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棗とデートするのは?

●優也、芯、碧の木村棗への恋 73話●


一年スポーツ科クラス


木村棗は白桜高校のスポーツ科クラスに転入して来る。ロングヘアを束ねアップにし、メガネをした細見の白桜ブレザー姿の木村棗が挨拶をすると、女性に()して関心のなかった優也、芯、碧が棗に見惚れている。


愛は、

「……きれいな女性…」


芯は、

「……めちゃくちゃ綺麗、いやいや可愛いな…」


碧は、

「……おう、清楚よな?」


優也は、

「棗ちゃんか……付き合えたら、愛枝や結衣で調子こいてる麻王なんて一気に15ゲーム差だぞ。」


碧と愛枝は、

「原人優也をぶっ殺す!」


優也と碧と愛枝が揉めているところにリサとリサを擁護する芯が入って来るとさらに揉めている。



青空は、

「麻王、僕に送り迎えのリムジンは必要ないから彼女に使ってもらうよ。」


「そうか、頼むよ。」


「元副警視総監の無敗弁護士は使えるね。いつもいい仕事をしてくれてありがとう、麻王。」


「あまり訴訟はするなよ。」


「するよ?月城財閥が邪魔だしね。」


ため息交じりに麻王は、

「で、棗の住まいは?」


「うーん、木村さんにはウチの本社ビルの一室を改装してそこに親子で暮らしてもらうよ。それでいいよね、麻王?」


「いいんじゃないか~。明日からアメリカに行くから。」


教室後ろから麻王は左手を上げて出て、左の食堂に歩いて行く。


麻王を見るとリサは、

「まだ一限目前のHRですが~!」


そのまま教室を出て左廊下を歩いて行く麻王は、

「じゃあ、トイレに変更します。」


愛枝とリサは、

「トイレは右~!」



心配そうに周は、

「……青空、麻王の右手は大丈夫なのか?」


青空は歩いて行く麻王を見ながら、

「一時間以上殴られてうっ血した部分は東に教えてもらった鍼を使って自分で治したらしいけど銃弾は無理だろうね…。」


「……銃弾って。」


「周にもいつか分かるよ。」


「…い、いや、あまり知りたくないな。」





白桜 食堂

麻王はラップトップを打ち込んでいると棗が歩いて来る、

「……夏葉君、お父さんの事、本当にありがとうございました。」


「いや、むしろ実家の旅館経営を邪魔したと思っているから棗は気にしなくていいよ。」


クスッと棗は、

「夏葉君らしいね。」


麻王と棗の会話に優也、芯、碧が割り込んで来る。


麻王は、

「良ければこいつら三人と話してやってくれないか?」


そう言うと麻王は食器を持って出て行く。


優也は、

「さすが麻王~、サンキューバイビーベイビー麻王~!」


碧は、

「……真正のアホだ、コイツ。」


去って行く麻王を見ると芯は、

「……麻王の右腕の包帯って銃弾に撃たれたってマジか?」


芯の言葉に棗は、

「エ、エスコートして欲しいなぁ~。」


優也、碧は棗の前で膝まづくと、

「喜んで!」


「………………。」





放課後

白桜高校グラウンドで野球部ユニフォーム姿の優也、芯、碧の三人が殴り合いの喧嘩をしている。


棗は、

「夏葉君、三人を止めて。」


体育館に棗が走って来る。


ワイシャツ姿でバスケットボールを磨いている麻王は、

「放っておいてもいいんじゃないかな。」


「駄目だよ、先生が来たら停学だよ!」


棗は麻王を引っ張って行く。


同じくバスケットボールを磨いていた周は、

「またアイツらか~!俺も行くよ、麻王!」



グラウンドに歩いて来る麻王は、

「何をしているんだ、お前たち?」


殴り合いを止めると優也、芯、碧は、

「………麻王…。」


「暴力はダメだな。うーん、バスケ勝負だと碧が不利になるし…。棗はどんな競技が好きだ?」


麻王の問いかけに棗は即座に”野球!”と答える。


芯は、

「麻王、投げてくれよ!」


芯が手を合わせて頼む。



優也は、

「卑怯だぞ、クソ芯!」


「いいよ。それに三人がどれぐらいレベルアップしたか見たいしな。喧嘩はするなよ。周、キャッチーをしてくれ。」


周は、

「マスクとミットを取って来るよ!」


スラックスにワイシャツ姿の麻王はやれやれとグラウンドに行く。



麻王はピッチャーマウンドに行くと、

「一打席勝負。140キロのボールをキャッチャー周の配球通りに投げる。それでいいな。」麻王の提案に碧、芯、優也の三人は(うなず)く。



芯は右バッターボックスに入ると三球目を白桜バックネットに突き刺さるホームラン。優也と碧も三遊間に鋭い当たりを打つ。芯が俺の勝ちだと喜ぶ。


麻王は、

「棗、すまないが日曜日に三人とデートしてくれないかな?」


呆然と棗は、

「えっ…」


芯は、

「勝っただろが、麻王!?」


優也と碧は、

「うるせぇ、俺たちのクリーンなヒットで一点だろうが!」


芯は、

「どういう理屈だよ!」


麻王の提案に何でだよと文句を言う三人。


「いや、男ならフェアに自分の魅力で好きになってもらえ。それに棗は白桜にまだ慣れていない。色々アドバイスをしてあげて欲しい。」


碧は、

「……まあ、それなら。」


棗は、

「うん、三人でデートも楽しそうですね~。はぁ~、メンドくさ。」


芯は「え?」


「いえいえ、日曜日が楽しみ~!」


優也は、

「だよねー、棗ちゃん~!早速、デートプランを喫茶店で決めるぞ、脳筋碧、芯!」


「定期考査最下位の野人のクセに……グヌヌヌッ~!」


キャッチャーマスクを取った周は、

「いい加減にしろ!サッサと行け!」


怒る周に碧、優也、芯は、

「……分かったよ。」



キャッチャーマスクを取った周が心配そうにピッチャーマウンドに行くと、

「……右手、大丈夫か?」


「ああ、軽く投げたから大丈夫。いい配球だったな、周。それにフレーミングも格段に上手くなったよ。」


「でも、審判のジャッジはホームベース通過時点で決まっているけどな…」


「そんなことはない。」


「……そうなのか?」


「いいフレーミングはピッチャーの投球リズムもよくなる。審判によってはキャッチングでストライクのコールを言う者も多い。そういった駆け引きもできれば、周が高校キャッチーの頂点なる日もそう遠くないよ。」


「青空がいるけどな。」


「青空は高校野球にもプロ野球にも興味はないよ。」


少し嬉しそうに周は、

「そっか…」


「それらしても碧たちも上手くなったな。」


呆れ気味に周は、

「三人とも三球目はど真ん中の抜け球だけどな。」


「どんなピッチャーでも抜け球は必ずある。成長しているよ、三人とも…」


麻王は嬉しそうに話す。


「……麻王。」


「そうそう、周、新しいゲームソフトを思いついたんだけど聞いてくれるか?」


嬉しそうに話す麻王に周は今日初めての笑顔を見せると、

「マジかよ~!麻王の新作待っていました~!」




「なあ、麻王、四月から俺の妹が白桜高校に来るんだ。」


「ああ、ひかりか。」


「妹に手を出すなよ、麻王。」


「誰にも手を出した事ないぞ。」


「何か柔らかくなったな、麻王。余計、心配だな。」


「周ってシスコンだったのか?」


周は、

「違うわ!むしろシスコン王の自覚のないお前が怖いわ。」


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