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Save! Load! Continue?  作者: とっしぃ
学園編
83/300

83 十四歳の大会 壱

今年の大会では俺は年齢別の部には出場しない

アーロンに宣言した通り無差別の部に出場するだけだ

大会はまず年齢別の部が開かれ、その後チーム戦、そして最後に無差別の部が始まる

なので大会は開かれていても数日間やることはない


ウィルは年齢別の部に、アルベドと戦いたいらしい

セレナも年齢別の部に、アルベドにリベンジしたいらしい

リリーも年齢別の部に、特に理由はないらしい

それぞれ出場する

因みにウィルは無差別の部にも出場するようだ


そしてマルクとアリスは入学して初めての大会になる

なので俺は基本的に二人の応援のために年少の部を見学することにした

マヤも二人を応援するためにやってきている



「こりゃまた面白い組み合わせになったな」

「このアーロンって子がルシオに挑んできた子なの?」

「そ、俺が入学したころのアレンみたいだったよ」

「あ~、想像しやすいわね」


9歳以下の年少の部のトーナメント表を見ると

マルクとアリスは同じブロックで、二人とも勝ち進むと三回戦であたることになる

そして勝った方が決勝でアーロンと戦うことになるかもしれない


「そういえば俺、二人が戦うとこ見たことないな・・・俺がいなくて二人だけで稽古してるときってどっちが強いんだ?」

「アリス・・・」「アリス!」

「へ~、ちょっと意外・・・でもないか?」


マルクは理論派でアリスは直感派だ

スタートダッシュはアリスの方が早いのかもしれない

それに二次性徴を迎えるまでは男の子のほうが女の子より体が小さいことも多い

実際、二人は双子だがマルクよりアリスの方が2~3センチ身長が高い

そういう微妙な差があるのだろう


三人で稽古するときは俺対マルク・アリスになることが多い

二人で協力させる方がお互いに意見を言い合って上達が早くなると思うからだ


「二人が戦うの楽しみだな」

「いつもはあとちょっとでアリスに勝てないけど、今度は負けないもん」

「兄さん兄さん、勝った方に何かご褒美くれる?」

「う~ん・・・どうしよっかなぁ~」


できればどちらかだけを褒めるようなことはなるべくしたくない

しかし双子とはいえ勝負になれば勝者と敗者が生まれる


「二人とも何か欲しいものでもあるの?」

「僕は別にないよ?」

「・・・・えっと、特にない」

「なんだそりゃ」


アリスはただ俺に褒められたくて言っただけなのかもしれない

二人ともまだ9歳の子供なのに無欲なことだ


「わかった、じゃあ勝った方のお願いを一つ聞いてやるよ。何か考えときな」

「「わかった!」」

「んで負けた方は、俺が特別に一日だけ地獄の特訓メニューを考えてやる!」

「僕はそっちでもいいけど」「え~・・・」

「ははっ、でもまずは二人とも今日と明日の試合に勝たないとな」

「頑張る!」「はーい」

「あ、なるべく相手に怪我させないようにな。みんなが二人みたいにいろんな魔法を使えるわけじゃないんだから」

「「わかった」」

「頑張ってね、二人とも」

「「うん」」


その後二人の試合が始まった


まずはマルクの試合だ

最初は緊張した面持ちのマルクだったが、相手が初級魔法を詠唱しているのを見てレベルを察したのか

冷静に相手の魔法を防ぎ、カウンターで『ブラスト』を使って相手を場外へと落としてあっさり勝ってしまった


その後のアリスの試合も同じようなもので

相手の攻撃魔法をアリスは簡単に防いでいた

そして『ウォーターボール』を相手の顔面にぶつけると、相手の子は泣きだし試合を放棄してしまった


やはり年少の部は、特待生と一般入学の生徒で大きな差がある

年少の特待生は本物の神童だ、幼くして才能を開花させたからこそ特待生として認められている

しかし年少の一般入学生は、基本的に家が裕福とかで小さい頃から学園に入学できただけの子が多い


「なんか・・・あっさり勝てちゃった」

「つまんない・・・」

「まぁそんなもんさ、俺が初めて大会に出た時もこんな感じだったよ。でも特待生は本当に強い子が多いし、一般入学の子の中にも強い子はいるかもしれないから気を抜くなよ?」

「「はーい」」



そして次の日も二人は危なげなく勝ち進むことができた


アーロンも同じように相手が弱かったため難なく勝ち進んでいた

しかしそのせいでアーロンの実力は何も測れないでいた


____

__

_


そして大会三日目

マルクとアリスが戦う日になった


(なんか珍しく二人ともピリピリしてるな)


二人とも集中しているのか会話はほとんどない


「二人とも頑張れ。俺達は観客席で見てるから」

「二人とも応援してるからね」

「「うん」」


そして試合が始まった


開始早々動いたのはマルクだった

強化魔法を使いアリスとの距離を縮める

しかしアリスはそれに反応して初級魔法で牽制する

それを素早く横に動いて躱すマルク

初級魔法では止められないとアリスは判断したのか、『アースウォール』で舞台を分断するように壁を造りマルクの接近を拒んだ


「うわっ!・・ととっ」


マルクは勢い余って壁にぶつかりそうになったがなんとかブレーキをかけた


「そこ」


アリスはマルクの声に反応したのか、マルクの居るところだけ『アースウォール』を消して『ブレイズカノン』で攻撃した

しかしそれをマルクは魔法障壁で防ぐ


(やるな~、二人とも)


アリスは『ブレイズカノン』が壁にあたる直前に『アースウォール』を消した

マルクにとっては、目の前の壁が消えた瞬間に火の着いた鉄球が飛んできたようなものだ

しかしそれに反応してしっかり防いでいる


「同じ轍は踏まないよアリス」

「むぅ・・・」


どうやら二人だけで稽古していたときに一度やられたことがあるみたいだった


(しかし、見る人によってはハラハラする試合かもな)


小さな子供が危険な魔法を相手に向けている

一応舞台のすぐ横に治癒魔法が使える教師が控えているとはいえ、大怪我しないかと心配になる人も中にはいるだろう


しかしマルクとアリスは、俺よりお互いのことをよく知っているはずだ

あれぐらいの魔法なら大事には至らないと判断してアリスは攻撃しているのだろう

実際アリスが使う『ブレイズカノン』にしてはかなり威力が抑えられていた


普段魔法を教える際に威力のコントロールを同時に教えていた甲斐があって良かった



お遊戯会のようだった年少の部で初めて本格的な戦いが繰り広げられている

観客のほとんどが固唾を飲んで試合に見入っていた



「フッ!」


マルクが強化魔法をさらに強めたようだ

さっきよりスピードが遥かに上がっている

ちょこまか動き回るマルクを止めようとアリスも応戦するがあっという間にマルクに接近されてしまった


「もう!うっとうしい」


アリスも強化魔法を使ったのか、掴みかかろうとしたマルクを凄い速さで避けた

そして魔法で牽制しながら距離をとる


「うっとうしいのはアリスもだよ!」


アリスの魔法をすべて躱しながらマルクはアリスを追う

アリスは舞台端に追いやられる


「ちょっと痛くても我慢してねマルク」


そしてアリスは舞台の端からマルクに向かって『フレイムバースト』を使う

舞台一面が炎に包まれた


「アリスもね!」


マルクは『フレイムバースト』を大きくジャンプして躱し

上空から『タイダルウェイブ』を放つ

津波が舞台上の炎を一瞬で消しながらアリスを飲み込む


しかしアリスは魔法障壁を上と前後左右に展開し、自分を立方体の中に包むようにしてそれを防いだ


(あの速度で魔法障壁の多面展開ができるのか・・・凄いなアリス)


マルクがあまり驚いていないところを見るとマルクも同じことができるのかもしれない


「もう怒った・・・」

「え・・・アリス?」

「兄さんにご褒美もらうのはアリスなんだから!」


そこから攻守が逆転してアリスが攻めてマルクが守りながら距離を置く展開に変わった

しかし二人の実力は拮抗しているのでどちらもあと一押し決め手が足りないでいた


そして長い長い攻防の末、マルクの方が先に魔力切れになり

最後はアリスに場外に投げ飛ばされることで勝負が決まった


「はぁ・・はぁ・・くっそ~」

「はぁはぁ・・・疲れた・・・」


最後の方は泥仕合だったが

勝負が決まった瞬間観客席から歓声が上がった

歓声の向けられる先の二人が自分の弟と妹だと思うと誇らしい



「兄さん!」

「う~、悔しい・・・」


観客席にいた俺のもとに二人がやってきた

疲れているはずなのにアリスが走って飛びついてくる


「アリスが勝ったよ!」

「あぁ、ちゃんと見てたよ。凄いな二人とも、あそこまで戦えるとは思ってなかった」


アリスを抱きとめ頭を撫でてやる


「えへへ~」


アリスはマルクに勝てたのと俺に褒められたのが嬉しいのか鳩尾辺りに頭をぐりぐり擦りつけてくる

へとへとになるまで戦ったから汗をかいているが、そんなの気にならないくらい凄く可愛い


「マルクもよく頑張ったな」

「うん・・・」


マルクは負けたから遠慮しているのか少しだけ距離があった

なので俺の方から近寄り同じように頭を撫でてやる


「来年はアリスに勝てるように俺がみっちり稽古つけてやるから」

「あ、そうだった負けてもそれがあるんだった!」


「負けた方には地獄のメニュー」と罰ゲームのつもりで言ったのだが

どうやらマルクにはそれも望むところだったようだ

魔力切れになるほど疲れているはずなのに嬉しそうにしている


「それで?アリスはルシオに何をお願いするの?」

「そうだった。考えてきた?」

「えっとね・・・兄さんを一日独り占めしたい!」

「ん?そんなのアリスならいつでもいいのに」

「だって、兄さんいっつもウィル兄とかマルクとか、誰かが一緒にいるもん」

「まぁアリスと一緒にいるときはマルクも一緒にいるしな~」

「だから明日はアリスだけと一緒!」

「わかった、じゃあ明日はずっと一緒にいような」

「うん!」

「アリス・・それってアタシも駄目なのかな?」

「マヤ姉も駄目!」

「そんな~・・・」


まさかこんな形で自分にとばっちりが来ると思っていなかったのか

マヤが一番ショックを受けているようだった


結局、アリスとマルクは二人ともご褒美を手に入れた形になり

当事者じゃないはずのマヤ一人だけが罰ゲームのような結果になった


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