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ベータAIと深森千佳

●ベータAIと深森千佳 61話●


話しは麻王が帰って来た白桜高校始業式後の一月に戻る。



一年スポーツ科クラス


周が自信気に話す、

「もうすぐバレンタインデーだな。俺はリサ先生からもらえれば最高に幸せだ。」


碧は、

「お前は弥生先輩だろうが!リサ先生は俺のモノだ!」


駿は、

「……どっちもお前たちとは何の関係もないけどな。」

椅子に(もた)れ掛かったままハルトは、

「そもそも周は弥生だろ?」


周は、

「……”弥生”ってハルト、テメー……弥生先輩は麻王に夢中だよ……弥生先輩…」


机の上に座っている優也は、

「麻王ってなぜかいい女にモテるよな?」


芯はやれやれと、

「目線だな。いい女は基本チヤホヤされるのに慣れている。だからおべっかを使う男は嫌う。そして意外と悩みがある。」


優也は、

「なるほどな。相手と同じ目線で悩み、そして解決まで導いてくれる麻王は大人の頼れる男性に見えるってことか?」


芯は、

「それに麻王は口が固いから秘密にして欲しい女子はより信頼できる。」



優也は、

「……深いな?」


芯は、

「深いか?」


周は、

「ところで青空ってそう言った浮いた噂を聞いた事ないな。」


「ま、あいつは神薙財閥の一人息子だから山のような許嫁から選ぶんだろうな。」


芯と優也が仕方ないよなと話す。


駿は、

「いや、青空は俺のソフト会社を買収した後、麻王と制作した世界的ヒットゲームの収入源を基にβ(ベータ)AIを開発したらしいぞ。一年後には全ての財閥を超えているかもな。」



碧は、

「ベータAIって何だよ、駿?」


駿は、

「さあ?青空は工学系に関しては麻王より賢いしな。」


周は、

「……高校生一年で工学の時点でどっちも天才だろ?」




ベータAIとは0.5mm程のギョウ虫型の医療機器。

超高度な知能を持ったベータAIは癌細胞を身体の負担なく食べ尽くす医療機器と言える。

欠点は体内に約一年しか存在できない事。

このベータAIの知能を搭載したハードとまだ一種類のソフト。この三つの商品が世界的に爆発的に売れている。


その売り上げは三ヶ月で90兆円。


ただ青空は代表取締役社長に代理社長を置いているので駿もそれ以上は詳しくは知らない。


「駿の祖父は神薙総合財閥の子会社の社長にしてもらったからいいんだよ、ハハッ……はぁ~。」


駿が哀しく笑う。


「……………。」





白桜 食堂


三年の深森千佳(ふかもりちか)が麻王のそばに来る。睦月弥生の親友でもあり白桜三年での成績でも弥生と千佳はトップ1、2のライバル。


黒髪ミディアムカールヘアーの千佳が歩いて来ると食堂の男子はその抜群のスタイルと弥生と従姉妹、故の美しい顔立ちに心を奪われている。


千佳は、

「久しぶりだね、夏葉君。突然だけど夏葉君、私と勝負しない?」


「文化祭の時はお世話になりました。で、何の勝負です?」


「三年、最後の全国国公立二次模試、つまり全二模試で私と勝負してほしいの。」


「高校一年ですよ…それに僕に何の意味があるんです?」


「私が勝ったら正式にお付き合いして欲しいの。」


「弥生先輩のライバルだからですか?」


「ううん、ウインターカップの時の夏葉君を見て…ね。」


「強引ですね。千佳先輩が負けたら?」


「それこそ何でも言う事を聞くよ。その間に夏葉君と親密になれるしね。」


「うーん、恋愛の話に模試関係あります? お世話になったので受けるのは構いませんが…。」


多忙な麻王が困っていると青空がやって来る。


青空は、

「深森先輩、僕も参加するのはどうです?」


弥生は真剣に麻王が好きになった。でもそもそもこう言った財閥の娘は政略結婚が非常に多く恋愛感情は元々少ない人間が多い。

でも、深森千佳の思考の中では、もし自分が本気で好意を持てる自分自身より対等以上の男性がいるなら話は別。

深森千佳には弱気な一面はない。欲しいモノは必ず手に入れる。



千佳は緊張気味に、

「な、なに……青空君は私に好意を持ってないでしょ。」


ニコッと青空は、

「深森先輩を愛していますよ。だから貴女と同じやり方で千佳先輩自身を奪いたくてね。」


青空はいつもと違ってニコリともしない。


千佳は、

「…………わ、分かったわ。夏葉君も受けるでしょ?」

「二人の勝負に野暮(やぼ)はしませんよ。」


麻王は食器を持って歩いて行く。


千佳は、

「…………。」


青空が詰め寄ると、

「僕は深森先輩に聞いているんですけどね。返事は?」


「う、受けるって言っているでしょ。でも選択は”文系”に外国語はフランス語を選択、私が負けたら青空君の言う事は何でも聞く。理系有利の白桜の試験と違うから調子に乗らないでよ!」


千佳は去って行く。


食堂にいた二百人は凍り付いている。

深森千佳は、幼等部からの生粋の白桜の生徒。

高校三年の4月の短答式試験と5月の論文式試験、そして面接に合格。つまり、18で司法試験に合格している文系の天才中の天才だ。


弥生が成績で三年トップに立てたのは短期留学で千佳がいなかったからもある。




戻って来た青空に優也は、

「……青空、深森先輩が本当に好きなのか?」


青空は、

「彼女の祖父と父親が邪魔でね、二人は娘の千佳を溺愛している。先ずは娘を籠絡さ

せた方が早いかなってね。」


青空の返事に芯がため息をつく。


深森千佳は他校の男子生徒や大企業の子弟である大人たちも告白に来るほどの人気者。

弥生との唯一の違いは天才睦月弥生を文系科目で圧倒していること。それ故に自信過剰で傲慢な一面もある。


彼女から過去にフラれた男子生徒や傲慢な姿に嫌気をさす女子生徒たちから孤立するのも彼女にとっては自分の”頭の良さについて来れない弱者の妬み”と考えている。





センター試験の一週間後に各地域で実施される全国国公立二次模試。


今年の受験者数は35万人弱。外国語はフランス語で受験、数学と国語、社会(地歴・公民は選択)

配点は、外国語、数学、国語は各200 社会は100。 計700。

一週間後 結果が出る。



【全国国公立二次模試。】

一位 698田中猛

二位 697神薙青空

三位 658深森千佳

四位 630雛菊乃

五位 624北条美姫

平均点372.3




白桜 食堂

ひどく落胆している千佳は、

「英語選択で五割取るのも難しいと言われる試験なのに…。それも私の母の母国語のフランス語で…。…完敗だわ。」


青空は、

「じゃあ、約束通り僕の言う事を何でも聞いてもらわないとね。先ず娘の貴女は深森財閥と関連企業の株を25%保有していますね。それを僕にプレゼントして下さい。」


青空は真剣な目で手を差し出す。


「そんな事できる訳ないでしょ!頭、可笑しいの!?」


青空はため息交じりに、

「情けを掛けたつもりですが約束を反故するのですね?神薙総合財閥が深森財閥を買収

した暁には以前より全員の待遇も給料も上がるのにね。」



神薙総合財閥は敵対した企業の一族郎党を三族まで徹底的に追い込み二度と社会と言うステージに立てないところまで追い込みをかける。

そして深森財閥の娘である千佳は、今、その一人息子が神薙総合財閥会長以上の存在と理解し震えが止まらない。

「………………。」



「少し強引になりますが全員解雇にします。まあ、そもそも深森財閥の幹部は貴女の祖父や父も含め社会にとってゴミのような者たちですしね?でも貴女にとっては大切な一族でしょ?貴女一人のワガママでみんなが路頭に迷う。最後のチャンスだ、さあ。」


青空は手を差し出す。



そして小刻みに震える千佳の目に映る神薙青空は以前の彼ではない。

神薙青空個人の会社は今や日本の全ての大企業の10倍以上の収益を上げる超コングロマリット巨大企業。

神薙家も今の彼を止められないだろう。

千佳の手はガクガクと震えが止まらない。



遠くに一人いる田中が手を挙げる、

「あのー、青空先生。」


田中の言葉に青空が振り返ると麻王のファイナンスの田中専務が小動物のようにプルプルしながら白桜高校の食堂の席に座って手を挙げている。


青空と麻王が経営する夜間高校の生徒の田中タケルが恐る恐る青空と震える千佳に向かって歩いて来る。


田中は、

「こ、今回は、僕が勝ったので深森千佳さんは僕がもらって行っても宜しいでしょうか、青空先生?」


食堂にいる全員が呆然と時が止まったかのように凍り付いている。



突然、青空はお腹を抱えて笑い出すと、

「いやあ、やられたね~。完敗だよ。分かった、分かったよ、後は任せるよと言っておいてくれ、猛。」


その場にいる芯や優也たちにも何が起こったのか意味が分からない。



青空は、

「猛、次に無断で白桜高校に入る事は許さないよ。」


「ハィィィィ!」


田中は急いで嫌がる千佳の腕をつかむと走って行く。


千佳は、

「キャッー強姦~!!!助けて~キャッーイヤー!!!!!殺される~!!!!!!!」



駿、碧、優也、芯は、

「……………………。」


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