74 次の目標
あれから約3年の月日が流れ
俺はもう13歳になった
この三年間はとても平和でSaveとLoadを繰り返すような日々はほとんどなかった
大きなイベントと言えば毎年の大会くらいだろうか
11歳の時の大会はアルベドの提案でチーム戦に出場することになった
特待生は必ず毎年どれかの部には出場しなければならないのだが
「個人戦だと試合数が多くて面倒くさい」とのことで毎年出場チーム数が少ないチーム戦でサクッと特待生のノルマを達成することにした
メンバーは俺・アルベド・ウィル・セレナの四人で
リリーは遠慮もあったのだろうが、「修行になるので」と個人戦にでることを選んだ
結果だが、結論から言うと優勝できた
その年の全出場チーム数は8チームと少なく試合はたった三試合で済んだ
と言っても、チーム戦には毎年のように年齢別・チーム・無差別の三部門制覇を狙う生徒が組む本気のチームがある
基本的には卒業生が思い出作りに狙うのだが、卒業生は特待生じゃなくても長い年月剣と魔法に励んできた生徒ばかりなので基本強い人が多い
そんなチームと決勝で対戦することになってしまった
しかしこちらは攻守どちらもできる俺とウィルがいて、セレナは攻撃だけでなく治癒魔法も使える
そこにアルベドの幻覚魔法のサポートが加わるという即席にしてはバランスの良いチームだったので
少し苦戦はしたが危なげなく勝利することができた
卒業生のチームは本気で勝ちにきたのに年下のチームに負けたので相当悔しそうだった
因みにリリーは年齢別個人戦で優勝していた
「ルシオ君たちが居ませんでしたから」と謙遜していたがアレンにも勝っていたのでメキメキと実力をつけているようだ
そして12歳の大会も同じようにアルベドの誘いでチーム戦に出ることになった
その年はウィルが「無差別の部に出たい」と言い、ウィルとリリーが入れ替わることになったのだが
リリーは相当腕を上げており、魔法だけならウィル以上の実力になっていた
なのでウィルが抜けた穴をリリーが十分すぎる程カバーしてくれた結果
また大して苦労することなく優勝することができた
ウィルは卒業生で特待生のオーウェンという生徒に負けた
オーウェンは剣も魔法も達者で、俺も正直勝てるかどうかわからないという感想だ
右手で剣を振るい、左手で魔法を使う。それはまるで魔法剣士のようで
ウィルは翻弄されまともに戦うことすらできなかったようだ
オーウェンは三部門制覇は狙っていなかったようでチーム戦には出場していなかった
チーム戦にオーウェンが出場していたら11歳のときも12歳のときも優勝は厳しかっただろう
そして13歳の大会
この年もアルベドにチーム戦を誘われたのだが
13歳になり年齢別の部が13歳~15歳の年長の組み分けとなったのでその年は誘いを断って年齢別の個人戦に出場することにした
といってもオーウェンのような強敵はすでに卒業しているので、俺にとって強敵となるのはアルベド・セレナ・ウィル、あとはレオくらいだろう
二回戦までは強敵とあたることもなくあっさり勝ち進めたのだが、三回戦の相手はアルベドになってしまった
後から知ったことなのだが、試合開始前に談笑しているときからアルベドはすでに俺に強力な幻覚魔法をかける準備をしていたらしい
そして試合開始直後その魔法は完成して、俺は五感を奪われあっさり負けてしまった
試合後「その魔法俺にも教えて!」とお願いしたが断られた
どうやら以前言っていた奥の手というのがこの魔法のようだ
「油断する方が悪い」とアルベドに言われたので『やり直してやろうか』とも思ったが、勝ちにこだわっていた訳ではなかったので負けを認めることにした
そして別ブロックでウィルがレオに勝ち、そのウィルにセレナが勝って
決勝でセレナとアルベドが戦うことになり、相性の良いアルベドが優勝した
というのが三年間の大会のダイジェストだ
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秋の大会が終わり、そしてまた冬が過ぎ
13歳の春
「う~ん、高い・・・おっちゃん、これせめて金貨一枚にならない?」
「馬鹿言うな!金が無いなら帰れ!」
「じゃあ二枚!」
「帰った帰った」
「む~・・・」
(ここも駄目か・・・)
俺は今、自分専用の剣を持とうと武器屋を転々としているところだ
しかし状況は芳しくなく
立派な業物だと安くても金貨五枚はする
さっきから値切ってはいるが、たとえ金貨一枚になったとしてもそんな大金持っていない
かといって銀貨数枚で買えるような安物を相棒にして命を預けるなんてとてもじゃないが嫌だ
どうせなら安物を買い替えて使うより、一本の自分専用の立派な武器が欲しい
いつもは授業の時にレプリカの剣を使っているのだが
自分の武器を持ちたいと思ったきっかけはオーウェンだった
華麗な舞のような剣技を見てかっこいいと思ったのが理由だ
それから一年以上時間をつくっては武器屋巡りをしているのだが
気に入るような剣は高く、とてもじゃないが子供の俺には買えないようなものばかりだった
(王都の西側と東側は全滅か・・・)
北側は貧民街などがありそもそも武器屋自体がない
南側は高級店ばかりなので後回しにしていた
(一応ダメ元で南側も探してみようかな)
そして王都南側の武器屋を探してみるが、目に入るお店のほとんどが軒先に陳列している安めの商品ですら金貨数枚が当たり前だった
そんな状況に絶望しながらも歩いていると
ある武器屋の軒先に立てている『鉱石持込可』という看板が目に入った
(これって鉱石を自分で用意すればそれを使って武器をつくってくれるってことでいいのかな?)
店に入り店主に話を聞いてみることにした
「あん?ガキが何の用だ?」
「すみません。外にある鉱石持込可って・・・」
「そのまんまの意味さ、武器をつくるに適した鉱石を持ってきてくれたらそれを使って格安で武器をつくってやるよ」
「ホントですか!?」
「んで?坊主、材料はあるのか?」
「えっと今は・・・因みに格安ってどのくらいのお値段で?」
「材料さえ用意してくれたら金貨一枚でつくってやるよ」
「金貨一枚か・・・」
「どっちもねえなら帰んな!」
「えっと・・・材料ってどんなのがいいんですか?」
「あぁ?・・・そうだなオリハルコンを持ってこれたらただで武器をつくってやるぜ?」
「オリハルコンって・・・」
「俺も見たことなんかねえけどな!」
店主が「ガッハッハ」と笑う
オリハルコンと言えばゲームの中でもかなり貴重な伝説級の代物だ
店主の口振りだとこの世界にもあるのかもしれないが
「他は?どんなものならタダでつくってくれる?」
「あぁ?・・・う~ん、そうだな~・・・ドラゴライト・・・それも赤竜から取れるレッドドラゴライトを持ってきたら最高の武器をタダでつくってやるよ」
「ドラゴライト?」
「っんだ?何にも知らねえのに武器が欲しいのかオメェ?」
「うぅ・・・教えてください・・・」
「ったくしょうがねえな」
店主の話だと何年も生きている竜には背中にドラゴライトと呼ばれる結晶ができるらしい
そのなかでも赤竜と呼ばれる竜のドラゴライトが武器には適しているようで
レッドドラゴライトでつくった剣はとても頑丈で切れ味も鋭く
騎士や冒険者が生涯一度は持ってみたいと夢見るほどの武器なのだそうだ
店主のおじさんも説明してくれるとき目を輝かせていた
「おぉ~ドラゴン・・・」
「おう!そうよ!だが剣をつくるのに使うほどの結晶ができる竜は百年以上生きている竜だ、国が軍隊を編成してようやく狩れるくらいの相手だからまあ坊主には無理だな、ガッハッハ」
「なるほど・・・わかった、見た目より親切だねおじさん」
「減らず口叩いてねえでさっさと帰れ!仕事の邪魔だ!」
「はーい、また来るかも!」
「二度と来んな!」
ドラゴンに採石ミッション
まるでゲームだ
魔法を初めて使った時のようにワクワクしてきた




