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Save! Load! Continue?  作者: とっしぃ
学園編
86/300

86 十四歳の大会 終

大会最終日

無差別の部の決勝戦


観客席の最前列にみんなで集まっている


「マルク、アリス、兄ちゃんが本気で戦うとこ見たことないだろ?ちゃんと見ておけよ」

「「うん」」

「ルシオが本気って・・・あの子そんなに強いの?ウィル君はわざと棄権したんでしょ?」

「うん、俺が8歳だった頃よりは全然強いと思う」

「ルシオが8歳のときってアタシのこと助けてくれた頃でしょ?あの頃のルシオよりも?」

「あの頃の俺は別にそこまで強くなかったよ」

「嘘!炭鉱の事件だって一人で全部解決しちゃったくせに」

「そうだよ、あの頃から十分強かったじゃん。ボクだって知ってるんだから。アーロンにも負けてないと思うけど」

「え~・・・でもあの頃の俺と今のマルクかアリスが戦ったら俺負けると思うけどな~」

「ん?・・・う~ん・・・そうなのかな?・・いや、やっぱりルシオの方が・・・」


考えたってしょうがないことにウィルが頭を悩ませている

マヤはもともと俺のことを過大評価するところがあるし

もっともそれだけ信頼してくれている証拠だと思うので今ではそれが嬉しいが


マルクとアリスもだけど、アーロンは確かに天才だ

使っている魔法は上級も含めすべて無詠唱だし、何発も打てるだけの魔力もある

しかし教科書通りというか、俺からすれば変則的な戦い方をするアルベドの方が何倍も厄介だと思う


「まぁマルクとアリスは魔法を教えればどんどん吸収してくれるから、今は二人に色んな戦い方を知ってもらいたいんだ。経験を積めばもっと強くなれるだろうし」

「なるほど」

「それにアーロン相手に油断できないのも事実だし、本気でやらないと。だからウィルにも隠してた技とかも使うかも」

「え?そんなのあるの?ズルい」

「お、それは私も興味ありますね。見せてもらいます」

「まぁ実戦で使ったことないから失敗するかもしれないけど。・・・おっと、もう行かないと」

「お気をつけて、ルシオ様」

「怪我したらアタシが治してあげるからね」

「うん、ありがと。アリス、スカッとさせてやるからな。行ってきます」

「行ってらっしゃい兄さん」


観客席から舞台へ通じる廊下へ向かう

すると舞台袖にアーロンがいたので話しかけた


「ちゃんと勝ち上がってこれたんだな、えらいえらい」

「俺様は天才だからな。お前も倒して俺が学園で一番強いってのを証明してやる」

「仮に俺に勝てたとしても、そういうのはお山の大将って言うんだぞ?世界は広いんだから」

「はぁ?負けた時の言い訳か?」


(こっちだとそういう言葉ないのかな?アーロンが知らないだけか・・・)


「ま、なんでもいいや。負ける気しないし」

「ほざいてろ・・・」



そして二人で舞台へ上がる


「それではこれより、決勝戦を始めます」


観客席は満席ですでに歓声が飛び交っていた

「ルシオ先輩頑張ってー!」とか「ちっこいの頑張れよ!」とか様々な声が聞こえる

俺はもう慣れたけど、こういう舞台にアーロンは緊張しないのだろうか?

緊張しないのなら、可愛げはないが好都合だ

ぐうの音も出ないほどハッキリと実力の差を見せつけるつもりだから緊張で委縮されるのは困る


一応試合前にSaveしてはいるが自分のプライドの為にも一発で決めたい


「始め!!!」


審判が試合開始を告げる


アーロンがいきなり『ロックピラー』を俺に向けて伸ばす

アーロンは土魔法が得意なのだろうか?試合で毎回使っている

確かに使い勝手がいいのでわかるが、俺が氷を多用するようなものか


アーロンの魔法に俺も真っ向から同じ『ロックピラー』で迎撃する

舞台の中央でぶつかり合い激しい音を上げ、共に砕ける

丁度相殺するように調整しておいた


「ほらほら、どんどん来いよ」

「言われなくても!」


俺の挑発にアーロンは何本もの『ロックピラー』で攻撃してくる

それを全て同じ威力で迎撃し、舞台の中央で止める


「チッ、ならこれでどうだ!」


アーロンは『プロミネンス』を放つ

俺も同じように『プロミネンス』を放ち、さっきと同じように舞台中央でぶつかり合う

弾けた余波で舞台上がとてつもない暑さになった


俺は自分の周りに風魔法で空気の層をつくり防御したが

アーロンはそんな器用な使い方ができないようだった


「くっ・・そが!」


熱を持った自分の周りの空気を風魔法で吹き飛ばす


「自滅するような魔法使ってんじゃねーよ」

「・・・・殺す」


アーロンが手を上にあげる

アーロンからかなりの魔力が俺の上に集まっているのがわかる


(・・・おっ?あ!なるほど、これなら上手くいくかも)


試合中なのに全く別のことを考えていた俺に真上から雷が落ちてくる

どうやら『ライトニング』も無詠唱で使えるようだ


「発動までが遅えよ」


仕草からアーロンが『ライトニング』を使ってくるのは予想していたので

自分を魔法障壁で囲って防御した


「・・・お前の妹とかウィルフレッドって奴が使ったのと違う」

「あの形よりこっちの方が防御力高いんだよ、それに色んな使い方もできそうだし。ちょっとコツはいるんだけどな」


俺を包む魔法障壁は球体だった

球体なので平面で受けるより威力が分散しやすく、同じ魔力量でも球体の方が防御力に優れている


「そんなことより・・・」

「ぐぁっ!」


俺は魔法障壁の中に居るまま舞台上に電気を走らせた

アーロンは油断していたのかあっさり感電して膝をつく


魔法障壁を解きアーロンへと近づく


「痛いだろ、お前がさっき使った『ライトニング』はそれの何百倍もの威力があるんだ。殺し合いでもないこんな試合程度で使っていい魔法じゃないんだよ」

「・・・・知るか・・・それでお前が死んだって、そんなの弱い自分の責任だろ」

「・・・・・・じゃぁ死ぬか?」

「っ!?」


膝をついたままのアーロンへと手を伸ばす

俺の手を青白い電気が走っている


もちろんただの脅しだったが

それを見てアーロンが後ろへ飛びのこうとした


「逃がすかよ」

「ぐっ・・・はぁ?」


さっき使った球体の魔法障壁でアーロンを包む

アーロンは飛びのいた拍子に頭をぶつけたようだ


「まるで籠の中の鳥だな、このまま場外に落としてやろうか?」

「ちくしょう・・・こんなもの!」


魔法障壁の中でアーロンが暴れる

しかし当然アーロン程度の力では壊れない


「っ!これでどうだ!・・・ぐぁー!!!」


さっき俺が魔法障壁の中から舞台上に電気を流したのを思い出したのか

アーロンが同じように電気を放つ

しかし当然のように魔法障壁内に電気が流れ自滅する


「なに一人でコントやってんだ?」

「がっ・・・なんで?・・・」

「さぁ?なんでだろうな?因みに俺はこの状態でもお前を攻撃できるぞ?」


そういって魔法障壁内に水を満たしていく


「くっ・・・ふざけんな!ここから出せ!」

「これは勝負なんだからそんなことするわけないだろ?敵に情けをかけてもらって試合に勝つつもりだったのか?自称天才君?」

「・・・・ちくしょうーーー!!!!」


そして魔法障壁内が水で満たされる

アーロンは必死に魔法障壁を蹴っているが、水の抵抗も加わって壊れるわけがない


(そろそろいいか・・・)


だんだんとアーロンの動きが鈍くなってきた

このままだと溺れ死ぬので魔法障壁を消して解放してやる


「・・・うっ、げほっ・・ごほっ・・・」

「おーい、大丈夫か?」

「・・・・・どいつもこいつもふざけさがって」

「ん?」

「俺を馬鹿にしやがって!!!」

「おっと」


アーロンは息を切らして四つん這いになっていた自分を中心に

まるで針山のように鋭い無数の石の棘を伸ばした

とっさに後ろへ飛びのきそれを躱す


「お前も!ウィルフレッドってやつも!俺を馬鹿にしやがって!」

「お前だってアリスとか他の生徒のこと馬鹿にしてただろ」

「それはあいつらが弱いからだ!」

「なら俺やウィルからすれば、お前が弱いんだよ」

「っ!?・・・俺は弱くねぇ!!!」

「じゃぁこの状況をどうやって説明するんだ?」

「・・・・くそっ・・」


アーロンは悔しさで震えながら涙を流している


「・・・アーロン、お前は確かに強いよ。8歳でそれだけ魔法を使えて、それも無詠唱で・・・俺がお前くらいだった頃よりずっと強いかもしれない。でもそれだけじゃダメなんだよ、そのままだと敵ばっかりつくることになるぞ?」

「・・・味方なんて、足を引っ張るだけじゃないか。だったら全員敵でいい」

「今のお前からすれば同年代はそうかもしれないけどな・・・味方とまでは言わないよ、ただ孤独になるな。今のまま好き放題やってたらカミリアだってお前を見捨てるかもしれないぞ?」

「べ、別にあいつのことなんかどうでもいいさ!いなくなるなら勝手にいなくなればいい!」

「とか言って、別に姉ちゃんのこと嫌いなわけじゃないだろ?」

「好きじゃない!!!」


観客席でカミリアが見ているからなのか「嫌い」だとははっきり言わなかった


「ははっ、わかったよ。・・・・あと自分のこと天才とか最強とか思うのはやめておけ」

「なんで思ったらいけないんだよ?」

「慢心するから」

「慢心・・・」

「今日だって俺の戦い方を研究しないでそのまま来たんじゃないのか?それでお前の知らない戦い方をされてあっさり追い込まれたじゃないか」

「う・・・でも、それでも・・・俺は強いんだ・・・」

「もう一つ教えてやる・・・上には上がいるんだよアーロン。世界でお前が一番強いわけじゃない」

「・・・・・」

「よし、良い機会だ。俺とお前の力の差をもっとわかりやすく見せてやるよ。ちょっと話過ぎて観客も退屈してきただろうし」

「は?」

「これからお前を攻撃する、真正面から向かってやるから。魔法でもなんでも使って防いでみろ」

「は?え?ちょっとまてよ」


戦闘から完全にお説教の空気に変わっていたのでアーロンが戸惑っている


「サービスに秒読みも付け足してやるよ、あと五秒で行くからな。5・・4・・3・・」

「くっ・・・」


アーロンが身構える


「2・・1・・ゼロ!」


ゼロと同時にありったけの強化魔法をかけてアーロンへと突進する

アーロンは俺が動いたのに対して体をビクッとさせただけで、俺の攻撃に対応することはできなかった


俺はアーロンの顔を鷲掴みにして地面へ叩きつける------寸前でブレーキをかけた


「・・・・ぁ・・・っ・・」


アーロンは何が起こったのか理解できていないようで

声も出せず、ただ歯をカタカタと震わせていた


「もし俺がお前を殺すつもりだったら今頃頭がグチャグチャになってたな」


そう言って鷲掴みしたままの頭を軽くコンコンッと地面にあてる


そのままアーロンを立たせてやると

アーロンの足は震えていた


「もうちょっと体も鍛えた方がいいな」

「・・・・」

「わかったか?」

「・・・・うん」

「まあ仕方ないさ、俺はお前より6年も長く生きてるんだから」

「・・・・・それだけ・・・なのかな?」

「お前も俺と同じ14歳になったらこれくらいできるようになってるだろ」

「・・・・なれる気がしない」

「・・・なれるさ。お前がもっとちゃんと戦い方を、力のコントロールを学んでいけば」

「本当に?あんたみたいに強くなれる?」

「そのためにはこっちも鍛えないといけないけどな」


そういってアーロンの胸を小突く


「体も?」

「心もな」

「心?」

「今みたいに自分の力を誇示するだけじゃなくて・・・お姉ちゃんを守ってやるとか、そういう風に思えるようになれたらいいな。アーロン」

「よくわかんないけど・・・そうなれたら、あんたみたいに強くなれるんだな?」

「きっとな・・・でもアーロンが14歳になったときには俺は20歳だから、ずっと俺には追い付けないけど」

「歳だけだろ・・・」

「実力も追い付かれてたまるか」

「・・・・絶対追い越してやる」

「楽しみにしてるよ」


アーロンは憑き物が落ちたかのようにすっきりした顔で笑っていた


(なんとか成功したかな?一件落着・・・・・あ、そうだ)


「それと一応これはアリスの分な」

「は?・・・うぐっ」


『ロックピラー』でアーロンを場外へと吹っ飛ばす


「これで許してやるよ」

「・・・・く・・そ・・・いてぇ・・・」

「場外!勝者ルシオ!!」


会場が割れんばかりの歓声に包まれる

途中戦いそっちのけで説教していたのに、盛り上がったようでよかった


観客席の皆のところに戻ろうしたらアリスが声をかけてきた


「兄さん!」

「おう、アリス!どうだった?・・・って、おい危ねっ」


アリスが観客席から俺に向かって飛び降りてくる

受け止めるとアリスは俺の首に手を回してしがみついてきた


「凄い!兄さん、かっこいい!」

「だろ?・・・ちょっとはスッキリした?」

「うん!」

「それはよかった」

「んふふ~」


アリスを抱っこしたまま皆のところへ戻る


「さすがねルシオ!」

「ルシオ君、優勝おめでとうございます」

「まぁ、ルシオ様なら当然ですわね」

「ありがとう、みんな」

「ルシオ!あれ何?球体って普通の多面展開とどう違うの?なんで魔法障壁越しに魔法使えたの?ねえねえ、どうやってるの?」

「あ~、ウィルうるさい!また今度な」

「この後じゃダメ?」

「疲れてんの!」

「え~、じゃあルシオは座ってていいから」

「また今度!」

「じゃあ明日ね!」

「わかったわかった」

「やったぁ!」

「あ、私にも教えてくださいね!」

「もちろんリリーにも教えるつもりだったよ」

「アリスにも!」

「僕も!」

「二人にも教えてやるから安心しな」

「「やった!」」


「ルシオ、この後どうするの?アタシの家に来て祝勝会でもやる?」

「いいね!おなか減ったし。テッドさん達には言ってある?」

「どうせルシオが優勝すると思ってもう言ってあるわ」

「ボク達もいいの?」

「もちろん」

「やった」



その後みんなでリリーの家からウェルクシュタットのマヤの家へと向かい

マヤ達が俺の祝勝会を開いてくれた




アーロンはあれで変わってくれるだろうか

できればマルクとアリスの良きライバルとしてこれから仲良くなって

俺達のようにお互い切磋琢磨してくれると嬉しいな


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