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妹は渡さない

ストックをアップし間違えた過去編は一週間ほどで編集しますね。3/16。

●妹は渡さない 39話●


放課後、橘結衣は白桜高等部の図書室で遅くまで勉強をしている。午後8時を過ぎると麻王が図書室に来ている。


バスケ部の更衣室で周とハルトは、

「あの二人、最近アツアツだな~。」


担任の荒木リサを想っている碧は、

「妹は渡さないって言いたいところだけど麻王だしなあ~。それにリサ先生と別れてくれたら嬉しいしな。」



駿は深くため息を尽くと、

「俺なんてああいう関係を作ったのはお兄ちゃんのせいだって。妹にずっと避けられてるんだぜ。」


駿が落ち込んで言う。


ハルトは、

「元ヤンキーがなに言ってんだ。」


「元ヤンじゃねえ。元不良と言え。」


駿が反論する。


「どう違うんだよ~?…………あれ?」


周が言うと、


橘結衣が図書室で泣いているのが見える。全員が着替えながらその姿を見る。


ハルトは、

「……なんで碧の妹泣いているんだ。麻王もいないし…。」


そう言うハルトの言葉の途中で碧は一人走って行く。



バスケ部と野球部全員はとても仲がいい。茶化し合う事はあっても喧嘩なんて有り得ない。全員が碧を追いかける。


碧が図書室に飛び込んで叫ぶ。


「麻王、勝負しろー!!!!」


結衣と香織の間に立つ麻王は、

「何の事だ?」


「ふざけるな!大切な妹を泣かせやがって!」


結衣と香織も碧を止める。


「……仕方ないな。勝負はお前の得意な剣道でいいか?」


吠える碧は、

「舐めやがって…。道場に来い、麻王!」



白桜高校の剣道部部員は碧と芯の二人しかいない。

顧問の先生の計らいで今年までは部という形で、来年からは同好会だ。

その為、碧は社会人の団体に所属している。今年の社会人の大会でも全国20位の凄腕であることはここに集まっている全員が知っている。知らないのはすぐにバイトに行く麻王だけ。



麻王は防具をしないで獲物(竹刀)を選んでいる。結衣は碧を止めようとするがいつもと変わらない麻王の態度に碧がより激怒する。



麻王は竹刀を選びながら、

「碧のへなちょこ剣術は当たらないのに防具をする必要があるのか?」


麻王のこの言葉に妹の涙の理由は何か訳があると言っていた芯や周の言葉よりも碧自身の怒りが勝る。


碧は、

「三本勝負だ!俺の剣道は伝統文化の剣道だけじゃないぞ、麻王!」


麻王はため息交じりに、

「ハァ、実践とか伝統とかに拘るのは弱者の言葉だよ。」


「んだと、麻王!もう、絶対に許さねえ!」


ハルトと芯は、

「あちゃ~、麻王ってホントいつも平常運転だ~。」




五分後

麻王は防具も着けずに竹刀も自身の前の畳の上に置いている。


碧はプルプルと震えながら、

「舐めているのか、麻王?」


「能書きはいい。勿論、突きもいいぞ。ま、当たんないけどな?」


麻王の言葉が終えた瞬間に、

「キェェェェェッー!!!!!」


碧の凄まじい雄叫びと突きが走る。



麻王は既に片膝を着いたまま突き上げで碧の喉元1cm後ろに竹刀の切っ先がある。



芯は、

「……み、見えたか、みんな……?」


芯の言葉にハルト、周、駿、沖田、水戸は呆然としている。


切っ先を碧の喉元に突き付けたまま麻王は、

「伝統文化の剣道だけじゃないが何だって?もう一本するか?」


視えない麻王の突きに碧は硬直したまま、

「…………ったりめえだ!寸止めで俺の心が折れると思うなよ!」


「仕方ないな。」


芯は、

「麻王!」


麻王はスッと立ち上がると、

「時に殴り合うのも青春ってか?」


「…………。」




五分後

碧は防具を付けたままうつ伏せに倒れている。

芯以外の全員が素人でも実践を思わせる激しい踏みつけと体当たりを碧が麻王に遠慮なくした事は判る。


が麻王は難なく流す。


その流しが常に反撃になって何度も碧は倒れる。


麻王は五分ちょうどで碧の竹刀を空中に弾き、碧が眼前から消えたと思わせると超接近からの麻王の真空が渦巻く柄頭を充てる。


既にボロボロになった碧はそのまま両膝を着きそのまま前のめりに倒れる。全員が息を吞む。



麻王は、

「倒れている碧を見ろ。お前たちが争うとお前たちを想う人たちも傷付く。」


麻王の言葉に結衣も香織も碧の下に駆け付ける。



うつ伏せになったままピクリとも動かない碧を見ると駿は、

「……やり過ぎじゃないのか、麻王?」



駿の言葉に麻王は蹲踞(そんきょ)の姿勢を取り立ち上がると麻王は、

「何を言っているんだ。最後の柄頭で(けい)動脈(どうみゃく)を抑えただけだから碧は浅く眠っているだけだよ。むしろ今の碧は快感の中だよ。それに慣れないバスケでも疲れているから五分ぐらい休ませてもいいだろ。」



麻王の言葉が終えるとむくっと碧が何とか起き上がると結衣と香織はびっくりする。



「……うぉぉぉぉぉぉ、できねぇことはないのかよ~!スゲーよ、麻王!一緒に剣道やろうぜ!」


碧と芯がそのまま麻王に飛びつく。


カビの生えた碧と芯の面に顔を背けると麻王は、

「……いや、先ずは防具を干そうか?……臭すぎてマジ倒れそう…」


面を取ると碧は、

「そうか?自宅の脱衣所の結衣のパンツもこんな感じだぞ?」


結衣は、

「……サイテー。ホントにサイテー過ぎるんですが!」


「…………。」



麻王は竹刀をしまうと、

「少し寂しい気もするが、弱気な橘結衣はもういないんだな。香織も結衣に本気で言い合える結衣と香織は親友だな。」


そう言うと麻王は道場を出て行く。



ハルトは、

「……え?結局、結衣と香織のケンカ?麻王、関係ないじゃん!」


周は、

「はぁ~さっきそう言っていただろ?」



香織は、

「お兄ちゃん、私のために麻王先輩と戦ってよ!」


駿は腕を組むと、

「ば、馬鹿、最初の突きを見たか?いやいや、全然、見えなかったけどさ、一瞬で殺されるわ!それに俺は麻王の会社の上司、麻王の社長だからいいんだよ。」


周は、

「そもそもの発端はお前だろ、駿?それにもうすぐ青空が駿の会社を買収するって言っていたぞ。社員の俺はどうなるんだよ、社長。絶対に麻王だけ厚遇されるぞ。16で窓際か?左遷か?トラウマになるわ!」



ハルトは、

「周のバイトの収入源は駿の会社だけだからなあ……周も必死。」


「そうだよ!社長逃げるな!」


周が駿を追いかけて行く。


芯は、

「青空は麻王と違ってふつうにスパルタクス(古代ローマの反乱指導者)だよなぁ…今回、麻王が一週間部活にほとんど出てなくても青空は何も言わないし、麻王は最終的に優しいけど青空は最終的に怖いじゃん。」


「…………。」


「芯!」


「んだよ、ハル…そ、青空?」


青空が生徒会の仕事を終わらせて道場にやって来てニコリと笑うと、

「麻王は代わりに朝四時には学校に来て近所迷惑にならない様に体育館で一人練習してたよ、芯。」


結衣と香織を出し、道場の扉を閉め竹刀を拾うと青空は、

「その腐った脳みそを叩きなおしてやるよ。」



碧、芯、駿、周、ハルト、水戸、沖田は、

「ただストレス発散に俺たちを殴りたいだけだろうが!ヒェェェェェッ~!!!!!!」


お昼は暖かくて気持ちいいですね! 

偏頭痛も雨が降らないと調子いいです。

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