新しき世界で
2024 2/19 終了しました。3話は長編になりますが大きな話の分岐点になります。
●新しき世界で 3話●
夏葉さんは現在49歳の独身。背も高く顔も整っている、全体的にかなりバランスも良く俯瞰的に見てもモテる側の男性だろう。
夏葉さんは大阪で生まれ育ち、21歳の時に難病になり二年間の入院生活を強いられ、32歳までに21回の手術を受けながら仕事をして来た苦労人だった。
その大きな手術も今、シンが入院している病院でしてもらったそうだ。
元々、親や兄弟との折り合いも悪く東京に来て20年、この人は今も病気と闘い続けている。
このまま一生独身もと考えていた矢先に私たちが現れたそうだ…。By ミオン
マオは、
「戸籍の問題を言って下さっているのですね。」
夏葉は、
「ズバリそうだね。戸籍がないと学校にも行けないしね。君が言うお金もこの世界で稼げない。魔法を使うの?」
「日雇いなら身元がはっきりしてなくても雇ってもらえるかなと…」
ミオンは、
「夏葉さんを公園で待っている時に魔法は使わないように言われたんです。私は最初はアリかなって…マオと違って魔法は苦手なんですけど…」
「でも、マオくんの話だと魔法は手品でも何でもなく物理現象なんだよね。しかもすごい精霊や神と交渉や契約をし、瞬時に物理的計算もしている訳だ。しかも残り回数は3、4回。これまでの僕の人生で人に頼った事はなかったけど、僕の教え子の政治家や官僚に頼めば君たちは日本で平和に暮らせるしね。喜んで彼らに頭を下げて頼むよ!」
歌舞伎町
喫茶店
ミオンは、
「……教え子が政治家や官僚…スゴ!」
淡々と夏葉は、
「母は虚言癖と何かにつけて家庭内で暴れる人でね…家庭がよくないって話しただろ?」
ミオンは、
「……私は親がいないのでいまいちピンと来ませんが…」
夏葉は、
「そうなのか?」
マオは、
「それで、続きは?」
「そう、発症したのは21だけど17ぐらいには首と左肩の酷い肩凝りに悩まされてね…集中力が維持しにくくて結局、F欄大だよ。そして大学三年生の時に一ヶ月間も試験期間なのに三日間に15科目が固まっていてね。それで徹夜を三日したら四日目の朝に左肩と右肩の差が20cm以上でね。」
マオは、
「…極度の疲労による筋萎縮ですか。」
「さすが。最終的に首から左肩の悪さをしている神経を切断してね。でも、英語だけは体調に関係なく指導できるように母国語感覚になるまで40歳までは毎日、勉強した…そして山のような不良や登校拒否の生徒たちを有名大学に合格させた…」
地球、日本の知識を得たミオンは、
「……それはわかるよ。すごいね、夏葉さん…」
「生徒たちの幸せが自身の幸せだった。それがさっき話した教え子たち。今もかわいくてね。彼らは恩返しをしたいと言ってくれるんだが…俺が欲しいものはそこにないしな…」
マオは、
「…健康ですか?」
「…そう、左右差はなくなって、今はまっすぐに歩けるけど、完治には程遠くてね。瘢痕組織による酷い肩凝りがまた残ってね。もう25年も毎日、薬漬けだよ。」
マオは、
「障害認定は取られなかったんですか?」
「身勝手に子どもを潰して嘆くバカな親にそんな知識も常識もあるはずもなくてな。」
ミオンは、
「夏葉さん自身は?」
「裕福な家庭でもなく、ガチャも外れ…オペ代と薬代を稼ぐのに必死で考えたこともなかったよ。気付いたら20年以上が過ぎ、国の国庫にはお金がなく認定は五級止まり。でも、教え子に頼もうとは思わなかったな…」
マオは夏葉をジッと見ると、
「ミオンとシンを預かって頂けるお礼と言っては夏葉さんに怒られますが長年苦しんで来られたその身体は私なら治せますよ。」
マオの言葉に夏葉は、
「…………え、…ほ、本当に?立てばいいの?いい、マスター?」
喫茶店マスターは、
「夏葉さんは常連ですからいいですよ。信仰療法ってヤツですか?」
椅子から立つとマオは、
「信仰療法とは根本的に違いますよ。」
喫茶店通路に立った夏葉の後ろに回るとマオは、
「ええ、先ほど記憶をお返しした時に手術でかなり首から左肩の瘢痕組織は感じました。つまり夏葉さんの場合、瘢痕組織の除去と首から伝達信号が狂い切断or切断できなかった神経を残りの魔力を繋げることに使えば痛みも感じずに治りますよ。」
「でもマオ君の残りの魔力が…」
「私は元々、エルシオンの者でもありません。妹二人が元気であればこれ以上は望みませんしね。それにその筋の引き攣れ、今もかなり苦しいはずですが?」
「…わかるんだ……す、すごいね…」
ニコッとマオは、
「なら、一分一秒でも早く治しましょう。ミオン、おまえの分も俺にくれ。」
椅子から立つとミオンは、
「うん!」
マオは夏葉の左肩から首を触るとまだ信じられない夏葉は、
「…いいのかな………どう…?」
「予想通り、夏葉さんの身体の悪さは頸椎からの神経変換亢進の問題のみですね。後は瘢痕組織です。」
真正面を向いたままの夏葉は、
「そ、そう、医者は危険で深いところはほとんど触れないって…」
マオの両手が薄く光沢し、両の眼の瞳がブラウンから白に一瞬だけなると、
「物理的事象のこの世界の医術ではそうでしょうね。はい、もう完全に治りましたよ。オペで切り取った僅かな量の筋は新しくつくりました。傷めていた神経ももう問題ありませんよ。」
マオの両手にマスターは、
「こ、神々しい…」
信じられない様子で夏葉は首を動かすと、
「…………か、軽い…………信じられないほど頭が軽いよ、マオ君!いつもと見える景色も違う!」
ミオンと残っている回復魔力を全て使い根治させた。夏葉さんの信じられないという喜ぶ姿に何の後悔もない。ただただ清々しい気持ちだ。
ミオンは笑顔で、
「よかったね、夏葉さん!」
涙が止まらない夏葉は、
「……本当にありがとう、二人とも。ミオン、これからは私のことは樹兄さんと呼んで欲しいな。」
笑顔のミオンは、
「え~、全然、歳違うやん!」
「あ~何かミオンのその似非関西弁はムカつくぞ~!」
「でも夏葉さんには体調不良もなく頑張ってもらわないとね、マオ?」
自身のテーブル椅子に座るとマオは、
「僕もすぐに働きますからこのコブ付き娘が邪魔になったら言ってください。」
「疲れも減った!もう心配ないよ、マオ君!さ、今日は三人でたらふく食ってから帰るぞ!」
ミオンは、
「もう!こぶ付きは酷くない~!?ああ、マスター、イチゴパフェ大盛り~!」
この世界で魔力は必要ない。
―新しき世界で 生活―
それから一ヶ月。今は地球の暦で六月、こうして俺たち三人は、夏葉さんから戸籍と名前をもらった。
シンは、シン=心と彼女の愛する海を取って夏葉心海。ミオンは、ンを取り夏葉美緒、そして俺は夏葉麻王になった。
神薙総合医大
大部屋302号室
ベッドの上で両手を広げるとパジャマ姿の心海は、
「麻王兄~!ホントに魔物も何もいない人間だけの世界!しかも見たこともないすんごい建物ばっか!」
心海を抱きしめると制服姿の麻王は、
「よかったな。」
麻王の胸の中で心海は、
「うん!樹パパも毎朝来てくれたよ…この呪文っていつまで持つの?ってか凄い魔力使ったでしょ?」
心海と離れベッドの端に座ると大部屋窓際から新宿の景色を見る麻王は、
「それはどうかな? しばらくは持つからそれまでにアイテムを考えておくよ。」
「うん、麻王兄は天才だからね……麻王兄なら私を抱きかかえてもブラックホールから楽々、出れたけど、よく後から飛び込んだ美緒姉は助かったね?」
「ブラックホールに飛び込んだ美緒に即座に”リベラティオス”をかけたからな。」
「えっ、……リベラティオスってそんな使い方ができるの?」
ベッドの下の紙袋を持つと麻王は、
「そんなことより、退院するぞ。」
「はーい!着替えるね!」
心海と美緒の二人は樹さん(夏葉さん)のマンションで暮らし、学校はすぐ近くの中高一貫の新宿東中学校に転入という形で入学させてもらった。今は死と向き合う殺し合いの螺旋とは無縁の学校生活と部活を満喫している。
マンションも中学も新宿。俺も同じ学校に同じ中学三年の美緒と双子の兄妹として通っている。
俺は今一人で新宿と千駄ヶ谷の中間的な場所の家賃15000円のアパートで暮らしている。当然、お風呂はない。アルトメニアにはない共同住宅というものらしい。
改めて凄い物価の世界だ。この世界で生きていくノウハウは身体で体感していくのがベストだと思っている。
アルバイトは新聞配達朝夕600軒+部活は一試合500円で何でもあり。この方が色々な経験を一石二鳥で得やすいと考えたからだ。
樹さんには何度も断られたが内々にということで毎月15万円、この日本という場所での心海と美緒の全ての新生活費と学費、立て替えて頂いている心海の入院費と毎月の授業料を渡している。
三人の入学費だけは樹さんは、
「流石に男の面子が廃る!」
という理由で受け取ってもらえなかった。教え子の人達にいくら払ったのか心配になるほど俺たちのこの日本での身元はしっかりしていた。
後は俺自身の頑張りだけだ。
―親友―
まだ創立五年の新宿東高校中等部、東中と呼ばれている。生徒数950名の進学や部活動にも力を入れている中高一貫校。
今週の日曜日に東京で開催される全国大会に出るバスケの名門校との試合があるとのことで助っ人を引き受けた。
放課後
新宿東中等部校門
紺に緑のリボンのセーラー服姿の美緒は麻王と校門を出ると、
「麻王、日曜のバスケの試合は休んだら? 最近、働き過ぎだよ~!」
麻王は、
「バスケ部員の登録もしたし、出るよ。部活最後の皆の気持ちを邪魔しない形で助けてあげたいからな。」
美緒は、
「……部活最後か…そうだよね…」
あれから二カ月が経ち、今は8月、勿論、帰れる見込みがないと思えるほど私たちの魔力量は回復しない。
麻王のいつか帰れる日とは私たちを安心させる言葉に過ぎない。
けど、麻王はこの世界で私と心海が幸せに暮らせるために目一杯頑張ってくれている。
美緒は、
「少しバイト減らしたら? パーティ組んでた時よりキツいんじゃない?」
麻王は笑顔で、
「それはないな。美緒、ガリの大剣が魔物を真っ二つにするところを見た事あるか?Over200歳は伊達じゃないよ。」
美緒は嬉しそうに、
「今は嬉しいんだ!こんな平和な生活があって友達いっぱいできて麻王とこうやって一緒に帰れるんだよ!」
穏やかな表情でそう話す美緒の笑顔を見ている。
『……美緒は、絶対幸せにならなければならない。ミオン・フォン・リアテーゼ。ミドルネームの”フォン”は俺たちの世界ではアルトメニア王家の家名を表す。
五年前、大公と左大臣はそれぞれのバックに鬼人とミノタウロス従え内乱を起こした…。城内で平然と王は殺された。
凄惨な蹂躙と殺戮が王宮内で起き、美緒はその光景を目の当たりにして全ての忌まわしき記憶を失った。
そして俺が駆けつけた時、王宮内は地獄と化していた。俺は鬼人とミノタウロスを斬って斬って斬り続けた…。
鬼人の頭領とミノタウロス王を斬った後、現女王が新政権の派閥に巻き込まれないよう彼女を俺に託したんだったな。
殺しに殺してクラスSの称号か…長刀無限刃を使ったのはあれが二回目……。それにしても、鬼人の次期頭領とミノタウロスの若王は俺がいなくなった隙を狙っているかもしれない。
ただ、神器を持つガリとハリがいれば鬼人とミノタウロスも根城から容易に動けないだろう。二人に任せるよ。
麻王の目の前にいる美緒は、
「麻王、麻王ったら。ボーっとして、もう!」
「……ああ、日曜日、心海と応援に来てくれ。二人のために誰よりも速く走るから。」
「バスケ部キャプテンの篠原君や大川君たちから5000円も前金で貰っているんでしょ?」
「全国大会の一回戦、しかも優勝常連の京都三条北山で5000円なら安いだろ?」
「そうかなぁ?…それに私だけって言わないんだ。って心海は名前で指名して私なんて名前も呼ばれてないんだけど?」
「まあまあ、それより、西口のラーメン店に行かないか。」
「それよりって…。もう、すぐそうやって逃げる~!私の為だけに戦って欲しいなあ。」
「そっか、行かないなら一人で行くよ。」
「待って、待って、絶対に行くー!」
…そして日曜日。
全国バスケットボール大会 会場東京体育館
一回戦
新宿東中(部員数10名)vs全国大会遠征中の京都三条北山(部員数86名)
京都三条北山は中高共に全国大会三連覇中の王者。
その三条北山レギュラーメンバーがユニフォーム姿で出て来る。
パス回しの天才、PGキャプテン神薙青空
PFスピードスターの異名を取る三明優也
努力の天才、スリー精度も7割を越えるSGの牧野芯
190cmの身長とそれを思わせない反射神経の持ち主C烏丸未知
2年、唯一スタメン、スタミナのバケモノSFの鈴木鉄
ユニフォーム姿の東中2年のSF田中は、
「……やっぱ三条北山…堂々としている~!」
三年SG小松は、
「おお、パワーSGの牧野芯だ!サイン、もらって来ようかな…」
呆れ気味にPGキャプテン篠原は、
「おまえたち、後10分で試合開始だぞ。 麻王、ポジションは?」
三条北山スタメンを見ている麻王は、
「どこでもいいよ。」
第一クオータ
麻王が自身でボールをゴールまで運び、隙ができれば味方にパス。隙ができればスリーシュートを驚くほどの精度と速さで繰り返す。
試合開始9分、ゴール後、汗一つ流さず優也の横を通り過ぎて行く麻王を振り返って見ると三明優也は、
「……何だよ、アイツ? 初速の速さが尋常じゃあないし、加えてどんな態勢からでも正確なシュートを狙えるあの体幹も異常過ぎる。そしてあの有り得ない手首のしなやかで強いスナップ…」
ボールを優也に渡すと青空は、
「東中は元々、部員は少ないが強豪校だ。だが初めて見た夏葉麻王、あいつの一見ストリートで出鱈目な動きは、正統なバスケ経験者じゃないな。優也、オマエのトップスピードでかき回せ。俺たちより体力がある中学生なんていない。東中の他のメンバーを完全にバテさせろ。」
ボールをキャッチすると優也は、
「100M11秒フラットの足を見せてやる!」
ボールを持った東中部員を二人をあっさりと抜くと高速移動で向かって来る麻王に対して優也は、
「余裕!その足も自慢ってか。直ぐにその鼻っ柱…」
守る麻王は一瞬、目でフェイクを入れ、優也がその隙に反応したスペースから即カットすると走って行く。
振り返ると優也は、
「どんだけ速いんだよ、アイツ!ってかあのスピードで移動しながら周りが見えているのか? クソ、絶対負けねぇ!」
追いかける俊足の優也をドリブルしている麻王がどんどん突き放してゴール前に走って行く。
優也は、
「…くそったれー!!!!!!!!」
青空は、
「未知、絶対に止めろー!!!!!!!!!」
超スピードの麻王がスリーポイントライン、左から鉄を素早いフェイントで一瞬にして抜き去ると、長身の未知がブロックに入る。
麻王と未知が右に流されるように空中に飛ぶと左→右のダブルクラッチから未知の手が麻王の右手ボールに追いつこうとすると更に重心を右に流し、右からボールを”ひょい”と投げる。
未知は、
「……よし!その位置からは絶対に入らない…」
フリースローラインから麻王の手を放れたボールはそのままゆっくりと放物線を描いてゴールリンクに”スッ”と入る。
芯は、
「……マジか…」
近年、都ベスト8止まりだった新宿東中学と全国大会優勝常連校の三条北山とのシンプルな力の差は第一クオータ開始10分で18対6と三条北山ビハインドで麻王vs天才神薙青空たち4人+秀才鈴木鉄1人のノーガードの殴り合いが続く。
第4クォータ
開始4分、タイム時点で新宿東中学83対三条北山中学校90
ベンチに座っている麻王以外の東中メンバー全員の集中力が切れ、汗が滴り落ちる中、
東中メンバーの一人大川は、
「……ハァ、ハァ、……もう俺たち走れないよ、麻王…」
顔を上げると東中メンバーの小松は、
「……想像もできない超強豪校との接戦も実質麻王一人の頑張りが現実だぞ?」
馬場は、
「………噂で聞いていた三条北山の最強メンバーの桁外れなスタミナとどんな位置からもゴールに繋げるシュート力、テクニックの高さに皆の気持ちも折れたな…」
小松は、
「篠原さ、ハーフタイムで15分の休憩をしたものの第三クォータの10分、麻王は俺たちよりずっと多く攻守を切り返しているんだぞ!」
篠原は、
「……わかってるよ…2分の休憩後、麻王は30分以上全力で走り続けてくれている…」
麻王はバスタオルで汗を拭うと、
「俺は朝夕で毎日40KM走っているから気にしなくていいよ。」
大川と小松は、
「……40キロかよ…」
「ダッシュで一軒に入れる→ジョグで次の一軒→またダッシュ…こうすることで速筋と遅筋を効率よく鍛えられる。いや、維持か…」
馬場と田中は、
「聞いているだけで吐きそう…」
三条北山ベンチを見ている麻王は、
「ただ、これはおまえたちの闘いだろ。そしておまえたちの中学生活最後の大会であり、闘いじゃないのか?」
大川は、
「……だよな…」
篠原は、
「麻王は、周りにチャンスがある時は必ずパスを供給してくれる。…そのスタイルを通していなければ点差は逆だっただろうが麻王は譲らないでいてくれる…俺たちの闘いだもんな…」
田中は、
「でも、第二クオーターからあの神薙青空が夏葉先輩にべったりっスよ!」
大川は、
「篠原、神薙青空ってあんなバケモノだったか?」
篠原は、
「…一年前の全中決勝からパス回しは完璧で既に完成されたPGだったけど、第二クオーターで早々と麻王を止めただろ。」
田中は、
「……第一クオーター20点差だったのに…あれで完全に流れが変わりましたよね…」
小松は、
「スーパークイックから投げるスリーも全国ナンバーワンと言われる牧野芯より上のような…」
ベンチから立つと麻王は、
「所々であの優也、芯、未知、鉄がバテておまえたちのスペースが空いた分、交代で俺についている。つまり、あの青空って選手は俺を完全に止めるプレイの一瞬だけ100%、残りは85ぐらいじゃないかな。昼から二回戦目があるだろ?」
馬場、大川、田中、小松は、
「えぇぇぇぇぇ~そんな~!」
篠原は、
「あいつは、バスケやってる者なら知らないやつがいないぐらいすごいヤツだよ。しかも神薙財閥の御曹司。御曹司でバスケ上手いってさ~!」
篠原、小松、大川、馬場、田中は、
「そうそう!」
コートに歩いて行く麻王は、
「それだけ話せるならまだまだ走れるな。」
篠原、小松、大川、馬場は、
「……はい…」
田中は、
「夏葉先輩、アドバイスとかないんですか~!」
振り返ると麻王は、
「これが高校生なら体力差があり過ぎて勝負は決まっていただろうな。だが、スリーポイントラインの内側では45%の率で意図的に青空に止められるようにしている。なぜかわかるか?」
「45%って中途半端っスね…」
篠原は、
「……わざとか?」
小松は、
「麻王は”意図的”に言っただろう!麻王はまだ本気じゃないってことよ!」
ブーッ、最後のタイムアウト終了。
心海が学校の友人たちと応援に来ている。
体育館二階にいる心海の親友の九条弓は、
「キャッー麻王先輩のトリプルクラッチからのスーパーゴール!!!!! 夏葉先輩って今すぐNBAに行けば新聞配達する必要なくなるぐらい儲けられるよね?」
心海は、
「麻王兄は生臭坊主なんかと比べものにならないぐらい俗っぽくないよ。」
九条弓は、
「寡黙で頭も良くてスマートで…超カッコいいよね。」
「それ、スマートって頭いい意味じゃなかった、弓?」
「もう、私は頭悪いから~!」
「それにまだ全然本気じゃないし、麻王兄以外はだらしないぞ~ノッポ大川~!」
東中メンバー五人はコートに入って行く中で大川が、
「敬語を使え~!」
キャプテン篠原が吠える、
「麻王1人に闘わせて情けなくないのか!これは中等部最後の俺たちの闘いだ。行くぞ、東中!」
大川、小松、馬場、田中は、
「おうよ!」
麻王は、
「バスケットボールって残り何分、篠原?」
「電光掲示板!」
全体がペースダウンし始めた時、
ゴールを青空に入れられると麻王は、
「残り時間、守りはお前たち4人全て任せるよ。」
うつむき加減で少し息を切らしながらもその真剣な眼差しに篠原だけではなく東中全員が呼応する。
目が虚ろな篠原と小松は、
「…ハァハァハァ、いいから……攻めに集中してくれ、麻王…」
麻王は、
「わかった、攻めるよ。」
自陣スリーポイントラインで待ち構えている芯と鉄の前でドリブルして来た麻王が四歩下がると麻王の後ろから来た優也は、
「オレ様が止めてやるー!!!!!!!」
ピタリと止まった麻王が右に切り出した瞬間に左、即右に切り返されると芯と鉄は重心が完全にブレ、そのままその場に優也と衝突し、転ぶとスリーポイントライン上の麻王はスーパークイックでゴールを決める。
鉄は、
「イテテ、もう優也さん~!」
座り込んだままの芯は、
「……左から右への切り返しで重心が崩れたところから…NBAプレイ10選で見たキラークロスオーバーかよ…」
走って来た青空は芯に手を差し出すと青空は、
「スリーポイントラインから敢えて四歩下がり三歩でアンクルブレイクで芯と鉄を崩し、残り一歩は後方から来る優也に鉄との死角を作るためとスリーポイントラインからシュートを打つ布石とはね。」
芯と優也は、
「……マジか…」
ニコッと青空は、
「じゃあ、お礼をしないとね。」
東中92対三条北山96 残り3分
東中自陣左スリーポイントライン前、篠原、小松、田中、大川がゆっくりとドリブルをしている青空はトップスピードで更に左から右に切り返すと篠原たち四人はその場に尻もちをつく。
そこからゴール前に高速移動して来た優也にパスをした瞬間、ゴールリンク下にいた麻王は若干ファンブルしたボールを素早く奪うとそのまま芯、鉄、未知を抜き去りそのままレイアップでゴールする。
95対96 残り2分
鉄→未知からの高速パスを受けた青空もスリーポイントラインからクイックシュート。麻王は芯、優也が追いかけて来たところからダブルバックチェンジで二人をアンクルブレイクさせ即座にスリー。
優也→鉄→未知→芯から青空が篠原、大川をバックステップで避けてそのままシュート。
98対101 残り1分
タイムアウトを取られると優也は、
「アイツは一体なんだ!? 1人でこの試合最初からほぼ全力で走り続けているぞ。」
未知は、
「そいつが俺たち5人よりバテてないなんて。それに青空があれだけ止められるなんて全国でも見たことあるか?こっちは青空に加えて俺たち三条北山中歴代最強のメンバーだぞ?」
優也は、
「雑魚共も加えた勝負には勝っている。でも個々人ではアイツに負けてんだよー。クソが!!!!」
レモンジュースを飲んでる芯は、
「…優也も未知もカリカリかんなって。俺たちは昼からの試合も見越して第二クオーターと第三クオーターでメンバー入れ替えてんだ。……素直に凄いヤツだと思わないか?」
鉄は、
「……キツ……夏葉さんでしたか?あれだけ凄かったらどんなお遊びバスケ部でも名前ぐらい通っているハズなのになぁ…ね、青空先輩?」
東中ベンチを見ている青空は、
「……だな。……向こうも部員10名は出し尽くした。レギュラーメンバーの篠原、大川、小松、田中の足も完全に止まっている。」
未知は、
「さすがに夏葉一人では俺たちのパス回しにはついてこれないか…」
ニヤっと鉄は、
「青空先輩、エグイっス!」
ベンチに座る鉄を蹴っ飛ばすと優也は、
「そんな方法で勝ちたかねえんだよ、ボケ!!!!!」
芯は、
「そういうセリフは夏葉と少しは競えるレベルになってから言うんだな。なぁ、青空、あれはストリートバスケじゃないな?」
青空は、
「芯の言う通りだ…あのつま先、上足底のみでのストップ、トップの感じ…格闘術…いや、そう言う次元じゃないな…」
芯は、
「……まぁ、あんなプレイは三年後、ウインターカップで青空ができると思ってたし…ショックちゃあショックだよなぁ…」
青空は、
「試合に勝って勝負に負ける……だけは一生言うことはないと思っていたんだがな…」
ゲラゲラと優也は、
「ヒィ、まだ中坊が何言ってんだ!ウケる~!」
鉄は、
「優也さんって本当に三条北山始まって以来の知能がない生きものってホントだったんだ…」
親指を立てると優也は、
「スゲーだろ?」
鉄、芯、未知は、
「………………………。」
スリーポイントライン手前でボールを持つ麻王一人にキャプテン青空、優也、芯の三人がピタリとマークにつく。
麻王はフラッと右前方から左に切り込もうとした瞬間、優也は重心を崩し、体育館フロア尻もちをつくと麻王はそのまま左にトップスピードで切り込み、飛ぶと既にダブルクラッチで青空と芯を空中で右に左に動くとそのまま左手のみで”ひょい”とボールを投げる。
優也は体育館に座り込んだまま、
「……もう驚かねえ…ぞ…」
スリーポイントラインからボールは高く上がりそのままほぼ垂直にスッとゴールリンクを通ると三条北山中のバスケ部員は全員無言のまま愕然とする。
電光掲示板が101対101になった瞬間、審判が笛を鳴らす。
審判は、
「スリーポイントラインにつま先が掛かっていたので2点シュート!」
新宿東中学vs三条北山の試合に終始見惚れていた総合体育館観衆は審判のジャッジに騒めく。
麻王は倒れたまま顔を上げると、
「バレました?」
そのまま試合終了のブザービーターが鳴る。
試合終了 100対101で三条北山の勝利
麻王に下に行くと青空は、
「僕のアンクルブレイクで崩れなかったのは君が初めてだよ。よかったら握手をしてくれないか?」
青空の右手を握ると麻王は、
「…ああ…」
青空は、
「僕は神薙青空。君の名は?」
「夏葉麻王。麻王でいいよ。」
「僕も青空でいいよ。麻王、突然だが君の連絡先をおしえてくれないか?」
「俺は携帯持ってないんだ。アパートの共同電話の番号でいいか?」
「共同電話?勿論、連絡するよ。」
「ああ、じゃあ人を待たせているから行くよ、青空。」
麻王が歩いて来ると涙を流しながら篠原、大川、小松、馬場は、
「……結局、最後まで頼りっきりで、すまん、麻王…」
田中は、
「夏葉先輩、僕、先輩と並走してたんで、ライン、踏んでませんでしたよね?」
「まぁ、そうなんだけどな。」
篠原、大川、小松、馬場は、
「えぇぇぇぇぇ~!」
「昼から戦えないだろ。」
小松と馬場は、
「……それは…」
篠原は、
「小松と馬場は足首をかなり傷めているだろ?捻挫を舐めない方がいいぞ。…スッキリしたよ、麻王…」
背を向けて歩いて行くと麻王は、
「なら、よかったよ。」
麻王に飛びつくと小松は、
「イテテテ、麻王、一緒にNBAに行こうぜ!」
田中は、
「夏葉先輩は行けるかもですけど、小松先輩は絶対に無理しょ!」
小松は、
「バーカ、俺は英語を活かして麻王のマネージャーになるんだよ!」
大川と馬場は、
「ぎゃっはは、英検四級の小松キューン!」
これまでの人生の全てが勝ち負けの神薙青空は、麻王が東中のメンバーたちと笑顔で話しながら去っていく麻王をずっと見ている。
青空は、
「……つまらないな。」
芯は、
「青空と対等なやつか?今年の三条北山の高等部三年はバスケも勉強も中々らしいが卒業するしな。俺は青空について行くぜ。」
青空は、
「芯…」
「青空や麻王のような人間には頭抜けた才のあるヤツが集まる。俺はその中で何番になれるか試したいんだ。」
「好きにしろ。」
新宿西口
制服姿の麻王、美緒、心海が横断歩道で止まっている。
制服姿の美緒は、
「負けたけどすごくかっこよかったよ、麻王!」
美緒の言葉に制服に着替えた麻王は、
「ありがとう。5000円分の仕事はできただろ?」
「でも篠原君たちに花を持たせてあげたかったんでしょ。みんなの笑顔をみれば麻王の頑張りは正しかったと思うよ。そう、三人でラーメン食べに行こうよ、麻王!」
心海はニコニコしながら、
「スポーツで競い合う…この世界は素晴らしいね、麻王兄!」
信号が青に変わると麻王は、
「ならよかった。」
麻王の左横を歩く心海は少し心配そうに、
「……麻王兄、あの青空って…」
麻王は、
「ソラ・ラムエィってか。」
麻王の右横を歩く美緒は、
「えぇぇぇぇぇ~!あのユーラのクラスAのバケモノ~!」
心海は、
「声が大きい…って誰もわかんないか…」
麻王は、
「おまえたちがもうこの世界に馴染めてることが嬉しいよ。」
麻王に全幅の信頼を寄せる心海も、
「うん、麻王兄もいるし、大丈夫だね!カッコよかったよ!」
美緒は、
「でも、最後はコケたね?」
「問題なし~!マナがなくても麻王兄はやっぱり凄いね。弓も亜紀もみんな麻王兄に見惚れていたよ。」
麻王は、
「…心海が喜んでくれたならそれでいいよ。」
心海、元々、シンは実の妹ではない。当時アルトメニアと同盟関係だったエルフの国オーファンメイザーのラオの娘。彼女がまだ生後幼い時、彼女のマナの特殊能力が今後まだ赤子である娘の人生を奪うと感じた心海の父ラオは赤子のシンをアルトメニアの英雄マオ・レューゼに託した。
俺の父となった竜王ガリは心海の養父という立場を望んだ。
この少女の右耳には”永遠の偽り ルーテ”というピアスが施されている。
彼女がいつか気付く日が来るのだろう。親のいない俺にはわからないが彼女が望むのならいつの日か本当の父の下に返してあげたい。
夏休み
放課後
新宿東中学校 グラウンド
もじもじと紺に緑のリボンのセーラー服姿の九条弓は、
「……夏葉先輩…あの…白桜に行くんですか?」
制服姿の麻王は、
「心海か?」
前髪をセンターパートで下ろした黒髪のパッチリした目の弓は、
「いえ、先日、先輩のアパートに行った時に共同電話で話している先輩の話を…でも、そうなんですね…」
「アパートに男といると知ったら弓のお父さんが卒倒するぞ。」
「私、先輩なら抱かれても構いませんよ!」
「いつか、そう遠くないいつか弓と暮らせるような気がするんだ。」
「えっ…えぇぇぇぇぇ~!……爆発的に嬉しいんですが、そのケースの場合、美緒さんは?」
「美緒?何でそこで美緒の話が出るんだ。」
「さらにえぇぇぇぇぇ~!ついていきます!一生ついていきます!」
「それより文通しないか?」
「……古典的ですね?」
「英文法の説明や数学の解法を書いて送るから返信して来いよ。」
「えっ…えぇぇぇぇぇ~そんな文通あるか~!」
―そして転入―
夏休みも終わり中学三年生の九月、麻王は神薙に何度も誘われ伴に東京港区にある白桜高校中等部転入試験を受けたいとの旨を夏葉に伝えた。
新宿 マンション
リビングルーム
ソファに座る樹は、
「白桜か…偏差値70以上の次世代を担う御曹司や御令嬢集まり校だね。かと言って帝王学養成校でもない。うーん。」
麻王は、
「もちろん、ワガママは分かっています。ですが、新聞配達で入学費も授業料も用意しています。青空は京都の学校を辞めてまでこちらに来る。バスケじゃなくても一緒に何かをしたいとまで言ってくれています。」
美緒と心海は二人の間の緊張感に沈黙している。
「いや、そうじゃないよ、麻王。東中がわずか創立五年で東京でも有数の進学校たり得ているのはSATやMathに力を入れているからなんだよね。加えて麻王、お前と美緒はその選考ラインのトップにいる。麻王がいつか元の世界に帰るのかそれとも帰れるのかどうかは分からない。でも近い将来、麻王は確実に海外に行くと俺は信じている。その最短キョリがこの新宿東高校なんだ。」
心海は泣きそうになると、
「麻王兄、ホントに行ってしまうの?今までずっと一緒だったのに…んな遠い学校に行ったらまた港区でアパート暮らしでしょ?毎日、会えなくなるよ~。」
麻王は、
「…分かりました。突然、変なことを言ってすみません。」
樹はしばらく両手を組んで考え込むと、
「う~ん、麻王は誰よりも頑張っているしな……うん、もうわかったよ。 但し、試験を受けるなら美緒や心海の三人一緒が条件。正直、白桜は親なら誰でも行って欲しい学校だしね。合格したら三人の入学金は私が出す。但し…」
美緒は、
「心海はバカだよ~!」
心海は、
「自覚してるって、バカ美緒。但しなんなの、樹パパ?」
「この新宿から通いなさい。おまえたち三人の顔を見れる時間が減って悲しいじゃないか。」
美緒は、
「本音はそれだよね!」
麻王は、
「有難うございます。」
心海は、
「麻王兄も照れないで樹パパでいいじゃん!麻王兄は長男だし、お父様とか?」
マジマジと樹は、
「麻王はアパート暮らしって聞かないぐらい言い出したら頑固だし…ま、父は名義上だけだし、父様は嫌だね。俺は三人の兄なんだ!」
心海は、
「さっき親心って言ったでしょ、パパ?」
麻王は、
「美緒と心海は東中に友人がいるのにいいのか?」
心海は、
「新しい学校に行けばまた友達は増えるしね!」
美緒は、
「この真正の陽キャ…でも、心海はマジでかなり勉強できないよ?」
樹は、
「白桜高校って理事長の娘や他の教員もかなりノータリンなんだけど、何故か白桜教員なんだよなぁ…告発をチラつかれば心海も…」
クスクスと笑いながら心海は、
「樹パパってかなり”悪”だよね?」
「バーカ、世界の腐敗の半分は世襲という糞が原因だよ。維新政府は四民平等でこの国を支え続けて来てくれた士族階級を思いっ切りぶん殴って新しい利権をつくってしまった…どう思う、麻王?」
「そうですね、樹さんの母方の祖父は鹿児島から愛媛→大阪にルーツを持つ牧野性、牧野家には奥州の伊達家に仕えた牧野姓と大久保利通に直接的なルーツを持つ牧野姓があります。樹さんの祖先は後者でしょうか。なら、正しく同族嫌悪かもしれませんね。」
樹は、
「そ、そうなんだ…」
美緒は、
「麻王ってびっくりするくらい博学だよね…」
「人が集まり時が経つと必ず利権ができます。フリーランスで働く樹さんが利権団体に嚙みつくのはよろしくない。ヤツらはあらゆる手段の暴力を保持していますからね。」
「お、おう…」
心海は、
「ま、その時は麻王兄がそいつらグサッとね!」
美緒は、
「心海!」
「樹さんにこれ以上のご迷惑はお掛けできません。心海の勉強は私が見ます。」
目に涙が浮かぶと樹は、
「まぁ、寂しくはあるがホンモノは自らの力で立ち、自らの道を見つけて行くんだろう。それに麻王はいつかその頭脳で多くの人を救う存在になる。そう信じてるよ…寂しいけど…」
心海は、
「パパ、パパや麻王兄は強い光を持っている。それは天から与えられた使命だと思う!」
戸惑いながら樹は、
「いや、俺、無神論者なんだけど…?」
美緒は、
「夏葉麻王が有名になれば、生徒たちは”夏葉樹先生ってやっぱり凄いんだ!”ってなるでしょう!」
頭をぼりぼりと掻くと樹は、
「まぁな……麻王、無理だけはするなよ。」
19で恋をし、半年でその恋は彼女の浮気で終わった。20で新しく知り合った女性は難病を患っており子はできないと言われた。でも、樹さんは”その分、互いを労わる人生を送ろう”といい彼女を射止めた。そして21で樹さんが入院した際に彼女は週に月に一度は見舞いに来てくれた。
一年後、病院のベッドの上にいる樹さんに彼女はヒステリックに別れを切り出した。理由は彼女が通学する短大行きのバスの運転手に告白されたからだった。
彼の人生は保身に長けた人間にしかほぼ出逢わなかったことだ。それでも樹さんの心根はまったく汚れていない。
だが、心は今も深く傷付いている。
美緒と心海は”悪意を人に行うよりもその悪意に傷つけられる方がいい”と笑いながら話す樹さんの気持ちを二人はよく理解している。
与え与えられる…本当の家族とはそういうものなんだろう…
美緒と心海は、
「麻王(兄)~!ボッーとして変だよ。」
「そうだな。朝刊の配達に行くまで勉強するぞ。」
心海は、
「えぇぇぇぇぇ~!」




