2話
思ったより、難しいのな。
7年後
12歳になった護は、勉強では学年で上位、運動では水泳部のエースを務め、部長を任されるほど教師からの信頼が厚いどの学校にも1人はいるような真面目君に成長していました。
「おい、護。この本、読んでみろよ。」
クラスのお調子者の落合君が学校に相応しくないマンガを見せながら近付いてきました。
落合君は最近まで仮面にゃいだーにはまっていたのですが、中学デビューしたのか、日本の伝統文化 二次元アニメにハマっているようです。
「軟弱者めえ。学生が読む本は教科書以外にはない。そんな本、読む必要ないだろ。」
真面目人間になってしまった護には、萌えという日本文化がまだ理解できず、教科書を読んでいた方が有意義に感じていたのです。
「まあ、そんなこと言うなって。俺もそう思ったけど、価値観が変わった。」
「たった12年の人生だけど、今の価値観でも直ぐに変わるわけないだろ。」
護は今まで築いてきた価値観が変わるとも思わず、自分が信じた事を突き進んでいた。
「これ、読んでくれなかったら友達じゃないね。」
とうとう落合君がいつもの必殺技を使って友達を脅してきた。
「このマンガを読む、読まないで友達かどうかなんて、僕を差別しているのか。」
いつものこととあって、僕の対応もクールに流すことができた。
「いや、差別じゃなくて、区別ですから。」
「いいぞ!落合。区別だもんな。」
落合君の対応に慣れたクラスメイトが一緒にのってきた。
「わかったよ。そこまで言うんだったらこのマンガ読んでくるよ。顔の半分の大きさの目がある化け物だけど、とりあえず、読めばいいんだろ?」
これ以上引っ張ると落合君はウザイのがわかっているため、大人の対応をすることにした。
「明日会えることを楽しみにしている。」
何が面白いのかわからないものの、明日学校で内容について話があるだろうからとりあえず読んでみる。もちろん、二宮〇次郎スタイルではない。
「ふぅ。何が面白いもんかねえ。」
借りたマンガは、18禁のゲームを全年齢対象にしたものらしく、とても上手な絵で化け物が描かれていた。
主人公と義妹、成長しない幼なじみ。年中枯れない桜が咲いている街での学園恋愛物のマンガであった。
欲しい時に和菓子が出せるというのが、羨ましいといったところだろいか。
「まあ、綺麗な絵だった。」
今まで勉強とスポーツに熱中しており、ゲーム等の娯楽とは疎遠であったため、ボキャブラリーに乏しいのはご愛嬌だろう。
「これで明日落合に聞かれても答えれるだろう。何を聞かれるか。」
このとき、護の頭の中では、化け物の絵から綺麗あ絵に認識が変わっていたものの、本人は気づかないのであった。