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美緒の記憶  節約をしろと

●美緒の記憶 100話●


神薙総合医大


棗と神子は青空に、

「神薙君、病室に入れて。」


青空は麻王の病室の前で腕を組んだまま、

「容態が安定するまで一週間は絶対にダメだ。」


愛枝たちも全員集まって来る。全員が頭を下げ続けるが青空は許さない。


神子と棗は土下座をする。


病院廊下で四つん這いになったままの神子と棗を見ながら青空は、

「………麻王は人が土下座するのをひどく嫌ったな…。一人10分。二階に全身消毒する部屋がある。順に行け。今回のみだ。」




ICU(集中治療室)

棗が一番最初に病室に入って行く。

麻王は酸素マスクを装着され頭には包帯がグルグルに巻かれている。その姿を見ただけで棗は涙が溢れ零れ落ちる。


そして超人的な麻王もまた一人の脆い人間と知ると文棗の涙は止まらない。


棗が麻王の手を持つと氷のように冷たい。棗は泣き出しそうな自身の口を抑えて麻王の胸で泣き続ける。


「……麻王、私にしてくれたピアスを自分にしていたらこんな事になってなかったよね…。怖くて怖くて絶対に男性を愛せないと思っていた私に男性をこんなに好きになり愛する事をおしえてくれたのは麻王だよ。」


続いて神子、結衣がICUに入る。


4番目に弓が病室に入って行く。麻王のその姿に麻王の胸に抱きついて泣き続ける。

「………以前先輩は、言ったよね。”諦める事も大切だけどその人を確実に失う”って。私は初めて先輩に会った時にもう好きになっていたよ。麻王にしか関心を持てないのが私の強さだよ。分かってくれる?」


ひかり、愛枝、心海、愛…




心海が入ると心海が知る英雄マオ・レューゼではなく一人の16歳の青年がそこにいる。


酸素マスクを装着されたまま眠り続けるような麻王に涙が止まらない心海は抱きついたまま、

「……ぅぅぅ……マオ…兄…こんなにたくさん与えてもらったのに…お弁当はおいしかった?……許して…ぅぅぅ…」


愛は、

「……心海…」



最後の美緒

「麻王、ずっとずっと大切にして来てくれてありがとうね。一年程まえからぼんやり記憶が戻っていてね。今はハッキリ覚えているよ。マオは自身の血と帰り血で城内が真っ赤に染まっていたよね…」


美緒は麻王の手を強く握ると、

「………何でこんなに冷たいの……麻王?………思い出しても全然怖くなかったよ。父を裏切り殺した者たちとマオは激しく戦い血が飛んで………数百の鬼人とミノタウロス相手にも一歩も引かずに戦ってくれていたね……」


美緒の言葉にも麻王の手は全く動かない。


「……麻王は、本当は何者なのかってずっと思っていた………でも、でもね、私にとって麻王はやっぱり私をいつも大切に想ってくれる麻王なんだ。愛しているよ、麻王がいいって言ってくれたら一生貴方の傍にいたい…。」



ICUから出てくるまで美緒は麻王が心配するから溢れる涙を我慢した。でも病室を出た瞬間、美緒はその場に泣き崩れる。


美緒を抱き起すと棗は、

「……美緒。」


力が入らない美緒は、

「…やっぱり何しても…もうダメ…だよ…。」


神子は、

「……美緒、麻王君は冷たいけど、顔色が悪くなかった…信じよ…」


愛枝や神子、棗たちは美緒を連れ帰る。



檜木は小さな声でICUの前で立ち続ける青空に耳元で囁く、

「………残念ながら、いくつかの国の大使が……記憶にない、危険な人体実験オペに付き合っただけだと断って来ました。夏葉様には申し訳ありませんがこれはもう神薙総合財閥の威信の問題かと。」


「麻王は恩を仇で返す事を最も嫌った………麻王がいないなら僕が直接裁きを下してやろう。全てのゴミを徹底的に狩るぞ、檜木!」


「ハッ!青空お坊ちゃまを幼少の頃よりお世話させて頂きましたこの身を伴に。」


「懐かしい呼び方だね。常に僕と対等な目線で話してくれたのは檜木、お前と麻王だけだった。βAIにはからくりがあってね。」


「………ベータAIにですか?………もしかして?ピンポイントで?」


「記憶にない、危険なオペに付き合ったなら停止しても問題ないだろ?」


「………さすがにそれは………今後のβAIの売り上げにも…」


「構わないよ。制作中のΔ、そしていずれはγをつくる。日本に軍事行動を起こした際は直ぐにβAIを停止すると伝えろ。」


「徹底的に叩くという事ですね。承りました、この身命に代えまして任を全うします。」


青空はICUを厳重に警護するように命じると次に神薙家に逆らった国にβAIやその他の神薙総合財閥の流通を停止するように命ずる。檜木は頭を下げると各方面に連絡を取り始める。




二日後 白桜高校

青空は野球部とバスケ部のメンバーを集める。


「優也、もうバスケの試合に出場できるな。周、ピッチャー陣を活かすのはキャッチャーマスクを被るお前だ。麻王が見ているぞ。絶対に恥ずかしい試合はするな。俺は麻王の気持ちを踏みにじった奴らの所に行ってくる。頼むぞ。」


赤羽は、

「……麻王先輩に助けられたってヤツらですか?」


「そうだ、麻王にまだ家族と別れたくないとすがりつき、命を救われたクセに人体実験をされたとほざいた舶来の一級品の屑共だ。」


神戸は、

「……麻王先輩はいつも疲れていた…そんなヤツらに情けをかけなければ…」


千条は、

「でも、麻王先輩らしいよな…」


坂季は、

「……麻王先輩は隠し事をする人じゃないし、何か…」


青空は、

「いずれお前たちも知る日が来る。行くよ。」


碧は、

「……青空……いや、待ってるよ…」


青空の言葉にそれ以上は誰も口を挟まない。




青空は、先ずは東ヨーロッパ方面に向かう。青空は、二日前の檜木に経済制裁を命令した時に既に衛星の通信を通してβAIの作動をピンポイントで止めていた。各国の大使館や


経済制裁に反発する各国のクレームに官邸から悲鳴や呻き声が聞こえる。



青空は携帯を取ると、

「………どうなった、檜木?………EEZから引き返したか。分かった。βAIは一旦止めるよ。じゃあ。」



現在、神薙家は、石油の利権のほとんどを握っている。中東の人間は電話での売買は決してしない。

彼らに直接会い、信用できると思った者だけに石油の利権を与える。そう言う意味では一回一回現地に足を運び中東の者たちからの信頼関係を築いた青空の力は大きい。


麻王がいない今、青空と世界中の人間が欲しがるβAIの組み合わせは欧米や中東全てを味方にするのにそう難くはない。



「……麻王は剣を愛していたが僕は銃が向いているな。」


青空は9mmハンドガンのカスタマイズされたグロックを持っている。マガジンの銃弾を確認しショルダーホルスターにしまうとスナイパーライフルをリュックから取り出す。




二分後

経済制裁とβAIを止められた事で某国首都機能は完全にマヒしている。大統領前で荒れ狂うような何十万人ものデモが行われている。青空は遠距離からデモの一人の太ももをライフルで狙撃する。

群衆の一人が撃たれて辺り一帯はパニックになる。青空は先ずライフルで一人一人官邸のボディーガードを狙撃していくとライフルからグロッグに持ち替えたった一人で官邸玄関の警備を全て倒し、正面から官邸に入って行く。

と官邸内で凄まじい銃撃戦を繰り広げる。




20分後

大統領の頭に銃口が向けられている。廊下や周りの警備も全て倒れている。


“I’m not interested in what your last word is. The scum that returned evil for good have to be dead.”(お前の最後の言葉には関心ないな。恩を仇で返したクズは死ね。)


青空がトリガーを引こうとした瞬間、青空の右手に麻王が手を掛ける。


麻王は笑顔で、

「帰ろうか、青空?」


「…………麻王、いつ治った?」


「10時間程前だよ。飛行機でここまで来る時にΔ(デルタ)AIはほぼ完成間近まで行ったよ、ま、暇だったからな。」


「本当か、麻王?」


「青空がマナ鉱石の結晶を山の様に集めてくれただろ?かなり調子良くてな。」


話しながら麻王は懐中時計を取り出すと大統領にダウンジングをはじめる。大統領はそのまま眠る。



ショルダーホルスターにグロックをしまうと麻王は、

「βAIは人間と同等の知能を持つ。人体実験されたんだろ?βAIがブ千切れたから死が訪れると伝えておいてくれ。」


クスッと青空は、

「また泣いて懇願してくるよ?」


「凄まじい苦痛が発動するようにしてある。俺は闇医者のフランケンシュタイン博士だからな。」


「麻王は悪人だね?」


「エルシオン流だよ。」




官邸外

スーツ姿の軍人が数百人倒れている。

まだフラついている麻王に肩を貸す青空。


まだ足がモタつく麻王は、

「……大丈夫。プロフェッショナルの警備兵相手にさすがだな、青空。素人300人相手にした俺が恥ずかしいよ。」


クスッと笑うと青空は、

「よく言うね、大統領官邸に敵の応援部隊がまったく来ないと思ったんだ。で、麻王のヒプノシス(催眠)に罹った警備兵のコイツらは何処を標的にしたんだい?」


「警備隊には自国の石油パイプラインを壊すようにな。」


「それでどうやって?」


ポケットから石ころを出すと麻王は、

「美緒たちにやったマナ鉱石の僅かな残りカスを使って意識が飛ぶ瞬間に致命傷を避けた。後は硬膜下にある血液を出してもらえばいいだけ。極度の過労を回復させるために生命レベルを落として眠り続けたよ。」


「さすがだね。」


民衆が官邸前に数万人集まっているのを見ると麻王は、

「この混乱に乗じて帰りますか…」


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