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Save! Load! Continue?  作者: とっしぃ
学園編
88/300

88 資格


学園内を歩いていると見知った人物に声をかけられた


「やぁルシオ君」

「・・・クラウスさん。お久しぶりです・・・」

「そんな嫌そうな顔しないでくれよ、傷つくなぁ」

「別に嫌ってわけじゃないですけど・・・ちょっと面倒くさいんで・・・」

「数多の王立学園生徒を見てきたけど、騎士団弐番隊隊長である私の相手を『面倒くさい』と言ったのは君が初めてだよ」

「はぁ・・・光栄です」

「嫌味も軽く流すね君は、まぁ君のそういうところ嫌いじゃないが」


クラウスは隊長を任されるほどの人物ではあるが結構ノリが軽い

その為話しやすく、騎士になるつもりのない俺からすると気楽に話ができる人だ


「んで今日は何のようなんですか?何度も言ってるようにクラウスさんの隊への勧誘なら受ける気はありませんよ?」

「うん、まぁそれもあるんだが・・・あっそうそう、大会見たよ。優勝おめでとう、圧勝だったね」

「ありがとうございます」

「やっぱり気は変わらないかな?私の考えでは、いずれ君は隊長を任せられるほどの人物になってくれると思っているんだが」

「・・・・ありがとうございます。でも、卒業してすぐにはやっぱり無理です」

「どうしても世界を旅してみたいのか?」

「はい。この世界のこともっと知りたいんです、色んな景色とか生き物とか人とか・・・クラウスさんはそんなこと考えたことありませんか?」

「私はないな~。小さな頃に騎士に憧れて、そのためにこの学園で努力して、夢だった騎士にもなれて、家庭を持って、身の回りのことで手一杯だったから外の世界に憧れる暇なんてなかったよ」

「そうですか」


クラウスのような人生も悪くない

普通に仕事をして、出世して、家族を持って

いや、悪くないどころか順風満帆な人生だと思う

マヤと両想いになった今ならそういう生き方をするのも良いかなと思える

だが自分の場合「自分の夢を叶えながらマヤのことも幸せにすればいいじゃん」と思う

難しいことかもしれないがオプションを使えばできないことではないはずだ


「でも君の気持ちはわかるんだ、現に君のような夢を持って冒険者になる人も大勢いる。残念ではあるけど君のことを応援しているよ」

「ありがとうございます」

「さて・・・・前置きが長くなってしまったが今日会いに来た目的は勧誘がメインじゃないんだ」

「なんですか?」

「すぐに君を勧誘するのは諦めることにするよ。そのかわり冒険が落ち着いて何か手に職を持ちたいと思った時のために一つ資格を勧めておこうと思ってね」

「資格?」

「そう、騎士の資格だ。その資格を取れるのはこの学園の生徒の特権でもあるんだ」

「?」

「騎士の資格を持っていれば、たとえ卒業してから何年か経っていても騎士になりたいと思った時優遇してくれることもある」


(国家資格のようなものか?)


「まぁたしかに旅が終わったら何か仕事を見つけなくちゃいけなくなると思いますけど」

「でも何年先になるかわからないんだろう?その場合国としては、いい歳したおっさんを雇うよりはフレッシュな若手の方が将来性があるからね、職探しが難航するかもしれない。まぁ君の場合は冒険の中でさらに腕を上げていくだろうが、しかし冒険者のような経歴が不明瞭な人は弾かれやすいのも事実なんだ」

「そこでその資格ですか」

「そう。取得するのは難しいが、持っているとそれだけで優秀な人物だということが証明される。資格だからかさばらないしね。どうだろう?取っておいて損はしないはずだけど?」

「確かに・・・ただどうしてそれを俺に勧めるんですか?」

「君が誘いに乗ってくれないからだよ・・・だったら君が目標を達成させてからの入隊でもいいかなと思って、それには騎士の資格を持っていた方がスムーズに話が進むからね」

「俺のことを諦めるってのは」

「考えてない」


食い気味でクラウスが言い放つ

それだけ俺のことを評価してくれているのか

単純に嬉しい


「私はね、ルシオ君のことを・・多分君が思っている以上に評価しているんだ。君が騎士として入隊してくれれば王都そのものがもっと良くなるとまで考えている」

「それは・・・買いかぶりすぎだと思いますけど」

「ここだけの話、騎士というのは外からは華々しく見えるかもしれないが実際内側はドロドロしているんだ。古い騎士たちの中には、騎士としての心得を失っている人物も少なくはない。そしてそういう人間程地位を、権力を持っているから質が悪い。私腹を肥やすために地位にしがみついている老害も沢山いるんだ」

「へぇ~・・・まぁよくある話だと思いますけど」

「老人たちはいいんだ、どうせ勝手にくたばっていなくなるからね。ただその子供たちが実力もないのにコネで入隊してでかい顔をしているんだ」


(結構口悪いなクラウスって・・・)


「そういった連中には手を焼いていてね・・・」

「それでなんで俺なんですか?」

「見ていたといっただろう?決勝戦を」

「あ~・・・」

「あのアーロンという子は誰が見ても危うい、そんな子が君と戦った後見違えるほど変わったとヴァイス先生は言っていたよ」

「俺に騎士隊の教育係をしろと?」

「いやいや、そこまでは言わないよ。君を勧誘するのは単純に私が君を欲しいからだ、それは分かっていてくれ」

「はぁ」


(まぁ、旅が終わった後ならいいけど・・・)


俺は直球で来られると弱いみたいだ


「まあなんだ・・・だから君に騎士の資格を勧めておけば、何年か後に君が心変わりして私の元にやってこないかな?という打算だよ」

「ははっ、わかりました。考えておきます」

「ああ、そうしてくれ」


変に策を練られるよりもこうやって正面から言われる方が心が動く

クラウスはそこまで計算しているのか、それとも天然なのか

隊長になるほどの人物はやはり人心掌握が上手いようだ


「詳しいことはヴァイス先生に聞いてくれ」

「わかりました」

「それじゃ、私はこれで」




前世でも資格というのは就職に非常に役立つ

何年先のことになるかわからないが

確かにクラウスの言う通り、資格というものはかさばらない

いくつ持っていても良いものだ


(一応取るだけとっておこうかな・・・)


そう思いヴァイスに話を聞きに職員室へと向かった


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