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Save! Load! Continue?  作者: とっしぃ
学園編
99/300

99 サブシナリオ クラウスの潜入大作戦

「あなた、もうお昼ですよ。休みだからっていつまでも寝てないで起きてください」

「ん・・・あぁ、もうそんな時間かい?」

「今日は用事があるんでしょう?」

「うん、ありがとう寝過ごすところだったよ」

「お気に入りの子の試験なんでしょ?試験官のあなたが遅刻しちゃだめですよ?」

「わかってる」


うたた寝していたところ妻のフラビアに起こされた


今日はルシオ君の試験のために休暇をとっていたのだが

それ以外の用事が入っているわけでもなく

息子のカイルは朝早く学園へ行っている

なので午前中は特にやることがなかったのでついごろごろしてしまった

まあたまにはこういうゆっくりした過ごし方もいいだろう


とは言えフラビアの言う通り、試験官である私が遅刻するわけにはいかない

まだまだ時間には余裕があるが

昼食をとり、準備を済ませ王立学園の訓練場へと向かうことにした


「そのルシオ君って子が合格できたら家に招待できないかしら?お祝いしましょうよ」

「それはいい考えだが・・・誘ったら来てくれるかな?」

「気難しい子なの?」

「いや全然、ただ私は少し煙たがられているかもしれなくてね」

「あら、どうして?」

「ルシオ君は卒業したら冒険家になって世界中を見て回るのが夢なんだ」

「素晴らしい夢じゃない。・・・あら?でもそれじゃ・・・」

「そう、目標があるのに私はしつこく騎士団に勧誘していたからね・・・今回の試験ももしかしたら、受けておけばもう私が勧誘に来なくなると思って受けてくれただけかもしれないんだ」

「あなたの気に入った子はそんな薄情な子なの?」

「いや、そんなことはないよ」

「でしょ?なら自信を持ってください。あなたが気に入った子に私も会ってみたいもの」

「わかった、聞いてみるよ」

「お願いね。それじゃ行ってらっしゃい、あなた」

「行ってくる」


家を出る前にフラビアと軽くキスをする

結婚してからは毎日の習慣になっていた



ルシオ君は本当に私のことを面倒な大人だと思っていないだろうか?


訓練場までの道中そんなことを考える

フラビアの前ではああ言ったものの、少し自信がなかった


まあダメもとで誘ってみよう

断られたらそれも仕方ない

まだまだ私とルシオ君は親密な関係というわけではないのだから


もし来てくれるなら、カイルがルシオ君の双子の兄弟と歳が近いし三人で来てもらおうか?

その方が賑やかで楽しいだろう

カイルに新しい友達ができるかもしれないし

マルク君とアリスちゃんだったかな?あの二人もルシオ君同様優秀な生徒になるだろう

カイルにとって二人がいい刺激になるかもしれない

そうなればルシオ君ともより親しい関係になれるかもしれない


うん、そうしよう



そんなことを考えていると訓練場へと到着した


ルシオ君の姿はまだなかった

すこし早く着きすぎたのかもしれない




しかしその後約束の時間になってもルシオ君は現れなかった


む、大事な試験に遅刻か?

ルシオ君は意外にも時間にルーズなのだろうか?

それとも何か急用が入ったのか


「クラウスさ~ん」


約束の時間から少し経ってようやくルシオ君がやってきた


「ん?少し遅刻だぞルシオ君」


ルシオ君は慌てた様子でこちらに走ってくる

寝坊でもして慌てて走って来たのかと最初は思った

しかしルシオ君はマルク君とアリスちゃんを連れている

何か様子がおかしい


「すみません。でも試験どころじゃなくなってしまって」

「何かあったのかい?」

「実は・・・」


ルシオ君が説明してくれた内容は、にわかには信じ難い内容だった


司教が殺された

犯人はおそらくセルドロ

これだけでも大問題だ


さらにルシオ君はマルク君とアリスちゃんの命を狙うノワールを倒したと言う

ノワールと言えば正体不明で凄腕の、漆黒の暗殺者だ

その姿を見たものはいないとさえ言われる、私も見たことは一度もない

姿を見てしまったものは全て消されるなんて噂もある

そしてターゲットは逃さず、必ず暗殺を成功させる


そんな噂の暗殺者を彼が殺したと


しかし案内された場所へ向かうと何者かと争った形跡と

血を吸った黒い服と肉片が散らばっていた


ルシオ君が理由もなく人を殺めるとはとても思えない

彼が嘘をついている風にも見えない


まずはルシオ君の言うことを信じてみようか・・・


本当に司教が殺されていたとすれば大事件だ

しかも犯人は貴族の中でも力の強いセルドロ

そしてあの噂のノワールがセルドロと繋がっていた


これらの話が本当ならセルドロを捕まえることができる


セルドロは表向きには教会への援助や孤児院の経営等を行っており素晴らしい人格者を演じている

しかし裏では奴隷商等と繋がりがあるらしく

貴族や一般人を騙して借金を背負わせ、奴隷として一家まとめて売りさばくという噂もある

経営している孤児院を巣立ったはずの子供を別の街の奴隷市場で見たなんて話も聞いた


私も何度か調査でセルドロ自身と話したことがあるが

やはり噂通り裏がありそうだった

しかし証拠は上手く消しているのか何も出てこない

ノワールが密告しそうな人物を消していたと考えるとそれも納得だ


しかしマルク君とアリスちゃんの証言では子供の妄言だと言いくるめられる可能性もある

可愛そうではあるがそれが現実だ

何か別に信用のおける証拠が必要だろう


「何かいい方法はないだろうか・・・」

「上手くいくかわかりませんけど・・・一つ作戦が」

「ほう、聞かせてくれ」


ルシオ君の作戦は一応筋が通ってはいるが

なんというかひどく博打的というか

希望的観測な作戦だった


「本当に上手くいくのかい?それで・・・」

「さあ?多分・・・もしかしたら」

「はぁ~・・・わかった、まぁやるだけやってみようか。確かにそれでうまくいけば証拠を得るのも簡単だろうし」

「ありがとうございます!」


そうして準備を進める





「ナイフはさっき渡したし・・・これ着れますかね?」


ルシオ君が、ルシオ君曰くノワールの着ていた血まみれの服を汚そうに指でつまみながら私に見せる


「それを私に着ろと?」

「さすがにこのままとは言いませんよ。でも洗えば大丈夫だと思いますよ?」

「嫌だなぁ・・・」

「気持ちは痛いほどわかりますけど、これも作戦のためです!」

「黒い布を買ってくればいいんじゃないか?」

「あまり時間に余裕がないかもしれないので」

「・・・・わかったよ・・・でもできるだけ綺麗に洗ってくれ」

「わかりました」


ルシオ君が水魔法でつくった水の球の中に血まみれの服を入れてぐるぐるとかき回す

水の球は汚れを吸い濁っていく

そして服を取り出し、また新しい水の球をつくり同じことを繰り返す

そして汚れが出なくなったあたりでよく絞った後、複合魔法で乾かす


「器用なものだな」

「そうですか?結構簡単ですよ?」


少し臭かったが着れないほどではない


「どうだい?」

「そっくりです。上手くいくかも」

「本当だろうね・・・」


私はノワールを見たことがない

なのでルシオ君の感想に頼るしかなかった


そして下水道から地下道へと案内され、そこから司教の遺体がある場所までの道順を教わる


「その先に司教の遺体があるはずです。もしかしたらセルドロも戻ってきてるかもしれません。もしセルドロやもう一人の黒ずくめに会っても何も喋らないでくださいね、声で別人だとバレるかもしれませんから。ノワールはかなり無口だったんで何か言われても頷くとか首を振るだけでやり過ごせるかもしれません」

「わかった。まぁ私に向かって証拠になるようなことを言ってきたらその後は別にバレても構わないだろう。そうなったらこちらで勝手にセルドロの身柄を確保するが構わないか?」

「はい、大丈夫です」


上手くいくのだろうか?

もの凄く不安だ


「セルドロ達と対峙することになったときのために何か合図を決めておきましょう。セルドロと俺が対峙するってことはクラウスさんがノワールの代わりにセルドロの隣にいるってことですから、多分クラウスさんに俺を拘束しろとか命令すると思うんですよ。それは命令通りに動いてセルドロを泳がせてください、もしその時点でクラウスさんが十分な証拠を手にしていたのならいいタイミングで拘束する力を緩めてください。それを合図にしましょう」

「わかった」

「それじゃ気を付けてください。あとで教会で再会しましょう」


案内された地下道を進む

下水道からこんな地下道が伸びていたなんて知らなかった

これが司教の屋敷や教会と繋がっているそうだ




この作戦、随分具体的だなと思う

まるで一度体験したような

もしくは未来でも見てきたような


セルドロはノワールがマルク君とアリスちゃんを始末したと思うはずだ

そこで帰ってこない二人を心配して教会へルシオ君が探しに行く

そこにセルドロが何食わぬ顔で犯人捜しをしている

居なくなった二人が怪しいとセルドロが言い出しルシオ君を拘束する

かもしれない


というのがルシオ君の作戦だった



普通ならそんなに上手くいくわけがないと思うだろう

実際今でも私はそう思っている

しかしノワールとセルドロが繋がっている可能性がある以上

ノワールのふりをしてセルドロの元へ行くこと自体は賛成だ

もし二人の関係が本当ならそれだけでもセルドロを問い詰める材料になる

ついでにセルドロ自身が司教殺害の証拠を暴露してくれたら儲けものだ



説明された道を進むと物置のようなところに出た

その先で司教の死体を見つける


まさか本当にあるとは

ルシオ君のことを疑っていたというわけではない

しかし自分の目で確認するまでは半信半疑だった


「お!おお、ノワール。どうだ?ガキ共は始末できたか?」


司教の遺体を確認しようと近づいたとき扉が開きセルドロが入ってきた

さらに今の私と同じような服装の人物がセルドロについている


こいつがルシオ君の言っていたもう一人の黒ずくめだろう


というか開口一番でセルドロとノワールの関係を本人が暴露してくれた

ルシオ君の言っていたことは本当だった


セルドロの質問に対して頷く


「おお!さすがだなノワール、まあお前にとってはガキ二人の始末など朝飯前か。ガキの死体はどうした?ちゃんと処理したんだろうな?」


同じように頷く


「んむ、まぁお前の仕事なら心配ないだろう・・・さて、この死体をどうするか・・・」


そう言ってセルドロが司教の遺体を足で小突く


「何かいい案はないか?二人とも」

「・・・・」

「・・・・」

「おい!何か案はないのか!?」


私と同じように沈黙していたもう一人の黒ずくめに向かってセルドロが怒鳴る

ノワールとの扱いの差がかなり違うようだ


「・・・・このままにしておいてセルドロ様が発見されたようになさるのはいかがでしょう」


女?

声を聞く限りでは変声前の少年か女性かもしれない


「それでどうなる?私が疑われるだけではないのか?」

「遺体を隠し司教が失踪したように見せかけても、調査ですぐにこの地下道が発見されます。そうなればセルドロ様が一番に疑われるのは回避できません」

「むぅ・・・こんなことなら地下道を繋げなければよかったか・・・」


セルドロが何を言っているのか私にはわからない


「そうなるくらいならばセルドロ様が第一発見者として調査を手伝いながら、その中で都合の良い犯人をでっちあげるのはいかがでしょう?」

「むぅ・・・しかし・・・」

「その間に繋げてしまった地下道は私が塞いでおきましょう」

「そうか・・・そうだな」


ここに来るまで地下道に分岐があった

その先にセルドロにとって都合の悪い証拠があるのかもしれない


「わかった、お前の言う通りにしよう」

「私が離れたことでもうじき教会の人々が目を覚まします。お早めに」

「わかっておる!ノワール、悪いがここを見張っておいてくれ。関係ないものが来た場合はそいつも殺して構わん」


こくりと頷く


そしてセルドロは外に、もう一人の黒ずくめは地下道へと姿を消した



う~ん・・・もうすでに十分すぎる証拠は得られたんだけど

どうしようか・・・

犯人をでっちあげるとか言ってたから本当にルシオ君の言う通りの展開になるかもしれない

もう少し様子を見てみようか




その後セルドロが憲兵を三人連れて戻ってきた


ノワールのふりをした私の姿をバッチリ見ているがいいのだろうか?


「いいか?お前たちは教会内の調査をするんだ、いつも通り上手くやれ」

「「「わかりました」」」


なるほど・・・すでに買収済みというわけか

それもかなり前から

ノワールがいて、さらに憲兵までも飼いならしているんだ

セルドロの悪事がもみ消されていてもなんら不思議ではなくなった


その後、教会から人払いをして

セルドロと三人の憲兵だけで教会を調査するふりが始まった

そこにしばらくして役目を終えたのか黒ずくめも戻ってきた


セルドロはずっと誰を犯人にでっちあげるかを考えているようだった

しかし教会にいた人々はすべて黒ずくめが眠らせていたようで、濡れ衣を着せる犯人にするには都合があまりよくない


ならばなぜ眠らせたのかと疑問に思ったが

司教殺害は口論からの突発的な出来事だったようだ

しかし現場と教会は地下道で繋がっていて、神父などの地下道の存在を知る人物がいつ発見してもおかしくない

さらに教会は大掃除をしていたため、掃除の際にでた処分品を司教に処分してもいいかどうかの確認に屋敷まで誰かが来る可能性は非常に高かった

しかし地下道を塞げば地上から誰かが確認にやってくる

そのため教会内の人全てを眠らせて、その間に証拠隠滅を考えていたようだ

今日は教会の大掃除中なので礼拝に来る人はほぼいない

不幸中の幸いだとセルドロは思ったのだろう




そしてセルドロにとって都合の良い犯人が見つからないまま日が暮れていった


すると教会の扉が開き

外で見張りをしている憲兵が入ってきた


学園の生徒の兄弟が教会から帰ってこないと

教会内にまだ残っていないか確認してほしいとのしらせだった


ルシオ君か


「教会内には子供など残っていない、隅々まで探した後だ」

「そうですか・・・わかりました」


そう言って憲兵は外に戻っていった


「学園の生徒の兄弟か・・・ノワールに始末を任せたガキ共のことか?・・・ん?そうか!」


セルドロは何かを閃いたようだ


「あの二人が司教を殺したようにすればいいのか!学園の生徒ということは初級魔法くらい当然使えるだろう、あのガキ二人が司教を焼き殺したことにすればいい!おい!今すぐ司教の遺体を燃やしてこい!・・・いや、それは後でも構わん。まずはその学園の生徒とやらを連れて来よう!」


そう言ってセルドロは外に飛び出していった


全てはルシオ君の思い描いたように進んでいた


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