77の時、70歳
●病院のベットで 77話●
大阪
大学病院 個室
リサが麻王のベットの横に椅子に座っている。大量の出血による急激な血圧の低下で麻王は輸血を受けていた。病院のベットで麻王は眠り続けている。
「リサか…」
麻王は天井を眺めている。
スーツスカート姿のリサもウトウトと眠りそうになっている、
「……ごめん、完全に寝ていたね。病院の先生がもう大丈夫だって。」
リサが嬉しそうに話す。
麻王が笑いながら、
「今やリサ先生が監督代行か…」
「もう、最近、野球のルールを勉強してそれぐらい知っているよ。」
麻王は振り向きリサを見つめると、
「職員室のリサの机にたくさん野球の本があるよな。……残り、夏、春、夏と三回甲子園に出場すれば白桜をクビになってもリサ先生は引く手あまたかな?」
「私なんて何もできていないのバレバレだよ…。」
「青空が、記者団に全て荒木先生の采配だって言ってるよ。」
「本当に?……だから記者の人が私の所に来るんだ…。」
「みんなやリサの名誉の為にも恥ずかしい試合は出来ないしな。」
麻王は病院のベッドの上で再び目を閉じる。
リサはベッドの上の麻王の手を握ると、
「……嬉しいよ。でも麻王には無理して欲しくないよ。」
「……抱かれたいとかあるだろ?」
麻王は目を閉じたまま話し続ける。
「と、突然、何? そうやってすぐ茶化す~。」
「真剣に聞いているよ。」
「…あ、あるよ。好きな人に抱かれたいって女も思うよ。」
「経験は?」
「な、何、今日すごく聞いてくるね? …その……大学生の時に部活の先輩にデートに誘わ
れてね。観覧車でキスされそうになって怖くて逃げて来ちゃった…。」
リサは赤面したままもじもじと話す。
「それっきり?」
「それっきりだよ。な、何で今日はそんな事を聞いて来るの、麻王?」
「さっき寝言でそう言っていたからな。」
「な、何て? い、いや、聞きたくない。」
「…ウソだよ。」
「もう、麻王はそういうのホント好きだよね?」
「ほら、こっちに来い。」
リサは下を向いたまま顔を真っ赤にして黙っている。
「………………。」
「リサ、一緒にベットに入るだけなら問題ないだろ。」
「ぜ、絶対に誰か来るよ…。」
「この病院の先生たちとは知り合いだよ。さっきゆっくり休みたいからしばらく誰も来ないようにってな。」
「な、何もしない?……でも少しぐらいなら…。」
「俺が信じられないか?」
麻王の言葉にリサは黙ったまま首を横に振る。
「……麻王と私は七歳差もあるんだよ?」
「リサが77の時、俺は70歳そんなに変わらないだろ?」
「そうだね…いつも優しいね、麻王は…。」
リサは麻王のベッドに入ると安心した表情で少し涙を流して目を閉じる。
1分でリサは、スースーと寝息を立てている。
ベッドから下りると手術着姿の麻王は個室窓から外をじっと見ている。
「……少し風が強いな…」




