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春の選抜 現実とはこのようなもの…

●春の選抜 75話●


木村棗は野球部のマネジャーに入り、デートに行った優也、芯、碧は大喜び。


麻王が授業以外はほぼ学校にいない為に麻王の代わりに周が副キャプテンになる。


キャプテンは変わらず神薙青空、部長に赤瀬愛枝、女性選手として新一年生の九条弓がセカンドのレギュラーを勝ち取った。


青空もほとんどいない白桜高校野球部は実質的に副キャプテンの周と部長の愛枝がメニューを組んでいる。




白桜 グラウンド


周は愛枝に、

「選抜出場も近いのに怠惰なプレーする優也、芯、碧が特に目立つな。」



夏の甲子園で麻王からもらった帽子を被る愛枝は、

「そうだよね。でも私も卒業後はプロゴルファーデビューして麻王がキャディーで付き合ってくれるから三人の気持ちは分かるよ。」


愛枝の返事に周はガッカリする。



駿とハルトは、

「お前らと練習するぐらいならバッセンに行くわ。」


駿とハルトは帰ってしまう。




「全員、明日朝の四時にこのグラウンドに来い。来ない奴は部長もマネージャーも含めて退部にする。」


周はそう言うと体育館に行ってしまう。


優也は、

「…………何だよ、周のやつ…。」


優也が愚痴ると白桜ユニフォーム姿の弓は笑顔で、

「ど真ん中しか打てないなんて実際、野球、舐めてますよね~?」


「………………。」





翌朝の四時

全員が校門に集まるとグラウンドから音が聞こえる。


青空と麻王がピッチング練習をしている。


全員が驚いて二人に近づこうとすると周が止める。

「青空と麻王は毎朝の三時半過ぎからここ来て練習している。天才と言うのは簡単だがそう言われる人間は必ずかげで練習をしている。」


碧、駿、ハルト、優也、芯は、

「………………。」


青空は当然分かっているが止めずに麻王のボールをキャッチしている。



芯は、

「おい、麻王の右手の包帯から血が滲んでないか?」


目を細めると駿は、

「……ホントだ…白のユニフォームが右腕だけ赤く……」


ハルトは、

「青空は止めないのか?」


愛枝は、

「……麻王…」


優也は、

「おまえってホントに麻王オンリーだなぁ…」


愛枝は、

「眠い…」


駿は、

「ダメ女だよなぁ…」


愛枝は、

「棗はどこにいるのよ!」


碧は、

「棗はいいんだよ!」


ハルトは、

「うるさいって。」


周は、

「昨年の夏の大会のように麻王と青空が徹底的に敬遠をされない為には最低でも後二人はまともにバッティングのできるバッターがいる。今日の放課後からは全員バッティングの練習のみだ。」


優也は、

「……ウインターカップですっかり忘れていたけど俺たちの前で何度も敬遠されたもんな。」


芯は、

「ま、麻王と青空の三、四番なら俺たちが敵でもそうするよな?」


碧は、

「弓は実質的に出れないし、やるか!」


「おうよ!」


愛枝は、

「ちょっと待って、伊藤先輩は?バッティングもすごいし、めちゃくちゃ上手いよ。」


周は、

「愛枝、伊藤先輩は帰って来れない麻王に頼まれたから秋季大会は手伝ってくれていたんだよ。」


「……そうだったんだ…」





春の選抜は32校のトーナメント戦。一日三試合が行われる。


一回戦 


シード権を持つ白桜高校の一回戦は二日目。白桜高校宿舎に青空と麻王はまだ来ていない。

左12チーム、右12チームがトーナメント戦を勝ち上がり左と右を勝ち抜いたチームが決勝で激突する。


副キャプテンの周は、

「白桜は二試合目で昨年の決勝で敗北した航空高校と当たる。」


周は淡々と話す。


「たった三試合勝てば決勝か…でも三試合もか…」


1番センター  三明優也

2番サード   牧野芯

3番ピッチャー 夏葉麻王

4番キャッチャー神薙青空

5番セカンド  橘碧

6番ファースト 上杉周

7番レフト    井上ハルト

8番ライト    沖田泪

9番ショート 名古屋駿


責任教師 細川先生

監督 荒木リサ

記録員 赤瀬愛枝


試合当日の朝、青空と麻王が到着する。試合は朝九時スタート。


白桜高校(東東京)vs造船工業高校(長崎)


麻王のストレートの走りは決して良くない。ただ青空のリードが心憎い程上手い。145km/h前後の麻王のボールを引っ張ると簡単なショートゴロになり易い、故に造船工業高校は流してくるがファースト周の守備も抜群に上手い。

そこに青空は意識的に打たせている。引っ張ればボール一個のスライダーとシュートが内角に出入りする。


過去20年の高校球児の全データから人の心理を読み解く天才、それが神薙青空。


麻王甲子園ノーヒットは続く。


一回戦は白桜高校8対造船工業高校0




二回戦の航空高校は四日目。麻王は試合後すぐにいなくなる。ただチームの誰もその事には触れない。


二回戦の航空高校に観客席は超満員になっている。14時スタートの30分前に麻王は到着する。


愛枝たちは、

「麻王!」


「どうだ、麻王?」


青空が代表して尋ねると麻王は、

「ほぼ痛みは感じないよ。九回でダメなら十回でも十一回でも押さえるからお前たちはいつも通りにな。」


駿とハルトは、

「………麻王。」


「努力とその結果が決して繋がる訳じゃない。でも俺たちは助け合える仲間だ。だが、それが努力した結果なら納得できるだろ?」


駿は麻王の胸をたたくと、

「だよな、麻王!負けてもLRプログラミングの仕事が山積みだしな!」


ハルトは、

「ま、確実にレベルアップしているよな?」


青空は、

「気を抜くな。麻王も絶好調とはほど遠い。航空高校の速水桐とキャッチーの新保亮介はシャープなバッティングをする中距離のアベレージヒッター、しかもチャンスに強い。」


碧、芯、駿は、

「………………………。」


優也は、

「任せろ!セーフティバントは死ぬほど練習したからな。」


芯は、

「………二番って難しいんだ。山形先輩は犠牲バント、エンドラン、流し打ちと器用だったけどよ…」


麻王は、

「山形先輩と芯はスタイルがまったく違う二番バッターだ。今大会はホームランも打てる二番バッターを目指せ、芯。」


芯は、

「……ホームランも打てる二番バッターか…」


青空は、

「細かい指示は僕が出すよ。結果はいい。全力で自身の仕事をやり遂げろ。」





白桜高校vs航空高校


白桜ベンチ

青空は投球練習時の速水桐の球が走っていないと気付くと、

「優也は初球セーフティバント。」


「おうよ!」


「二番の芯はど真ん中を待て。」


青空の言葉に芯は、

「速水だぞ?ど真ん中なんか来るか?」


「優也が出れば自動的に麻王や僕まで回る。絶対に芯で無理でも立て直して来る。」


「……俺が三振でも後ろは麻王に青空か。よし!行って来るわ!」


優也と芯がバッターボックス、ネクストサークルに歩いて行く。



ハルトは、

「一、二番バカが行ったぞ……ど真ん中なんて来るのか、青空?」


青空は、

「ふつうに来ないよ。」


愛枝とリサは、

「ええぇぇぇ~!」


「だが芯は高校球児ならトップレベルのスウィングスピードだ。速水の棒球の速球なら当たれば飛ぶよ。」


周は「武道家特有の腰の入った捻転だな?」


青空はピッチャーマウンドを見ながら、

「強打者の前では1つストライクが欲しい。アウトカウントを増やしたい……昨年の夏、ピッチャーをして痛感したよ。」


碧とハルトは、

「……青空。」



一回表、左バッターに入った優也がセーフティバントで出塁すると、素早く二盗する。同じく左バッターボックスに入った二番バッターの芯がレフトスタンドにヒョロヒョロのフライを打つとポールを巻いてホームランを打つ。


白桜メンバーは総立ちになる。


ネクストバッターサークルにいる麻王は屈んだままジッとピッチャーマウンドの速水桐を見ている。



優也がホームに帰って来ると、

「麻王、ピッチングだけに集中してくれよ。」


優也の言葉に左手でハイタッチをし、黙ったまま頷く麻王。


芯が打った球は速水桐の154km/hだったが、麻王はMAX148km/hの抜群のコントロールで航空高校に一度もバットを振らせず一回裏の航空バッターを三球三振にすると甲子園は歓声に包まれる。




二回表

青空が右バッターボックスに入る。

一球目外角低めの高速スライダー。

二球目は内角高めボール半個分のボール。

三球目の内角低めの161km/hのストレートを強引に流すとライトスタンドに入れる。


続く、碧と周は160kmkm/hの高速回転のストレートに手が出ず三球三振に終わる。



ピッチャーマウンドに上がった麻王は四日前の対造船工業高校の時より遥かに球が走っている。


球速はMAX151km/hだが航空高校のバットはクルクル回る。創設二年目の航空高校の弱点は速水桐と新保亮介以外の打線の弱さ。


麻王は八回表に右手から血が滲む。以前、ノーヒット。


速水桐も一回の油断からコンスタントに155km/hから160km/hの球を投げ続ける。バッターボックスでバットを全く振らない麻王。


四番バッターボックスの青空の時にはMAX164km/h外角低目際ボールを審判がストライク判定で二打席連続の三振。



一塁側白桜ベンチに戻って来た青空は、

「すごいスタミナだね。今日の審判の外角低めストライクのジャッジとあの投球では打てないね。初回の三点があって良かったよ。」


そう言うと青空はヘルメットを愛枝に渡す。


愛枝は、

「……麻王は投げるのも精いっぱいだしね。」


クーラーボックスからスポーツ飲料を出すと青空は、

「気持ちいい勝ち方ではないけど、今日の麻王は速水や新保レベルのバッターでは到底打てないよ。」


芯は、

「……打ててよかったわ~!」


優也は、

「……でもよ、昨年の夏の雪辱を果たせて嬉しいけど…なんか…呆気なかったな…」


レガースをする青空は、

「麻王は怪我を背負ってもノーヒットノーランを更新中……きっと山形さんも観ている。不満か?」


優也や芯、愛枝たちは、

「……………………。」


麻王は最後の速水桐を三球三振に取り、あっさりとゲームセット。現実とはこのようなものだとよく判る航空高校敗退のゲームだった。



三回戦は二日後。


試合終了後、


一塁側白桜ベンチから一人、麻王が出て行こうとすると碧が止める。


「麻王、理由は聞かない。でもせめて右手の治療だけでもしていってくれ。」


碧の言葉に麻王は、

「ありがとうな、碧。病院にも行くからそこでしてもらうよ…。」


麻王はそのまま歩いて行く。記者団はチームメイトたちが止める。



一方、右トーナメントでは、あやと高校と香明学園が対戦。あやと高校の弥生律から同じ二年になった四番の上山蒼が四打席三本塁打で完全に仕留める。だがバッターとして成長した弥生律も香明学園のエースピッチャー、中継ぎ、抑えから三本塁打を同じく放つがそこでゲームセット。


香明学園vsあやと高校は6対3


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