


麻王は食堂のテーブル上でラップトップを打ち続けながら、

「いい夢を見たならそれでいいんじゃないか。」


香織は、

「ヘリが落ちそうになってそれから……私と麻王先輩が私の部屋で…お母さんがいたのに?」


文音は、

「あれ、ヘリコプターがオートパイロットになって麻王が上空2000Mから…えっと…」


棗は、

「ヘリコプターの扉を開けて私にシートベルトをして置いて出て行って……車の中…それで…」


結衣は、

「麻王先輩が刀を持って…私もケアンズの…ううん、自宅、自宅…それから…」


神子は、

「後方のヘリコプターの……窓ガラスが割れて…」


心海は、

「うんうん、でもまあ、私は満足しているよ~麻王兄~!」


愛枝は、

「リサ先生は?」


美緒は、

「職員室でまだ呆けていたよ…マンションに麻王と二人きりで帰って、それで、あれ、なら心海や文音は…?」


弓は、

「……あの…麻王先輩……どこからがどこまでが現実なんです~?」


麻王はラップトップを打つのを止めると、

「う~ん、効果に個人差があるのが欠点だな。文音、棗は効果大、香織、弓がスペル通りか…リサは解けてないか。使えないな。」


愛枝、美緒、文音、愛、神子、棗、弓、結衣、香織は

「モヤモヤする~教えて~!」


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