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パンタロンとサーベルタイガ。

 青い空、白い雲。今日も良い天気だ。


「天気が良いと仕事もはかどるよなあ」


「そうですね」


 相棒は今日もクールだったが。それも日常。


 全高10メートルのサーベルタイガをオートで歩ませて、目視確認。今日もヴァルハラ50は元気だ。


「パンタロン特務兵長。第230ペンギン艦隊が補給に立ち寄るらしい。補給設備の確認をしろ」


「了解。どこの設備でしょう?」


「全てだ」


「了解しました」


 ヴァルハラ50の司令官、ヨッチャム特務将軍の指令により、見回り確認中のパンタロンはサーベルタイガを回した。


 ヴァルハラ50に健在する補給施設は20地点。そのうち大規模艦隊に対応できるのは5地点。パンタロンはその5地点に立ち寄った。


「タイガ。全然大丈夫だよな」


依然いぜん変わらず。全てが老朽化ろうきゅうかしていますが、まだ3ヶ月は持ちます。ペンギン艦隊への補給を終えると同時に、ベーゴマ基地、カイト基地は修繕の必要があるでしょう」


「やっぱり大丈夫だな」


 基地の整備維持限界を考えるのはパンタロンの役割ではない。そんなものはヨッチャムにやらせるに限る。


「でもなんでこんな辺境惑星にペンギン艦隊が来るんだ?第230ってことは落ちこぼれかも知れんけど、それでも先遣部隊だろ。普通に補給艦で良いだろう」


「数が多すぎるのでしょう。第230とは確かに聞き覚えのない物量です。よほどの大規模作戦なので、補給艦隊でも間に合わず、こんな僻地へきちにやってくるのでしょう。でなければこんなサビまみれの無価値な惑星に来るはずがありません」


「だよな」


 今のは同意して良かったのだろうか。そんなことを思いつつも、全5地点の見回りは終わった。チェック完了だ。


「司令。見回りは終わり・・・」


「全てだ。第230ペンギン艦隊は母艦200、エンペラー200、ハイスピード800、ジャンパー3万。フル編成だ。5地点での補給ではとても間に合わん」


「じゃあもうちょっと人員増やしてくださいよー。おれ1人で見回りなんて出来るわけないじゃないですか」


 パンタロンは面倒臭さのために司令に文句を言った。実際に働いているのはタイガだが、一応人間として乗っているのはパンタロンなのだ。


「うるさい。ヴァルハラ50の割り当ては終わっている。私が言っても増えん」


「じゃあ司令も手伝って・・・・」


「私が司令官の地位に着いているのはな。そんな面倒な下仕事をしなくて済むからだ。いかに辺境惑星の将軍でもな。分かったら働け。どうせ、タイガに全部やらせているのだから」


「そんなー。おれも目視確認してますって」


 これは本当だ。正規パイロットには演習の義務があり、パンタロンはそれを毎回の見回りで済ませている。そのため見回り中は意外にも真面目に仕事をしている。でなければ免許が剥奪はくだつされてしまう。


「・・・じゃあ、タイガ。他の施設も全部回ろう」


「ルートは出しています。全て見回っても、2時間もかかりません。気合いを入れて行きましょう」


「了解」


 根性論に訴えてくる機体AIと話を合わせ、パンタロン特務兵長はいつもとは少し違うコース取りで、いつもと同じ惑星警備の任務を続行した。



 辺境惑星ヴァルハラ50。わずか5千年前に発見された最新銀河、「夢の終わり」銀河に散らばる中継拠点惑星の一つとして整備された星。だが、直通経路から大幅に離れているため、現在人口はわずか3名。


 人類最先端の地での日常がここにある。

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