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満点なんだ?

●満点なんだ? 50話●


文音は白桜の生活にもかなり慣れ明るくしている。

元々、クラスの中心になるような人物ではないが、文音にとって以前の生活と比べると全てが新鮮に感じられた。


二年の遅れた授業は土日も含めて朝早くに実施している早朝授業を受ける事と冬休みに授業に出ることで生徒会長の青空が許可を出した。


何故か青空はそれまで押していた一条文音の生徒会入りを突然、拒む。


彼女の一番好きな景色はグラウンドのベンチに座って麻王のフリーバッティングを見ること。




白桜グラウンド


「貴女が一条先輩?初めまして赤瀬愛岐です。」


愛岐が隣のベンチに座って隣の文音に挨拶する。


「文音でいいよ。私は愛枝でいい?」


神子、リサ先生もやって来る。文音は、誠実で自分の気持ちをストレートに押し出す愛岐と過去の自分に似た臆病な自身と闘う神子、天然のリサに好感を持つ。



クスクスと笑いながら文音は

「今、麻王に週に一回、家庭教師をしてもらっているんだ。麻王は優しくて大好きなんだけど家庭教師なのに基礎的な事しか知らなくてねー。そこも魅力的なんだけど。新しいタイプのヤンキーって感じ?お姉ちゃんも色々と人選ミスだよねー!ま、私的にはサイコーなんだけど。」


文音が思い出し笑いしながら話すと、愛岐、神子、リサが文音をジッと眺めている。


文音は心の中で、

『……あれ?ストレートに大好きと言ったせいかな?でも愛岐も神子もリサ先生も同じ事を言っていたよね…。』


愛枝は、

「文音、大丈夫?疲れてない?」


文音は戸惑いながら、

「え?私、変な事言った?」


リサは、

「麻王は高等部で一度、父の理事長に邪魔されたけど、中3の途中で転入して来てからずっとフルスコアーだよ。」



リサの言葉に文音は、

「……そうだったんだ……それにリサ先生の父親が理事長だったんだ…」


神子は、

「でも何で麻王君は隠すのかな?」


文音は、

「……だよね。」


弥生が四人に近づいて来る。

「それはね、私が基礎からキチンと教えて欲しいって最初に麻王君に頼んだからだよ。それに最初、麻王君は週に一回しか家庭教師は無理だって言ったからね。」


「…………。」


「そうしたら約束を守る麻王君は文音の賢さに気付くと授業回数を増やしてくれるでしょ?私も隣に座っていいかな?」


「……どうぞ…」


愛枝は、

「何で教師のリサ先生が敬語?」


愛枝の言葉にリサは、

「だって~睦月さん、めちゃくちゃ頭いいんだよ。」


「…………。」


弥生はクスッと笑うと、

「麻王君ぐらいの賢さになると基礎をすごく大切にする…麻王君がたくさん家に来る、そうしたら私のチャンスも増えるでしょ?」


さすがに青空に並ぶ財閥の長女だ~とその場にいる全員が思う。



文音は、

「麻王に大切な女性がいるか尋ねたら五人って言っていたよ。もちろん、私はその一人決定だよ。」


文音が弥生にニコリとする。


愛枝が動揺しながら、

「でも、わ、私が一番だよねー!」


弥生は、

「ほら、麻王君が更衣室から出て来たから聞こうよ?」


神子は、

「弥生先輩ってすごい自信家ですね?」


弥生は、

「……白桜150年の歴史の中で麻王君と神薙君が来るまで才女と呼ばれて来たけど…。」


神子とリサは、

「けど?」


「誰よりも努力をして来た自信はあるよ。」


「…………。」


愛枝は、

「あ、麻王が来たよ!」


「麻王が好きな五人の名前を教えて。」


麻王の傍に行くと文音、愛枝、神子、リサの四人が尋ねる。弥生はそのままベンチで座っている。


麻王はやれやれといった感じで、

「例えば愛枝、俺が大学に行ったら絶対貧乏生活だぞ。俺の夢には莫大なお金が必要でな。お前たちはみんな超がつくお嬢様だろ。そんな極貧生活に耐えられるのか?」


文音は、

「……私はお母さんがいなくなってから睦月家に迎えてもらうまで貧乏だったよ。」


神子は、

「うん、私も昔は貧乏だったから。」


愛枝は、

「……私は……愛があればね?リサ先生は大食いだからアウトー!」


「だって食べても太らないし。」


「ムカつく~!」


「それは単なる言葉に過ぎないだろ?」


麻王が四人の話を流してそのまま立ち去ろうとすると、


弥生が、

「麻王君が私の夫になってくれたら全ての資金援助ができるよ。」


弥生はかなりテンパって言う。


麻王はそのまま行ってしまう。


「それ、麻王が一番嫌う言葉だよ。」


神子は、

「遅いよ~リサ先生!」


超嬉しそうに愛枝は、

「でも、でも、白桜のマドンナの睦月弥生が陥落した~!」


文音は、

「愛枝、そういう態度も麻王が最も嫌うよ!」


「……すみません…」


「……お姉ちゃんは麻王のどこが好きなの?」


弥生は、

「う~ん、待って……言葉で表現できないんだ。」


「えぇぇぇ~!」


神子は、

「でも、二人は仲良いね?一人娘の私はうらやましい~!」


文音は、

「……私にはもうお姉ちゃんと麻王しかいないから。」


「……文音。」


「…………。」



重苦しい空気に神子は、

「そうそう!以前、確か麻王君が俺は…○○じゃないから関係ないって言ってなかった?」


愛枝は、

「だよね!○○じゃない……あれ?……何だっけ?」


文音は、

「愛枝と神子が言われているならリサ先生も知っているよね?」


「全然、覚えてないよ~。」


「…………。」


神子はボソッと、

「また重苦しいよ~。」


「……結局のところ、五人目って誰かな?」


神子が独り言のように言う。


「四人もハッキリしてないのに~。」


肝心なところが抜けていたことに気づいた四人は愕然とするが、弥生は全く意に介していない。


白桜グラウンドから図書室のハルトが見えると弥生は、

「井上君だ…麻王君と青空君がいなければ白桜ナンバーワンのモテ男だよね?聞いてみない?」


愛枝は、

「呼んで来る!」


文音は、

「愛枝、待って。もう寒いし風邪ひくとよくないからレストランに行こうよ。」





レストラン

ハルト一人に文音、愛枝、リサ、神子、弥生が六人テーブルに座っている。


ハルトは、

「で、俺に何が聞きたいんだ?」


愛枝は、

「麻王が五人を選ぶなら誰かってことよ!」


ハルトは、

「俺がそいつと話している間は外野はグダグダ言うなよ。じゃあ、早速だが、ここにいる五人は負けると思うぜ。」


リサは、

「えっ…どういう意味?」


リサを無視してハルトは、

「弥生さ、芯や周たちはあんたにお熱だけど、麻王はあんたを選ばないと思うけど?」


「……どうして?」


「あんた、如何にも人を見下した財閥のザ・お嬢?って感じなんだよ。平気でウソも付けるみたいだしよ。外見は余裕ぶっこいているけど、本当は負けるのが怖いだけなんだろ?」


「………………。」


愛枝は、

「……グサグサと…さすが、全国区じゃあ麻王や青空に負けているけど、白桜王者…」


「うるせぇ。次は…そう、東、いや、神子、おまえ!」


「……私?」


「おまえは弥生と逆の元超陰キャだろ?何、同じステージに上がった気でいんだよ?」


「……………。」


「麻王は性善説派だと思うけど、俺はおまえの根っこの暗く腐った部分は変わらないと思うぜ。」


リサは、

「……ハハ、みんな帰ろっか?」


「アンタさ、いつまでボケキャラしてんの?麻王が年増の地雷を相手するワケねえだろ?おまえたちは勘違いしてるけどよ、あくまでも麻王はバカ女のオマエたちに目線を合わせてくれているだけだからな。」


「………………。」


文音は、

「私は?」


「おまえ、貧乏キャラかお嬢キャラかハッキリしろよ。でも、この中じゃあ一番可能性はあるかもな。」


愛枝は、

「そうなの!?」


ハルトは、

「ほぼどんぐりころころだろ?上から、陰キャ、地雷、バカ女、天然バカ、誰一人、麻王と釣り合ってねえじゃないか?麻王に合わせてもらっている内はないな。それってもう恋愛じゃないだろ?」


愛枝は、

「……で、最後は愛っていうんでしょう?」


「愛も神子レベルには最底辺のお嬢ちゃんだし、苦労するんじゃねえか?ま、そうなったら愛に合わせてやる麻王の方がもっとキツいと思うけどな。」


愛枝は、

「……意外と厳しい…」


弥生は、

「……麻王君ってホントに信頼されているんだね。じゃあ、どうしたらいいの、井上君?」


ハルトは、

「ま、おまえたちって底抜けにチヤホヤされて来たバカ女だしな。いいか?先ずはふつうの女子高生になれ。ってかふつうのスマートな女になれ。」


文音は、

「……ふつうの女子高生か…確かに私たちには難しいよね?」


ハルトは、

「麻王の妹の心海ってバカだぞ。でも、兄貴の麻王以上に人気あるだろ?おまえたちに足りないモノは心海を見ろ。」


文音は、

「確か実の兄妹じゃないんだよね?」


神子は、

「……心海ちゃんは明るいよね。陰湿な部分なんて欠片もないし…」


ハルトは、

「神子、一度は麻王との関係で泣くだろうが、そのひたむきな気持ちを忘れるな。麻王はおまえたちに120%順位なんか付けてねぇよ!愛枝もかなりよくなったと思うぜ。弥生、おまえは真冬の雨の日に毎日、新聞を朝まで配れるのか?麻王の努力を舐めんじゃねえ。」


弥生は、

「……そうしたら変わる?」


「麻王はちゃんと見てくれてるよ。くだらねぇライバル心を失くし殴り合うのをヤメて全員嫁にもらってもらえ。」


リサは、

「……そ、それは…」


「アンタは入ってねえよ!」


「えぇぇぇぇぇ~!」


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