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あのスピードでコントロールできるんですか?

●あのスピードでコントロールできるんですか? 103話●


【準決勝 香明学園vs白桜高校】


1番センター   三明優也

2番サード 牧野芯

3番ショート 神谷智

4番セカンド 神薙青空

5番キャッチャー 上杉周

6番ファースト  名古屋駿

7番レフト   三好哲也

8番ライト    橘碧

9番ピッチャー 夏葉麻王



青空は今大会セカンドのまま。的確な指示を送り続ける。

この日は今大会、初の先発の夏葉麻王。

麻王は痩せた身体もほぼ元に戻り初回から150km/h後半のストレートを投げ続ける。四番の上山蒼に160km/hのストレートで二打席連続三振。



三塁側白桜ベンチ


上山の三振に坂季は、

「……あの上山蒼の三振が二回も…」


藤原は、

「練習試合では俺、千条、坂季全員に本塁打の上山が…」


神戸は、

「麻王先輩は遊び球を嫌うな。」


赤羽は、

「……夏春夏とノーヒットノーラン継続中か…もうマンガの世界だなぁ…」




香明学園はピッチャー四人制から五人制に変更し三、四番の夏葉麻王と神薙青空を敬遠する。


香明0vs白桜0のまま六回


そして六回白桜ベンチ


碧は、

「恥ずかしくないのかお前ら!香明のクソは春の選抜と同じように麻王と青空を敬遠すれば勝てるって思っているんだぞ!」


神谷と三好は碧の言葉に下を向く。


「お前も三振したクセに。」優也は笑う。


碧は、

「俺はヒット打てるっーの。」


ムキになる碧はあっさりと三球三振に終わる。




六回裏

ピッチャーマウンドの麻王は砂を慣らしている。

上山蒼は右バッターボックスに入る。


上山蒼との三打席目の最初の一球目はレフトスタンド上空に飛んで行く。ポールからボール一個外れてファール。香明学園、応援スタンドが大歓声から落胆の声に変わる。


ピッチャーマウンドで麻王は平然とロジンバッグを掌と甲に当てている。


二球目165km/hの空振り。

三球目 166km/hの外角低めで三振。上山はバットを振り上げそのまま下ろすとベンチに歩いて行く。


しばらく甲子園は静まり返った後に逆に大歓声。



白桜ベンチ

ベンチ入りしている赤羽、白鳥、神戸、榊、椿も唖然としている。


同じピッチャーの坂季はその球速に驚きを隠せない、

「………あ、あのスピードでコントロールできるんですか?」


戻って来た碧は、

「できるよ。まあ、だからあの上山もバットがクルクル回るんだよ……麻王って中等部から高校一年まで新聞配達600軒よ?貧乏よ?スペシャル貧乏よ?」


「…………。」


ハルトは、

「ふつう緊張するよな?でもしないんだよな~!」


赤羽は、

「ノーヒットノーラン継続中ですしね?」


碧は、

「青空なんて誰がミスるか楽しんでいるしな。赤羽たちさ、準備しとけよ。」


赤羽、白鳥、神戸、榊、椿は、

「ええぇぇぇ~無理無理~絶対に無理です~!」


「全員野球が麻王と青空の信条。俺、アップする………ヤベ、緊張して来た…トイレ行って来るわ。」


碧はベンチ裏に入って行く。


赤羽、神戸、椿は、

「ええええ、試合が始まってもう五回目ですよ!」



香明の五人目のピッチャー羽崎の初級に碧はヒットを打って麻王がホームへ。続く周も右に見事に流して青空が帰って二点目。



香明0vs白桜2


八回裏が終了し、


白桜ベンチに青空が帰って来ると、

「赤羽はセンター、神戸はライト、白鳥はレフト、榊と椿は………どこでもいいよ。」


「ええぇぇぇ~!」


駿も戻って来ると、

「坂季、藤原も行けば?ピッチャーの麻王と周以外はオール一年ってな!」


「うん、駿の案はいいね。それで行こうか?」


駿は、

「……いや、ジョークだよ、青空?」


笑いながら神谷は、

「麻王先輩のピッチングを真横で見て味わえる快感はヤバいぞ?」


椿と榊は、

「………マジ?」


「大マジ、絶対に後悔するぞ?」


椿は、

「………バスケじゃあダサダサの神谷がカッコよく見えるわ。」


「………………。」


レガースをしたまま周は、

「………明日、決勝戦か。………一度は優勝したいよな。」

赤羽、神戸はグローブを借りると、

「プレッシャーすごいんですけど?」


ベンチで寝ている麻王は立ち上がると、

「………行くか。東京に帰ったら赤羽たちのグローブを買いに行くか?」


「は、はい!」



今日の麻王は打てない。そう思わせるストレートの伸びで九回裏も三球三振でゲームセット。


香明0vs白桜2


白桜ベンチ


青空は、

「ピッチャーを増やせば制球難で危うくなる確率が上がる。香明の監督が愚かな人で良かったよ。」


ベンチに下がった青空は一年メンバーが抱き合っている姿を観ながら話す。




午後10時 三宮


チンピラを背負い投げすると碧は、

「どっしゃー!!!! おい、逃げるぞ、一年坊主!」


神谷は、

「椿と榊が囲まれていて放っていけませんよ!」


駿は立ち止まると、

「しゃーねえな、ハルト、行くぞ!碧、芯は赤羽たちを連れて逃げろ!」


芯はチンピラの首をロックしながら、

「分かった!一年は早く来い!」

神戸は、

「コイツら地元の愚連隊ですよ!放って行けませんよ!」


周は、

「何でグローブ買いに来て食事したらカツアゲされるんだよ~!麻王か青空は?」


坂季は、

「最初からいたらこんな状況になっていませんよ~!」




立体駐車場 屋上


麻王はスナイパーライフルを片付けている。

「……青空か?」


青空は車の陰から出て来る、

「麻王は出し抜けないね。いつから?」


「宿舎からな。」


「付けさせたの?殺し?」


「魂が逃げないように現世で犯した罪はなるべく現世でな。」


「………麻王に命令ができる人間………興味深いね?」


麻王はリュックを持ち、立ち上がると携帯を取る、

「………ええ、依頼は完了。神薙総合病院に来るように誘導してください。ええ、失礼いたします。」


「……留守電メッセを見た、麻王?」


「芯たちか?ここから直ぐの廃墟ビルだろ?」


「それでこんな遠方から狙撃?二段階に準備する麻王に死角はないね。」


「不測の事態を想定した三段階。」


「僕がここから廃墟ビルに狙撃するから麻王は芯たちとかわいい後輩たちを逃がしてくれない?」


ため息を尽くと麻王はリュックを青空に渡す。

「………TAC-50、ここからだと3000M超えの超長距離狙撃になる。ラバー弾、閃光弾、煙幕弾が入っているよ。じゃあ後は頼むよ。」


慣れた手つきでボルトアクション式の長距離狙撃ライフルTAC-50を再び組み立てる青空は、

「麻王が2900M、余裕だよ。」


歩いて行く麻王は後ろ姿のまま、

「…ああ、弾は有料だからな。」


「10倍で返してあげるよ。」


「……今夜は焼肉定食だな。」


右手を上げると麻王はそのまま階段を降りていく。




翌日

【決勝 航空高校vs白桜高校】


1番センター   三明優也

2番サード    牧野芯

3番ショート 神谷智

4番キャッチャー神薙青空

5番セカンド 橘碧

6番ファースト  名古屋駿

7番レフト  三好哲也

8番ライト    井上ハルト

9番ピッチャー 夏葉麻王



白桜ベンチには顔を腫らした優也、碧、芯たち二年と同じく顔を腫らした赤羽たち一年が座っている。


リサは、

「もう、みんな深夜に帰って来て顔を腫らしてどうしたの~!」


碧、優也、ハルトは、

「………弾丸がバンバン飛んで来て光と煙に意識が飛びそうになって……気が付いたら全員雑木林で……現場はパトカーが山のように…」


愛枝は、

「…なによ、それ?今日、決勝戦だよ!大丈夫!」


キャッチャーミットを持つと青空は、

「全員、愛枝と先生の厚塗りファンデーションのみなんですよ。恥ずかしい顔が全国放送されますね、荒木先生。」


「白桜の練習時間だな。行くぞ、青空。」


麻王は素っ気なく歩いて行く。


青空は、

「麻王が行ったよ?ほら、行くぞ、皆!」


顔を腫らしたままの碧、優也、ハルト、神谷、榊、椿、赤羽、神戸は、

「…………はい…。」



キャッチャーマスクを持った青空がピッチャーマウンドに走って来る。


「配球はどうする、麻王?」


「バッターとしての本来の才能は上山よりも速水が上だな。だから三番に入って常に一発を狙っている。」


「じゃあコースを攻める?」


「上山と同等のポテンシャルの神谷に守備力も高い五番バッターの三好…俺たちが卒業後、あいつらだけで甲子園優勝を狙える白桜野球部にな。」


「じゃあ全球真ん中ね。」


「青空、昨日の秘密を試合終了後に話すよ。」


「ヒントは?」


「元首相、普門院、島…青空ならこの三つで十分だろ?」


キャッチャーマスクをすると青空は、

「……なるほどね…なるほど、そうだったのか。」


青空はそのままホームベースに戻って行く。



麻王は一回表から渦巻くようなストレートを全力投球でど真ん中に投げ続ける。


航空高校の速水桐も一回裏の初回から、麻王にも青空にも一切逃げずに真っ向勝負をする。


三回裏

ここまで白桜7人が三球三振、四番の青空だけがセンターフライで九番バッターの麻王が左バッターボックスに入る。


一球目、内角高目にMAX165km/hのストレートでストライク。

二球目、外角高目に162km/hのストレートでツーストライク。

三球目、内角低目ボール気味に106km/hのチェンジアップを投げた瞬間、麻王は一塁ベースに歩いて行く。



白桜ベンチ


碧は、

「…………バックスクリーンかよ。」


三好は、

「…………あのブレーキの利いたチェンジアップでバランスを崩さずに?」


青空も呆然と、

「………麻王の凄さの一つにスイング スピードの尋常じゃない速さがあるね。」


坂季は、

「…………つまりどういう事です?」


青空は、

「ピッチャーのボールの軌道、球速、球種を確認してからスイングできる後出しが麻王には許されるね。」


神谷は、

「…………最早、チートですね?」


青空は、

「cheat…騙すことかい?無駄な筋肉を付けない為に楽な筋トレを一切せず粘り強い腹筋、背筋を鍛え上げることがか。」


神谷は、

「アホですみません…」



三打席目の麻王に速水桐はMAX165kmの球を完璧に二打席連続のバックスクリーンに持って行かれて決勝戦は決まった。


夏、春、夏、三度目の挑戦で白桜高校は初優勝をした。



航空高校、最後のバッターを三振にすると碧と芯にセンターから優也が麻王の下に走って来る、


「麻王~!麻王と白桜に来たからここまで来れたぜ!」


そう言って碧、優也、芯の三人は麻王に抱きつく。


麻王は、

「優也と芯が敵だったらすでに昨年のウインターカップですごい激戦になっていたな。でも、やっぱり青空、芯、優也と白桜に来てよかったよ。」


麻王の笑顔に優也と芯は涙が出る。


そこに周、碧や駿にハルトも加わる。




白桜ベンチ

あまりのレベルの高さに一年メンバーは喜びと落胆が入り混じる。


麻王は荷物を片付けながら、

「青空と俺は来年白桜にいないかも知れない。周、芯、碧たちについて行けばお前たちはこれからも成長し勝ち続けるよ。バスケは優也と成長したハルト、駿について行けばいい。」


赤羽は、

「………麻王先輩は?」


麻王は赤羽の言葉に無言でベンチから手を振って出て行く。愛枝は麻王を追いかけて行く。



「待って~!麻王~!」


麻王は立ち止まると、

「……高校卒業したら愛枝はプロゴルファーデビューだな。」


「麻王は?麻王なら即トッププロに慣れるよ?」


「俺はいいよ。」


「スポンサーも一杯ついて一生お金にも困らないよ!」


「そう言うものは求めていないよ。今の生活を維持すれば妹たちも好きなものを食べられる。皆のところに戻ってやれよ、部長。」


「………うん…。」




宿舎に帰ると、βAIの欠点を青空と周が考えている。


駿が側に来る。


周は、

「次長が来た。」


周が笑いながら言うと駿は、

「チームリーダーのお前が言うな。で麻王は?」


駿がそう言うと宿舎のスタッフがやって来る。


「スカウトの方が来ています、上杉様。」


「……お、俺に…ですか?」


周と宿舎に来ていたひかりは信じられないように歩いて行く。


駿とハルトがやれやれと言った感じで、

「どうせ青空か麻王が言ったんだろ?」


青空は、

「言ってないよ。荒木先生に僕たちはプロに入らない事を強く言ってもらうように言ったからね。麻王を探して来るよ。」


ハルトと碧が哀しそうに、

「駿って社長じゃなかったっけ? いや、それより創業者だろ…?」


駿は、

「……青空が入って来るって事は神薙総合財閥の庇護下に入れるチャンスだろ?麻王は反対したけど周と俺がLRプログラミングを傘下にな。」


優也は、

「庇護下ってLRプログラミングに青空がいるのにか?」


「それな……はぁ~。」


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