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尾ひれの悪意① 挨拶

●尾ひれの悪意① 挨拶 112話●


白桜

生徒会室


麻王は

「……そう言った対人恐怖症の生徒たちが自信を持つまでブースで区切った教室もいいかもな。理事長にも意見交換して来るよ。」


麻王はそう言って生徒会室に行こうとすると生徒会室前の廊下に神子、結衣、弓が待っている。


照れくさそうに神子は、

「……あ、あの、とても言いにくいのですが私と結衣ちゃんと弓ちゃんのお父さんに会ってくれないかな、麻王君?」


「突然、何だ?」


弓も下を向いて、

「お父さんたちも体育祭を参加していて……」


「構わないけど結衣のお父さんとはゴルフレッスンで毎週会っているよ。」


結衣は、

「…………あの、すごく言いにくいんですが一対一で会って欲しいなって…やっぱりごめんなさい。」


三人は走って行く。


「……何だ?」


一人歩いて来ると愛は、

「……お疲れ様、麻王君……私のお父さんも麻王君に会いたいって…」


「わかった。約束した順に行くから最後でいいか?」


「うん、また焼肉用意しておくから。」


「楽しみにしておくよ。」


麻王は理事長室歩いて行く。




生徒会室

「青空、まだ早いけど今日はこのまま帰ってもいいか?」

「もちろんいいけど。麻王が生徒会の仕事を残すのは珍しいね?」

「家に持って帰えるよ。」

「僕がしておくからいいよ、。体育祭に来られた観衆の方々も麻王が招待した弥生律の三振ショーに大盛り上がりだったらしいしね。白桜のイメージは右肩上がりだよ。」

「すまないな。じゃあ帰るよ。」


麻王はラップトップを持って生徒会室から出て行く。




神子の自宅


自宅の前に立つと白桜ブレザー姿の麻王は、

「……一階が鍼灸院で……二階が神子の家だったな。」


麻王はインターホンを鳴らすと神子の父が出て来る。


診療所から神子の父が白衣姿で出て来ると、

「久し振り、夏葉君!まだ治療中だけど、さ、さ、入って入って。」


麻王は菓子折りを渡すと診察室で待っている。



麻王は、

「もし良ければ、このMRIの画像とレントゲン写真を見せて頂いてもよろしいですか?」


「確か医学部志望だったね。後学の為にもいいよ。但し、守秘義務だからね。」


神子の父の言葉にMRI画像を蛍光灯に照らして眺めている。


「その患者さんは頸椎ヘルニアでね。ブロック注射で良くなったんだけど頭痛がとても酷くてね。」


「鍼灸師としてですか? 少し診させて頂いてよろしいですか?」


「患者さんに聞いて来るから少し待ってね、夏葉君。」



2分後

「是非、お願いしますって。頼めるかな?」


「わかりました。医療法的にも問題ないので診て来ますよ。」


「……医療法的…?」


麻王は患者のここ三ヶ月ほどの状態を聞く。


麻王は、

「閃輝暗点、週末に必ず頭痛が来る、ワインを飲んだ後も起こりやすい。本多さんは偏頭痛ですね。」


呆然と患者は、

「………偏頭痛だったんですか?」


笑顔で穏やかな声で麻王は「ですね。ヘルニアによる痛み自体がストレス原因になっていると思います。頭痛が亢進していない時に上位頸椎から肩への通電が最も有効だと思いますよ。」


患者は、

「………ストレスとかも関係しているんですね?」


「ええ、自律神経のバランス回復が根治の鍵ですよ。」


「……治りますか?」


「海外で開発された新薬もようやく日本で打てます。但し高額医療薬なので…」


「いえ、自費でもこの苦しさが良くなるなら!」


「完治させるための注射ではないのでこれからは並行してストレスを解消していきましょうね。」


「はい、あの…今、服用している薬は?」


「日本では頭痛は軽く見られがちですが偏頭痛は立派な難病です。無理をして薬を止めるとそれがまたストレスになります。でも肝臓への負担を減らす意味でもビールは控えた方がいいですね。偏頭痛の薬で抑えながら鍼で寛解(かんかい)はすると思います。」

「先生にお会いできて幸運です!」


「出逢いは大切ですね。何かあれば東先生を通じてご連絡ください。」



麻王は待っている間、白衣を貸してもらい。

受付業務を手伝っている。


「ありがとうね、夏葉君。カルテも完璧だよ。さすが白桜高校学年一位だね。」

「あの、今日はお話しがあると聞いて来させて頂いたのですが。」

「神子が溺れた時に真っ先に飛び込んでくれて助けてくれた事をね。本当にありがとう。」

「以前に言って頂いたのでもう十分ですよ。東さんが本題を言って下さるのを待っています。」



神子の父は話しにくそうに、

「………突然で、失礼は重々承知なんだが娘の事をどう思っているのか聞きたくてね。」


「大切に想っています。お付き合いやその先は高校を卒業してからと考えています。」


「……そう。続けて失礼だけどプロ野球は?」


「いえ、行きたい気持ちは過去にはありましたがすべきことが山のようにあるので今はもう諦めました。」


緊張気味に神子の父親は、

「……勿体ないけどね。そう、それで本題なんだが……患者の娘さんが白桜に行っていてね。麻王君が他の女性とも付き合っていて………その………肉体関係も多数の女性とあると噂で聞いたんだが…。」


「私は自分の会社と他の会社に勤めています。手伝ってもらっている中で他の女性との付き合いは否定しません。」


麻王の返事に神子の父は突然、麻王を殴る。麻王は口の血を拭うとぶつかったベットのシーツを直して”失礼します”と頭を下げて出て行く。



麻王は次の駅まで未完成部分のβAIの修正部分をメモしている。

「次は橘さんか…。」



橘家

麻王は家の中に招待される。結衣も碧もまだ帰っていない。ぎこちない会話が30分続くと、


橘は、

「あの…いやね…………この前のパー5のバーディーは一生の記念だよ!」


「奥様が何か聞きたいようですが?」


妻が橘を睨むと橘は、

「………いや、あのね、麻王君が他の女性とも付き合っていて……肉体関係も多数の女性とあるとね…。」


「他の女性と付き合ってとは愛枝や文音の……」


言葉の途中で橘の妻は麻王を平手で思いっきり殴るとテーブル上の食器が全て落ち割れる。


橘は妻を止めると、

「こら、祐美!麻王君は私や名古屋のゴルフの先生でもあるんだぞ!」


落ちた食器を片付けると麻王は、

「………ご馳走さまでした。」


「…………麻王君。」


麻王は頭を下げると、

「失礼します。」


そう言うと麻王はそのまま橘家を後にする。



「…………最後は弓か…菓子折りも生ものだしな。」


弓のマンション

弓はすでに帰宅している。弓の父、九条は超が付くプロ野球ファン。


「神薙青空、上山蒼、弥生律より評価は高いのにプロ野球には行かないって本当なの、夏葉君?」


「自身の会社と親友の会社の社員なので考えてませんね。」


「娘と結婚するなら野球をして欲しいな。それと聞きにくいんだけど女性関係の噂を聞いてね。信じたくないんだ。夏葉君自身の口から否定して欲しいな。」


弓は、

「お父さん、何の話!」


麻王は、

「娘さんにはその気はないと話していますが?」


「その気はないって弓の事か!」

「お父さん、プロ野球の話だよ!」

「……興奮されていますね?また機会がありましたら…」


言葉の途中で九条は麻王を思いっきり殴る。


弓は麻王に駆け寄ると、

「…………お父さん……何でこんな酷いこと……すみません、先輩…。」


涙声の弓に麻王は、

「……失礼します。弓、生ものだから早い目にな。」



麻王は弓のマンションから出ると、

「……ハァ、最後は愛のところか…結果は見えているんだけど、行きますか…」



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