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Save! Load! Continue?  作者: とっしぃ
学園編
95/300

95 6回と1回

腰の短剣を抜き黒ずくめと対峙する


正面から改めて対峙してわかった

こいつは教会で俺の腕を折り抑えつけた方だ

ノワールと呼ばれていた人物だろう

もう一人の黒ずくめはこいつより背が低い、俺と同じくらいだった


「なぁ、ノワール。一応聞いておくけど見逃してくれる気はないよな?」

「・・・・」


名前を呼んだ瞬間ピクッと動いたのを見逃さなかった

なぜ俺が名前を知っているのかと驚いたのだろう

しかし変化はそれだけでノワールは何も喋らない


「できればあんたと戦いたくないんだけど・・・くっ」


喋っている途中でノワールが左へ動く

あまりの速さに目で追うことすら難しい

しかし反応はできた


とっさに短剣を首の後ろへ運ぶ


短剣に衝撃が走り

『キンッ』と甲高い音が響いた


(あっぶねぇ~~)


あっさりノワールに背後をとられ、また首を落とされるところだった


首と頭は死守、それ以外のダメージは軽傷なら続行、重傷なら即Load


初撃はなんとか躱せた

しかし早くノワールの速さに慣れなければ命がいくつあっても足りない

ただノワールの攻撃は意外と軽かった

力を速さに全振りしているのだろうか


(ちゃんと防御できれば致命傷は避けられる・・・防御できればだけど・・・)


ノワールに背後をとられたせいで立ち位置が悪い

マルクとアリスがノワールの向こう側にいる

俺を無視して二人を攻撃されるとおそらく守れない


二人を分断しようとノワールの後ろに土魔法で壁をつくろうとした

しかし、ノワールが手を前に出したと思ったら魔法が発動しない


(レジストされた!?)


俺の放った魔力が土魔法を形成する前にノワールの魔力で相殺された


詠唱有りならレジストは簡単だ、「これからこの魔法を使いますよ」と言っているようなものだからだ

しかし無詠唱でいきなり魔法を使われると一気にレジストは難しくなる

それなのに初見でレジストされてしまった

ノワールの反応速度は異常だ


(魔法の形成速度には結構自信あったんだけどな・・・勘弁してくれよ~・・・)


ただでさえ速さについていけない相手なのに魔法も通じない

絶望度がさらに上がってしまった


(このままノワールの出方を窺ってたら二人が危険だな・・・)


そう思いこちらから仕掛けることにした

出し惜しみはしない

全力で強化魔法をかけてノワールに斬りかかる

しかし刃が届く前にノワールは素早く避ける


もちろん避けられることは想定内だ

ノワールは俺から見て左に避けた

強化魔法をかけ動きに集中していればある程度は目で追うことはできる

しかしノワールの場合速すぎてすぐに死角に逃げ込まれ見失ってしまう


(どこから来る?)


最悪でも首を切り落とされるのは避けなければいけない

攻撃が空振るのは予想していたので、ノワールが動いた瞬間すぐ短剣を引いた

そのままさっきと同じように首の後ろに運ぶ


次の瞬間左脇腹に衝撃を感じた


「うっ・・・」


ノワールが右手で逆手に持ったナイフを俺の脇腹に突き立てている

刺された箇所が燃えるように熱く、痛い


(くそ・・・)


_______

Loadしますか?

►はい/いいえ

_______


首を意識するあまり他の箇所の防御が疎かになってしまう

しかしノワールの斬撃はおろか、ノワール自身の動きすら満足に追うことができないのが現状だ

即死を避けるため首の防御は一番に考えなければいけない


(あ~、も~・・・泣きたい・・・なんでこんなことになってるんだよ・・・)


先ほどと同じ失敗を避けるため二人を避難させる


「二人とも森に隠れてろ、そのまま逃げるんだ」

「ぼ、僕も戦う!」「アリスも!」

「・・・・ありがと。でも、今はまだいい」

「うぅ」

「・・・・・・行くよマルク」


きっと二人とも怖くてしかたないのだろう、声が震えていた

ノワールから目を離せないので振り返って二人の顔を見たわけではないが

そんな状態でも俺の力になると言ってくれる


(兄ちゃんが泣きごと言ってる場合じゃないよな)


ノワールを相手に二人を守りながら戦う余裕なんかない

だから正直「足手まといだ!」と言いそうになってしまった

でも二人の震える声を聞いてそんなこと言えるわけがない


(まずはノワールの攻撃のリズムを覚えるんだ・・・何回やり直してでも)



剣術を習っていた時ディルクが言っていた

__________________________

『剣術だけじゃなく戦いってのはリズムが大事なんだ』

『リズム?』

『そう、生き物なら必ず独特のリズムがある。呼吸とも言うな』

『ほう・・・』

『剣術に限らず武器を使う戦い方や素手の格闘術ってのは必ずと言ってもいいほど「型」が存在する』

『ふむふむ』

『人によってはその型を応用したりするんだけどな、でも必ず人それぞれの得意な攻撃のリズムってのがあるんだ。言ってることわかるか?』

『うん』

『例えば父さんの場合だと・・・袈裟切りからの突きとかかな』

『おぉ~速い・・・』

『じゃあ同じことをルシオにやってみるから好きなように避けてみてくれ』

『わかった』

『・・・・斬りかかって、突きで追い打ち。お、右に避けるか、そういう場合は蹴りに繋げる』

『ほう・・・左に避けた場合は?』

『そっちなら突きから刃をひねってそのまま斬撃に繋げる』

『ほうほう・・・バックステップで避けた場合は?』

『それなら泥でも蹴り上げて目つぶしを狙うかな』

『なるほど』

『ってな感じで攻撃から相手の動き次第で次の手を瞬時に判断するんだ。パターンが多いか少ないかってだけで結局人間なら誰しも少なからずやり慣れた型、癖がある。それが「リズム」だ。だから型の練習は応用を利かせるためにも大事なんだぞ』

『・・・・は~い』

__________________________


(型を繰り返すのって地味で退屈だから苦手だったんだよな・・・)


だがディルクの言うことは正しいと思う

俺の攻撃をノワールは俺から見て左に避ける

そして俺の背後をとろうとしてくる

まだまだ試行回数は少ないが、これもノワールの癖のようなものだろう


(要は覚えゲーってことか・・・死にゲーはストレス溜まるから苦手なんだよな・・・)


ノワールが何をどう動かせばどういった行動をとるのか

癖を、攻撃パターンを全て覚えてしまえばいい


ただこれはゲームではない


対処を間違うと先ほどのように容赦なく刺される、当然痛い

一体これから何度、斬られ、刺され、殺されるのだろうか


考えただけで心が折れそうになる


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