新婚旅行か?
●新婚旅行か? 本当60話●
オーストラリアケアンズから東京へ向かう機内
カッターシャツが血だらけの麻王に拍手が起こる中、麻王はシャツを脱ぐと他の乗客から新しいカッターシャツをもらう。
麻王の襟から結衣がプレゼントした腕時計が見える。麻王の様子を見に来ていた結衣は嬉しくなる。
外科医師の駒市は、
「私は神奈川駒市整形外科医院の駒市です。」
内科医師は、
「私は静岡の犬養クリニックの犬養です。」
「私はハーバード大メディカルスクールの夏葉です。犬養先生が用意してくださった医療器具、駒市先生のオペ後の迅速なサポートに感謝させていただきます。」
犬養は、
「……ハーバードのメディカルスクールって八年だよね?夏葉君はまだ若そうだけど…」
「近いうちに犬養、駒市両先生にお会いできるのを楽しみにしていますよ。」
中央シートに戻ると結衣は、
「……いつもしてくれていたんですか?」
「プレゼントをしてくれた日以来、一日も外した事はないよ。」
結衣は、
「一緒にオーストラリアに行っている時に思ったんですけど麻王先輩の話し方が優しいなあって。」
「結衣って絶対ホストとかにチョロく騙されるタイプだな。」
「すぐそういう事言いますね!」
結衣は今この夏葉麻王という男性にプロポーズされても即OKしてしまうなあと考えると更に幸せな気持ちになる。
「……あの…ケアンズのホテルで先輩と白桜で魅力的な女性の話が終わった後に麻王先輩が…」
「”神子は自分を責めて来た世の中かな…”まで覚えているか?」
「ええ、ギリですけど…」
「その後はもう眠っていたよ。」
「……えっ…私のパジャマの下に手を入れて…えっ…?」
通路側のシートに座って目を閉じている麻王は、
「……夢の続きを聞かせてくれないか?」
「……あ、少しでもお休みください…」
羽田空港
結衣の父親の橘が空港第一ターミナルにいる。
「えっ、お父さん。」
少し笑いながら結衣に麻王は、
「オーストラリアを出る前に橘さんに連絡をしておいたからな。殴られるかな?」
橘は笑顔で歩いて来ると、
「お久しぶりじゃないな、麻王君。アメリカのゴルフ大会に多忙の麻王君がキャディーで付き合ってくれてトップ5に入ったことは一生の思い出だよ。麻王君、いや、もう本当の麻王先生だね。」
「お父さん、あの…。勝手に飛び出して、ごめんなさい。」
「父さんが結衣に会いに行くことを勧めなかったか?アルバイトもよく頑張ったじゃないか。」
結衣は”お父さん…”と父親の胸に飛び込む。
黒スーツの男女二人が走って来る。
黒スーツの男は、
「……夏葉先生、早く行きますよ?」
「ですね。では失礼致します、橘さん。」
麻王はすぐターミナルすぐ下のヘリコプターで飛んで行く。
橘は、
「……どんどん遠い存在になるな…。」
橘が少し哀しく去っていく麻王を見ている。
「お父さん、あの人たちは何者?」
「……一人の男は元公安の櫛原だな。」
「知り合い?」
「いや、警察学校時代の友人だよ。」
「それって知り合いだよね?」
「いや、できるヤツだったけど嫌なヤツだったな。」
「…………。」
「……アイツが夏葉先生と呼ぶ麻王君はもう白桜には戻って来ないのかもしれないな…」
「お父さん、麻王先輩はむしろ近くなったよ。」
「結衣、オーストラリアのケアンズって……お前、麻王君と新婚旅行だったのか?」
「そんな訳ないでしょ!」




